面会交流は何をする?面会交流の協議では何をどうやって決める?面会交流は断れる?いつまで行う?弁護士が一挙紹介

●面会交流とは具体的に何をするのか?

●面会交流に関する取り決めの方法は?

●面会交流について何を取り決める必要があるか?

●面会交流は断れるのか?

●面会交流の期間は?

●面会交流をさせるときに相手と連絡を取りたくない

●面会交流を認めるべきでない場合はあるか?

という悩みはありませんか?

このページでは,離婚の面会交流についてお困りの方に向けて,面会交流に関する取り決めの方法や内容面会交流に関する基本的なルールなどを解説します。

面会交流とは

面会交流とは,離婚や別居により子どもと一緒に生活していない親(非監護親)が,定期的に子どもと交流する機会を持つことを指します。
面会交流の権利は,日頃子どもと同居しない親の権利であるとともに,親との交流を求める子の権利でもあります。民法では,面会交流について必要な事項を定めるにあたって,「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と明記されており,面会交流が子の権利を保護するためのものであることが確認されています。

子どもにとっての面会交流の重要性としては,以下の点が指摘されます。

面会交流の重要性

1.心理的安定
子どもが両親との関係を維持することで,心理的な安定感を得られます。

2.アイデンティティの形成
両親との交流を通じて,子どもは自分のアイデンティティを形成する手助けを得ます。

3.親子関係の維持
定期的な交流は親子関係を維持し,深化させる機会となります。

また,面会交流の方法としては,以下のようなものが挙げられます。

面会交流の方法

1.直接面会
非監護親が子どもと直接会って,一緒に過ごす時間を持つ方法です。例えば,週末に一緒に遊んだり食事をしたりします。

2.宿泊面会
非監護親の自宅で子どもが一泊または数泊する方法です。

3.オンライン面会
理的な距離やその他の事情で直接会うことが難しい場合,ビデオ通話などのオンライン手段で面会を行う方法です。

4.書信やメールのやり取り
直接会うことが難しい場合,手紙やメールのやり取りを通じて関係を維持することもあります。

面会交流を取り決める方法

面会交流に関する取り決めの方法は,主に以下の通りです。

面会交流の取り決め方
協議 当事者又は代理人による話し合い
調停・審判 家庭裁判所で調停委員を交えての話し合い
裁判 即時抗告又は離婚裁判

①協議

面会交流の取り決めを行う場合,まずは,両親の協議によって合意を目指すのが通常です。両親の協議を通じて,面会交流を行うどうか,行う場合にはその方法や頻度,日時などについて取り決めます。

面会交流を協議する際には,以下のような点に留意するのが適切です。

1.子どもの利益を最優先に考える

子どもの年齢や発達段階に配慮する
面会交流の頻度や方法は,子どもの年齢や発達段階に応じて適切に設定します。例えば,小さな子どもには短時間の頻繁な面会が適している場合があります。

子どもの意見を尊重する
年齢に応じて,子どもの意見や希望を尊重し,可能な限り反映させることが重要です。

2. 具体的で明確な取り決めを行う

頻度とスケジュール
面会の頻度やスケジュールを具体的に決めます。例えば,毎週土曜日の午前10時から午後4時までなど。

場所と方法
面会の場所(自宅,公園,公共施設など)や方法(直接面会,オンライン面会など)を明確にします。

送迎の手配
子どもの送迎方法や,どちらの親が送迎を担当するかを決めます。

3. 柔軟性を持たせる

調整可能なスケジュール
急な予定変更や緊急事態に対応できるよう,柔軟性を持たせた取り決めをします。

特別なイベントへの対応
誕生日や学校行事など,特別なイベントに対する取り決めも考慮します。

4.コミュニケーションを重視する

定期的な連絡
親同士の連絡を定期的に行い,子どもの状況や面会交流の調整について話し合います。

トラブルの回避
誤解やトラブルを避けるため,明確でオープンなコミュニケーションを心掛けます。

5.子どもの安全と安心を確保する

面会時のルール
面会中の基本的なルールや禁止事項(危険な行為,喫煙,飲酒など)を決めます。

心理的な配慮
面会交流が子どもの心理的な安定に貢献するよう,親が協力してサポートします。

6.書面化と見直し

合意内容の書面化
取り決めた内容を文書にし,両親が署名して確認します。書面化することで,後のトラブルを防ぐことができます。

定期的な見直し
子どもの成長や状況の変化に応じて,面会交流の取り決めを定期的に見直し,必要な修正を行います。

②調停・審判

【調停】

夫婦間の協議では面会交流の合意ができなかった場合,家庭裁判所に「面会交流調停」を申し立てることが可能です。
また,離婚前においては,「夫婦関係調整調停」(いわゆる離婚調停)を申立てた上で,離婚調停の中で面会調停に関する解決をあわせて目指すことも可能です。離婚協議と並行して行っている場合は,離婚調停の手段を取る方が端的なことも多いでしょう。

