脊柱の後遺障害等級が難しくて分からない人へ,これだけ見れば脊柱の後遺障害は完全網羅。等級認定のポイントも解説

●脊柱(脊椎)の骨折にはどのようなものがあるか?

●脊柱(脊椎)骨折ではどんな後遺障害等級が認定されるか?

●脊柱(脊椎)骨折の後遺障害等級認定の判断基準は?

●後遺障害認定の手続はどのような方法を取るべきか?

●脊柱(脊椎)骨折で後遺障害等級を獲得するコツは?

●脊柱(脊椎)骨折の後遺障害は弁護士に相談すべきか?

というお悩みはありませんか?

このページでは,脊柱(脊椎)骨折の後遺障害についてお困りの方に向けて,脊柱(脊椎)骨折の後遺障害等級やその判断基準認定を得るためのポイントなどを解説します。

脊柱(脊椎)とは

脊柱は背骨のことを指し,上下に骨が連なる構造になっています。脊柱を構成するのは,7個の頚椎,12個の胸椎,5個の腰椎,さらに仙骨とその先の尾骨です。

交通事故の後遺障害等級との兼ね合いでは,頚椎部,胸椎部,腰椎部が「脊柱」として扱われ,後遺障害等級認定の対象部位となります。
つまり,脊柱部の後遺障害となり得るのは,首から腰までの部分であり,その下の仙骨や尾骨は対象外となっています。
脊柱に対する後遺障害等級は,体幹を支える機能の障害として非常に重大な内容となり,その分という級も上位のものとなるため,体幹を支える機能に乏しい仙骨や尾骨はその対象に含まれていないのです。
なお,仙骨や尾骨の骨折については,脊柱の後遺障害とは別に後遺障害等級が設けられており,別途その基準を満たすかの問題となります。具体的には,仙骨は骨盤の一部として骨盤に関する後遺障害等級の対象となり,尾骨は他の骨と同じく一般的な神経症状の対象になります。

ポイント
人体の脊柱は,頚椎・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨の5種類で構成される
後遺障害等級認定における脊柱は,頚椎・胸椎・腰椎の3つのみ
仙骨と尾骨は,後遺障害等級認定上は別の取り扱いとなる

脊柱(脊椎)骨折の種類

脊柱の後遺障害が問題になる骨折の種類としては,大きく分けて圧迫骨折と破裂骨折の2種類が挙げられます。

①圧迫骨折

椎骨が上下から圧力を受けて潰れる形で折れる骨折です。前方部分がつぶれる形で生じることが一般的で,後方部分は影響を受けないケースが多く見られます。

外傷のほか,高齢者では骨粗しょう症の影響で軽微な外力でも生じることがあります。
慢性的な痛みのほか,背中が丸くなるなどの姿勢の変化が生じやすい受傷内容です。

②破裂骨折

椎骨が前後から押しつぶされることで,多方向に砕ける骨折です。骨片が椎体の内外に飛び出すこともあります。脊髄や神経根に損傷を与えるリスクが高く,圧迫骨折よりも重篤な症状であることが一般的です。

破裂骨折は,高エネルギーの外傷以外では発生しないのが通常です。重大な交通事故や高所からの転落など,激しい衝撃によって引き起こされる骨折です。

脊柱(脊椎)骨折の後遺障害等級

脊柱の骨折に伴う後遺障害等級には,大きく分けて変形障害運動障害の二種類が挙げられます。

変形障害は,文字通り脊柱部が変形したことに対する後遺障害です。変形した程度により,等級も変化します。

運動障害は,骨折によって脊柱部の運動機能(可動域)に制限が生じる後遺障害です。運動機能に制限が生じた程度により,等級も変化します。

また,運動障害に準じる後遺障害として,荷重障害という類型もあります。これは,骨折によって頸部や腰部の保持が難しく,硬性補装具がなければ保つことのできない状態である場合に認定されます。

その他,一般的な神経症状の後遺障害等級が認定されることも考えられます。

後遺障害等級の認定基準

【変形障害】

圧迫骨折や破裂骨折に伴って脊柱部の変形が生じる後遺障害です。

等級基準
6級脊柱に著しい変形を残すもの
8級脊柱に中程度の変形を残すもの
11級脊柱に変形を残すもの

具体的基準

脊柱に著しい変形を残すもの(6級)
1.複数の椎体の圧迫骨折で前方椎体高の合計が後方椎体高の合計より椎体1個分以上低くなっている場合
2.圧迫骨折で前方椎体高の合計が後方椎体高の合計より椎体2分の1個分以上低くなっており、かつ、コブ法による側彎度が50度以上ある場合

