●離婚が成立するまでの流れが知りたい
●離婚の種類はいくつあるの?何が違うの?
●離婚の手続は何を選択すべきか?
●離婚を有利に進めるためにはどうすればいいか?
●離婚では弁護士に依頼すべきか
という悩みはありませんか?
このページでは,離婚の方法に関してお悩みの方に,離婚の種類や流れ,手続選択の方法や弁護士依頼の要否などを解説します。
目次
離婚の種類
離婚の方法には,大きく分けて以下の3種類があります。
離婚の方法
①協議離婚
②調停離婚
③裁判離婚
これらは,いずれかを選択するというものではなく,基本的に①から順番に検討し,その方法で離婚に至らない場合には次の方法を用いる,という流れになります。
協議離婚の流れ・手続
協議離婚とは,夫婦が話し合い(協議)によって合意し,離婚を決定する方法です。日本における離婚の方法としては最も多く用いられているものです。
【協議離婚の特徴】
1.自主的な合意 夫婦双方が離婚に合意していることが前提です。
2.手続きの簡便さ 手続が比較的簡単で,家庭裁判所を通す必要がありません。
3.費用の低減 調停や裁判に比べて費用がほとんどかかりません。
【協議離婚の流れ】
1.話し合い
話し合いの具体的方法
夫婦が離婚に関して話し合い,双方の合意を得ます。
子供がいる場合は親権者,養育費,面会交流などについても話し合います。
財産分与や慰謝料についても合意が必要です。
2.離婚届の作成
離婚届作成の具体的方法
合意が成立したら,離婚届を作成します。
離婚届には,夫婦双方の署名・押印が必要です。
子供がいる場合は,親権者を決める欄に記入します。
3.市区町村役場への提出
役場提出の具体的方法
離婚届を市区町村役場に提出します。
役場が受理すれば,離婚が成立します。
調停離婚の流れ・手続
調停離婚とは,夫婦間での協議による離婚の合意ができない場合に,家庭裁判所の調停委員会が仲介して離婚の成立を目指す方法です。
【調停離婚の特徴】
1.第三者の介入 家庭裁判所の調停委員会が夫婦間の仲介を行い,問題解決をサポートします。
2.非公開 調停は非公開で行われるため,プライバシーが保たれます。
3.円満解決を目指す 調停委員が夫婦双方の意見を聞き,公平な立場で解決策を提案します。
【調停離婚の流れ】
1.調停の申立て
調停申立ての具体的方法
離婚調停を希望する一方または双方が,家庭裁判所に調停申立書を提出します。
申立書には,離婚を求める理由や調停で解決したい事項(親権,養育費,財産分与など)を記載します。
2.調停委員会による調停
調停の具体的方法
家庭裁判所が調停日を設定し,夫婦双方に通知します。
調停委員会(調停委員2名と裁判官1名)が夫婦の話を聞き,解決策を提案します。
夫婦は調停委員会の提案を基に話し合い,合意を目指します。
3.調停成立
調停成立の具体的方法
調停が成立した場合,調停調書が作成されます。
調停調書は裁判所の判決と同じ効力を持ちます。
調停調書に基づいて離婚届を市区町村役場に提出し,離婚が成立します。
4.調停不成立
調停不成立の具体的流れ
調停が不成立の場合,調停委員会はその旨を記載した調停不成立調書を作成します。
調停が不成立となった場合は,次のステップとして裁判離婚を検討することになります。
意見の相違が非常に小さい場合,調停に続けて家庭裁判所が審判をし,離婚を決定することもあります(審判離婚)。
裁判離婚の流れ・手続
裁判離婚とは,家庭裁判所に訴訟を提起して離婚を求める手続です。離婚調停を試みても解決しなかった場合に残された最後の方法ということができます。
【裁判離婚の特徴】
1.最終手段 調停や審判で解決できなかった場合の最終的な手段です。
2.法的判断 裁判官が証拠や証言に基づいて法的に判断します。
3.公開審理 原則として裁判は公開で行われます。
【調停離婚の流れ】
1.訴訟提起
訴訟提起の具体的方法
離婚を希望する一方が、家庭裁判所に離婚訴訟を提起します。
訴状には、離婚の理由や求める解決事項(親権、養育費、財産分与、慰謝料など)を記載します。
2.訴訟の進行
訴訟手続の具体的内容
裁判所は、訴状を受理し、相手方に送達します。
相手方は、答弁書を提出し、自らの主張を記載します。
その後、双方の主張や証拠を基に、裁判官が審理を行います。
3.証拠の提出
証拠提出の具体的内容
双方が証拠を提出し、証人の尋問なども行われます。
証拠として提出されるものには、文書、写真、録音、録画などが含まれます。
4.裁判所の判断
裁判所の具体的判断方法
裁判官は、提出された証拠や証言を基に、離婚の可否を判断します。
離婚が認められる場合、判決が下されます。
5.判決確定
判決確定の具体的流れ
判決が下された後、双方が控訴しない場合、判決が確定します。
確定判決に基づき、離婚が成立します。
【法定離婚事由】
裁判離婚の場合,当事者双方の合意が離婚の根拠にならない(=少なくとも一方は納得をしていないのに離婚を強制する)ため,離婚が正当であることの裏付けが必要になります。具体的には,離婚のためには「法定離婚事由」が必要になります。
民法に定められた法定離婚事由は,以下の通りです。
1.不貞行為 配偶者が不貞行為(不倫)を行った場合
2.悪意の遺棄 正当な理由なく配偶者との同居や扶養などを放棄する行為
3.3年以上の生死不明 配偶者が3年以上生死不明の場合
4.強度の精神病 配偶者が強度の精神病にかかり,婚姻の継続が困難な場合
5.その他婚姻を継続しがたい重大な事由 上記のほか,夫婦関係が著しく破綻している場合(長期別居など)
どの手続を選択すべきか