調停の場では,双方が出席の上,家庭裁判所での面談を行います。双方が個別に調停委員会(調停委員及び家事審判官)と面談し,その内容を踏まえて調停委員会が調整を目指す,という流れが多く見られます。

調停においては,以下のような内容を協議するのが一般的です。

調停における面会交流の協議内容

面会の頻度毎週末,月に一度,夏休みや冬休みの期間など
面会の場所非監護親の自宅,公共の場所(公園,レストランなど),その他合意された場所
面会の時間面会の開始時間と終了時間を明確にする
面会の方法直接面会,宿泊面会,オンライン面会など
送迎方法子どもの送迎方法や誰が送迎を担当するかなど
その他の条件特別な行事(誕生日,学校のイベントなど)に関する取り決めや,緊急時の連絡方法など

また,調停における考慮要素としては,以下のような内容が挙げられます。

面会交流調停における考慮要素

子どもの年齢と発達段階年齢や発達段階に応じた適切な面会交流の方法を考慮します
子どもの意見年齢に応じて,子どもの意見も重要視されます
親の居住地両親の居住地の距離や交通手段も考慮されます
親の関係両親の関係が面会交流にどのように影響するかを評価します
過去の面会交流の実績これまでの面会交流の実績やトラブルの有無も考慮されます

【調査官による調査】

家庭裁判所の調停においては,裁判所の「調査官」と呼ばれる立場の担当者が関与することも多く見られます。調査官は,面会交流が子どもにとって最善の利益になるようにするために,現状を詳細に把握する各種の調査を行います。

具体的な調査方法は,子との面談や家庭環境の確認などが代表的です。子の意見や環境を踏まえ,調査官が調査報告書を作成し,面会交流の取り決めに関する意見を提出します。この調査報告書の内容は,調停の進行に大きく影響を及ぼすことが少なくありません。

【試行的面会交流】

家庭裁判所の調停において面会交流が問題になる場合,「試行的面会交流」という方法を取ることがあります。試行的面会交流とは,家庭裁判所の調査官などが立ち会いの上で,実際に面会交流を実施し,その状況を観察することを言います。

試行的面会交流は,裁判所内における面会用の部屋で行われることが一般的です。面会の場において,非監護親がどのようなコミュニケーション取るか,子がどのような反応を示し,どのように感じるかなどを観察することで,最終的な面会交流の判断に反映させます。

面会が円滑に実施できた場合には,調停成立の重要な材料になることも多く,有益な制度と言えます。もっとも,試行的面会交流は基本的に1回のみとされるため,その面会で不安要素が露呈してしまうと,面会交流の実現から大きく遠のき,挽回のチャンスが得られなくなるかもしれません。そのため,試行的面会交流を行うかどうかは,親子関係なども踏まえて慎重な検討が有力でしょう。

【審判】

調停で合意に至らなかった場合や,当事者が出席しなかった場合など,調停が不成立となったときには,自動的に審判に移行し,裁判官が判断します。
審判では,調停に現れた様々な事情を総合的に考慮し,面会交流を認めるか,認める場合の具体的な内容はどうするか,といった点を決定します。具体的な判断内容としては,以下のような事項が挙げられます。

面会交流の審判における主な判断内容

面会の頻度と時間年月に一度,毎週末など
面会の場所非監護親の自宅,公園,公共施設など
面会の方法直接面会,オンライン面会など
送迎の方法子どもの送迎方法や,どちらの親が送迎を担当するかなど
特別な行事への対応誕生日や学校のイベントなど,特別な行事に関する取り決め

