顧問弁護士とは何か?メリットと必要性を完全網羅

事業の運営において、法的な問題への対応は避けて通れない重要な課題です。

顧問弁護士を活用することで、法的リスクの予防から実際のトラブル対応まで、幅広い場面で専門家のサポートを受けることができます。

この記事では、企業の経営者や法務担当者の方、個人事業主の方に向けて、顧問弁護士の役割やメリットデメリット、検討の際の注意点などを解説します。

法的な課題を抱える事業運営にとって、顧問弁護士の存在は心強い味方となります。
自社、自身にあった顧問弁護士の活用のため、ご参考になれば幸いです。

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顧問弁護士とは何か

①顧問弁護士の基本的な役割

顧問弁護士は、企業の法務部門として機能する重要な存在です。企業活動における法的リスクの予防から、実際のトラブル解決まで、幅広い業務を委ねることが考えられます。

顧問弁護士の主な役割としては、以下のような点が挙げられるでしょう。

顧問弁護士の主な役割

・定期的な法律相談

・契約書等の文書に関するリーガルチェック

・個別事件に関する対応方針の相談

・経営判断における法的リスクの確認

・就業規則の作成、確認

継続的な関係を持っていることで、自社の特徴や状況を具体的に把握してもらうことができるため、自社に合った法的助言が得られやすい、という点に大きなメリットがあるでしょう。また、個別の対応をスポット的に依頼することも別途可能であれば、一定程度の法的問題は速やかに解決することも決して困難ではありません。

②顧問弁護士の重要性

持続的な成長を目指す企業等において、顧問弁護士は特に重要な役割を発揮します。事業が成長過程にあり、より幅広い業務を行うことになれば、それだけ法的なリスクや紛争に見舞われる可能性も高くなるため、トラブルをできる限り円滑に解決するためには、顧問弁護士の重要性が大きくなりやすいでしょう。

また、法的問題を未然に防ぐ上でも、顧問弁護士の重要性は大きなものになります。法的なリスクが予想される場合、その問題は予防できるのが最善です。問題が現実化する前に適切な助言などを受け、法的問題の生じない形で対応することができれば、将来のリスクを避けながら安心して事業運営を継続することができるでしょう。

その他、M&Aを試みる企業や株主総会の運営を要する場合など、幅広い関係者とのやり取りが避けられない企業の場合、対応方針をサポートする顧問弁護士の役割は大きくなります。事業規模が拡大するにつれて、どうしても紛争の可能性も高くなってしまうため、紛争への適切な備えは不可欠です。紛争を予防できれば、顧問弁護士のコストをはるかに上回る経済的メリットにつながるでしょう。

顧問弁護士に期待できる具体的なサポート内容

①法律相談とトラブル対応の事例

顧問弁護士によるサポートの代表例が、定期的な法律相談です。ここで対象となりやすい相談内容としては、以下のようなものが挙げられます。

定期的な相談内容の例

・従業員との労使問題
(解雇、残業代、従業員の違法行為など)

・取引先との契約内容に関する相談

・未払売上金の回収に関する相談

・クレームへの対応に関する相談

また、相談の上で弁護士による直接の対応が望ましいと判断されたものについては、実際に弁護士が介入して、自社に代わり対応を行ってくれます。

②契約書作成やリーガルチェックのサポート

事業には多くの法律文書が関係しやすいものです。契約書だけでも、企業内部における雇用契約書、取引先との売買契約書や業務委託契約書など、法的な確認を要する文書の種類は多岐に渡ります。このとき、将来的な法的リスクや自社に不利益な条項の指摘など、文書内容に対するリーガルチェックを行うのも、顧問弁護士の重要なサポートの一つです。特に、自分たちで作成したものでない文書については、その記載内容を正しく把握すること自体も負担が重くなりやすいため、顧問弁護士に委ねられるメリットは非常に大きくなるでしょう。

特に、金銭のやり取りが関わる契約書などの文書については、支払いに関する定めが不十分であることによって後の紛争につながるケースが一定数見られます。合意内容を書面化する以上、あいまいさを残さず、明快な内容とするのが互いの利益となるはずです。そのため、顧問弁護士によるリーガルチェックの体制を取っておくことはとても有益と言えるでしょう。