離婚の方法が3種類あるため,どの方法を採用すべきかという点が問題になります。
それぞれの方法の利点及び欠点としては,概ね以下の内容が挙げられます。
【協議離婚の利点と欠点】
利点
手続きが迅速で簡単
費用がかからない
第三者の介入がないため、プライバシーが保たれる
欠点
合意に至らない場合、離婚が成立しない
感情的な対立が深刻な場合、話し合いが難航する可能性がある
合意事項が不明確な場合、後々トラブルになる可能性がある
【調停離婚の利点と欠点】
利点
第三者の介入
→調停委員が中立の立場で仲介するため、冷静に話し合いが進む可能性が高くなります。
非公開
→調停は非公開で行われるため、プライバシーが守られます。
柔軟な解決
→夫婦双方の事情を考慮し、柔軟な解決策が提案されることが多いです。
欠点
時間と労力がかかる
→調停には複数回の出席が必要となるため、時間と労力がかかります。
費用が発生する
→調停には申立費用や弁護士費用などが発生する場合があります。
不成立の場合
→調停が不成立の場合、再度話し合いや裁判を行う必要があります。
【裁判離婚の利点と欠点】
利点
法的強制力
→裁判所の判決により、離婚が法的に確定します。
客観的判断
→裁判官が第三者として公平に判断します。
包括的な解決
→親権、養育費、財産分与などの問題を一括して解決できます。
欠点
時間と費用がかかる
→訴訟には長い時間と高い費用がかかります。
精神的負担
→裁判は公開で行われるため、プライバシーが守られにくく、精神的な負担が大きいです。
対立の激化
→訴訟により夫婦間の対立が激化する可能性があります。
利点及び欠点を踏まえると,早期離婚のためには協議離婚が有益です。しかし,協議離婚は合意内容をはっきりさせて書面化などしないと,後から紛争が蒸し返される恐れがあります。配偶者による紛争蒸し返しのリスクを避けたい場合には,調停離婚又は裁判離婚の方法で裁判所に関与してもらうのが適切でしょう。
もっとも,裁判離婚は,離婚調停を試みて不成立となった場合に初めて利用することが可能です。これを「調停前置主義」と言います。離婚裁判は,配偶者が離婚を拒んでも強制的に離婚をさせられる強力な方法である一方,あくまで最後の手段であるという位置づけが明確にされています。
ポイント
協議離婚は早期かつ簡単
蒸し返し防止のためには調停離婚や裁判離婚が有益
裁判離婚は調停不成立の場合にのみ可能
離婚を有利に進める方法
①相手が有責であることの証拠を獲得する
離婚を希望する場合,いずれの当事者が有責であるか(離婚の原因を作った責任があるか)という点が非常に重要です。配偶者が不貞行為に及んだことが原因であるなど,相手方が有責の場合には,離婚の希望が極めて実現しやすくなります。
撮影画像や映像,音声などの客観的証拠や,配偶者自身が不貞行為などを認めた事実など,相手が有責であることの根拠が存在することによって,離婚を有利に進めることが可能になるでしょう。
②弁護士への依頼を検討する
離婚を行う際には,数々の離婚条件を定める必要があります。財産や子などがあれば,それに応じて離婚条件も多岐に渡り,より複雑にもなります。
これらの離婚条件について,適正な内容を把握した上で,有利な結論を目指すためには,法律や過去の事例などに精通した弁護士への依頼が有力です。
また,弁護士に依頼することで,対応の負担が軽減されることも大きなメリットになると言えるでしょう。加えて,協議離婚の欠点である蒸し返しのリスクも,弁護士に依頼してきっちりとした書面化をすることができれば,事前に防ぐことが可能になります。
離婚で弁護士に依頼すべき場合
離婚は,弁護士に依頼せずに当事者間で行うことも珍しくありませんが,以下のような場合には弁護士への依頼が適切です。
①配偶者の対応が信頼できない場合
当事者間で離婚を行うのは,双方が必要な対応を怠らず進められることが大前提です。そのため,配偶者がちゃんと対応しない可能性がある,定めた金銭の支払をしない可能性がある,という場合には,弁護士への依頼が望ましいでしょう。
弁護士への依頼により,配偶者による不誠実な対応を許さず,信頼できない配偶者にも適切な対応をさせることが可能です。万一,それでも配偶者が適切な対応をしない場合には,弁護士が適切な請求を行うことで,配偶者により大きな不利益の生じる可能性が高くなります。
②相手に請求したいものがある場合
単に離婚届を作成し,提出するのみであれば,当事者間でも問題なく進めることが可能でしょう。もっとも,離婚を成立させたいだけでなく,金銭の支払や詳細な離婚条件の承諾を求めたい場合には,弁護士に依頼することが適切です。
弁護士に依頼することで,配偶者に求める支払額や離婚条件を適正なものとすることが可能です。また,弁護士を通じて相手に要求することで,それらの適正な金額や条件を実現できる可能性が非常に高くなるでしょう。
離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ
離婚の手続は,調停前置などのルールがあり,取り決めなければならない事項も多いため,想像よりも円滑にいかなかった,ということが多く見受けられます。
円滑に有利な内容で離婚をしたい場合は,手続選択や方法をどうすべきか,弁護士にご相談される方が望ましいでしょう。
さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。
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