審判は,告知の日の翌日から2週間で確定し,確定後は審判の結果が強制力を持ちます。両当事者は,確定した審判の結果に従わなければなりません。

③裁判

調停及び審判に不服がある場合,別途不服を申し立てることで裁判所の判断を仰ぐことが可能です。

【即時抗告】

面会交流の審判に不服がある場合,告知の日の翌日から2週間以内に「即時抗告」を申し立てることで,高等裁判所の判断を求めることができます。

不服を申し立てることは可能ですが,決して安易に結果が変わるものでない点には注意が必要です。

【離婚裁判】

離婚調停において面会交流の協議を行っていた場合,調停が不成立となった後,離婚裁判を実施し,離婚裁判の中で面会交流に関する判断を求めることも可能です。この場合は,離婚に関する裁判結果の中で,面会交流に関する取り決めも決められることになります。

面会交流を断ることができるか

①原則

離婚後に,監護親の判断で面会交流を断ることは原則としてできません。
面会交流は,子の利益を最も優先して行われるべきものであり,監護親の独断で面会交流を断ることは不適切です。
子の健全な成長のためにも面会交流は重要であり,面会交流が子の利益に反するのでない限り,面会交流の拒否は認められません。

②面会交流を断ることのできる場合

面会交流が子の利益を考慮して行うものであることを踏まえ,面会交流の実施が子の利益に反する場合には,面会交流を断ることが可能になり得ます。
具体的な事情としては,以下のようなものが挙げられます。

面会交流を断ることのできる事情

1.子どもの安全が脅かされる場合

虐待のリスク非監護親による子への虐待のリスクが高い場合
暴力や脅迫非監護親が監護親や子どもに対して暴力や脅迫行為を行った場合
薬物やアルコール依存非監護親の薬物依存・アルコール依存症が面会に悪影響を生じさせた場合

2.子どもの心理的負担が大きい場合

強い拒否反応子ども自身が非監護親との面会を強く拒否し、心理的に大きな負担を感じている場合
トラウマ過去の面会交流や家庭内でのトラウマがあり、面会が子の精神的健康に悪影響を及ぼす場合

3.非監護親の行動に問題がある場合

面会交流のルール違反非監護親が面会交流の取り決めを守らない場合(約束の時間に遅れる・来ないなど)
監護親との連絡の問題非監護親が監護親に対して適切な連絡を取らず、面会交流が円滑に行えない場合。

③面会交流を拒んだ場合のペナルティ

面会交流の取り決めをしたにもかかわず,監護親が不当に面会交流を拒む場合には,「間接強制」という方法の強制執行を受ける可能性があります。
間接強制とは,約束を果たすまでの間「間接強制金」という金銭の支払を強制することで,金銭的負担を与えて約束を守らせるという強制執行の方法です。

もっとも,間接強制ができるのは面会交流の取り決めに反した場合のみであるため,前提となる面会交流の取り決めが明確になされている必要があります。面会交流を協議する場合は,可能な限り具体的に取り決めをし,書面化するようにしましょう。

面会交流の期間

面会交流は,子の成長を支える目的で実施されるものであるため,面会交流の基本的な期間は子が成人するまでと考えられます。2022年4月以降は,成人年齢が18歳とされているため,具体的には子が18歳になるまで,ということになります。

もっとも,面会交流が子の利益を最優先して行われるべきものであることから,子の希望を踏まえて成人後にも面会を行うことは特段問題ありません。成人後は,親の監護権が及ばないため,専ら子の意思を尊重して行われるべきことになるでしょう。

面会交流のサポート

両親が連絡を取りあわないなど,当事者のみでは面会交流の実施が難しい場合,当事者間の連絡調整や,子の受け渡し,見守りなどを支援する民間の団体があります。これは,「親子交流支援団体(面会交流支援団体)」と呼ばれ,法務省によって公表されています。

親子交流支援団体等の一覧表(法務省)

団体によっては,面会交流の取り決めそのものもサポートしてくれる場合があります。当事者間で面会交流の実施が困難な場合には,支援団体の利用も有力でしょう。

離婚の面会交流に強い弁護士をお探しの方へ

面会交流は,子どもが離婚の悪影響を受けることなく心身の成長をするために重要なものであり,親の都合でなく子どもの利益を念頭に取り決めなければならないものです。
しかし,両親の間には感情的な争いが生じやすい分野でもあり,十分な協議は難しいことも多いです。
面会交流に関する問題の解決には,取り扱いに長けた弁護士へのご相談が有益でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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