脊柱に中程度の変形を残すもの(8級)
1.圧迫骨折で前方椎体高の合計が後方椎体高の合計より椎体2分の1個分以上低くなっている場合
2.側彎度が50度以上となっている場合
3.環椎(第一頚椎)または軸椎(第二頚椎)の変形・固定により次のいずれかに当てはまる場合
a.60度以上の回旋位となっている
b.50度以上の屈曲位となっている
c.60度以上の伸展位になっている
d.側屈位となっており、矯正位(頭部を真っ直ぐにした姿勢)で頭蓋底部と軸椎下面の平行線の交わる角度が30度以上となっている

脊柱に変形を残すもの(11級)
1.圧迫骨折が生じ、そのことがエックス線写真等で確認できる場合
2.脊椎固定術が行われた場合
3.3個以上の脊椎について、椎弓切除術などの椎弓形成術を受けた場合

【運動障害】

圧迫骨折などの結果,脊柱部の運動機能に制限が生じる後遺障害です。

等級基準
6級脊柱に著しい運動障害を残すもの
8級脊柱に運動障害を残すもの

具体的基準

脊柱に著しい運動障害を残すもの(6級)
次のいずれかにより頚部および胸腰部が強直したもの
①頸椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎圧迫骨折等が存しており,そのことがX線写真等により確認できるもの
②頸椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎固定術が行われたもの
③項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの

脊柱に運動障害を残すもの(8級)
次のいずれかにより頚部または胸腰部の可動域が参考可動域角度の1/2以下に制限されたもの
①頸椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎圧迫骨折等が存しており,そのことがX線写真等により確認できるもの
②頸椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎固定術が行われたもの
③項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの

【荷重障害】

脊柱を支える筋肉や組織の変化に伴い,荷重機能に制限が生じる後遺障害です。

等級基準
6級脊柱に著しい荷重障害を残すもの(運動障害に準じて取り扱う)
8級脊柱に荷重障害を残すもの(運動障害に準じて取り扱う)

具体的基準

6級:頚部および腰部の両方の保持に困難があり,常に硬性補装具を必要とする場合
8級:頚部または腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とする場合

【神経症状】

等級認定基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

それぞれの認定基準を満たしているかどうかの具体的な考え方は,以下の通りです。

12級13号症状が医学的に証明できる場合
(画像所見などの他覚的所見によって客観的に認められる場合)
14級9号症状が医学的に説明できる場合
(他覚的所見はないものの,受傷内容や治療経過を踏まえると症状の存在が医学的に推定できる場合)

したがって,画像所見など,第三者が客観的に確認できる所見がある場合は12級の認定される可能性があり,そのような客観的な所見がない場合は14級の認定を目指すことになります。

脊柱(脊椎)骨折の後遺障害等級認定を得るポイント

①後遺障害等級認定基準を踏まえた診断や検査を受ける

脊柱の骨折に関する後遺障害等級は,その認定に必要な条件が詳細に定められており,角度等の数字で形式的に区別される部分もあります。そのため,漫然と変形や運動制限がある,というのみでなく,その程度が等級認定の対象となるかを踏まえておくことが非常に重要となります。
等級の認定基準を踏まえた上で,基準を満たすかどうかを判別する目的で診断や検査を受けることによって,実際に等級認定を受けることや,より上位の等級認定に至ることが可能になりやすいでしょう。

②等級認定に関する方針を主治医と共有する

医師の先生は,後遺障害等級認定を受けることを目的に治療を行われるわけではないため,医師の先生から積極的に等級認定に向けた対応をしてもらうよう求めるのは難しいです。そこで,主治医の先生に対しては,等級認定を目指したいことやその内容を積極的に情報共有し,同じ方針で治療や検査に当たってもらうことが適切でしょう。

脊柱(脊椎)骨折の後遺障害については弁護士に依頼すべきか

脊柱の骨折は,非常に重大なお怪我であり,それだけでも弁護士に依頼するべきと考えてよいことが多いです。しかも,後遺障害等級の認定基準が一見して複雑で理解しづらく,早期の段階から後遺障害等級認定を見据えた対応を目指す場合には,交通事故に精通した弁護士に依頼し,弁護士に必要な検討を求めることが非常に有力でしょう。

適切な後遺障害等級の認定を受け,十分な損害賠償を獲得するため,脊柱の骨折に関しては弁護士への相談や依頼を強くお勧めいたします。

脊柱(脊椎)骨折の後遺障害等級に強い弁護士をお探しの方へ

脊柱(脊椎)の骨折は,非常に重大なお怪我であり,治療も長期に渡りやすいものです。
受傷された方におかれましては,まず心よりお見舞い申し上げます。
脊柱(脊椎)骨折の後遺障害等級については,症状固定時の症状によって複数の可能性があり,相当程度の等級や損害賠償も考えられるため,交通事故に強い弁護士へのご相談をお勧めいたします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,1000件を超える数々の交通事故解決に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内いたします。
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