③労務問題やクレーム処理の対応

企業経営に当たって、内部における従業員とのトラブルと、外部における顧客とのトラブルは、どうしても避けて通れない問題です。どれだけ注意を尽くしても、トラブルが一切発生しないことは困難でしょう。これらのトラブルに適切な対応を取るためには、法的な理解が不可欠であるため、顧問弁護士を通じての対応が望ましいところです。
具体的な対応の例としては、以下のようなものが挙げられます。

従業員とのトラブルに関する対応例

・残業代請求に対する事実確認、計算、窓口対応等

・解雇無効の主張に対する法的チェック、手続対応等

・ハラスメント問題に関する社内対応や教育体制のサポート

顧客とのトラブルに関する対応例

・製品クレームに対する内容の検討、顧客対応

・契約内容のトラブルに関する示談交渉

・面談時の立会い

なお、個別事件への具体的な対応となる場合、顧問費用以外に別途の費用が発生する可能性も見込まれます。コスト面については事前に確認されることが有益です。

顧問弁護士を依頼するメリットとデメリット

①顧問弁護士を持つことのメリット

顧問弁護士を持つことで、以下のようなメリットが期待できるでしょう。

・法的リスクの早期発見と予防が可能になる
→日常的に相談する中で、問題が大きくなる前の早期対応ができる

・契約関係におけるトラブルの予防
→契約前のチェックを挟むことで、予期せぬトラブルを契約段階で予防できる

・法律文書作成の円滑化
→契約書のリーガルチェックなどを通じて、適切な文書作成のノウハウが蓄積される

・突発的な問題への早期対応
→継続的な関係があることで、個別事件の相談も円滑に実施できる

・コスト削減
→その都度法律相談を行うよりも費用が低額になりやすい

法律問題の相談先を悩まなくて済む、という点は、意外に大きなメリットとなることが多いようです。実際に法律問題が生じた際、弁護士選びを一から行うことは現実的に難しいことも多いため、いざというときの相談先を決めておけるという意味でも顧問弁護士のメリットは大きくなるでしょう。

②顧問弁護士を持つことのデメリット

顧問弁護士を持つことの最大のデメリットは、必要性の有無にかかわらず一定のコストが発生する点でしょう。一般的な顧問弁護士との契約は、月々一定の金額を支払い続ける内容となるため、ある月には全く相談を要しなかったが金銭を支払う、ということもあり得ます。
また、顧問料を支払っていても、具体的な相談内容によっては、顧問料とは別に着手金や成功報酬といった弁護士費用の支払いが必要になります。この場合、顧問料の分だけ追加で支払ったような負担感が生じるかもしれません。

その他のデメリットとしては、以下の点が挙げられます。

・自社の意思決定が遅くなる可能性
→顧問弁護士の判断を仰がなければ意思決定できない、という企業体質になる可能性がある

・即時に対応できるとは限らない
→他の弁護士に新規の相談をした方が早期に対応してもらえる場合もあり得る

顧問弁護士の検討に当たっては、発生するコストと見込まれるメリットを天秤にかける形で、慎重に行われるのが有益でしょう。一般的に、コストの負担感が問題にならない程度に事業が軌道に乗っている状況であれば、積極的な検討が望ましい時期であると考えます。

顧問契約の費用と条件について知っておくべきこと

①顧問契約の一般的な費用相場

顧問契約の費用は、月々の支払とされていることが一般的です。具体的な金額は、法律事務所や具体的なサービス内容によりますが、月々数万円からということが多いでしょう。
費用を確認するに当たって、以下のような点も確認が望ましいところです。

顧問費用に関する確認事項

・顧問費用の範囲内で行ってくれる業務の範囲
→契約書のチェック何通まで、何文字までなど、一定の範囲を超えると別途費用が発生する場合もある

・法律相談の時間制限
→一定時間を超える法律相談は、別途相談料が発生する可能性もある

・個別対応に際して生じる費用額
→顧問費用が低い代わりにその他の費用を高く設定するケースもある

②契約時に注意すべきポイント

契約時には、契約後の連絡方法をまず注意することが望ましいでしょう。連絡方法としては、電話、メール、ビデオ通話、対面での面談など、様々なものがありますが、依頼時に意図していた連絡方法が利用できない、ということが後から分かると、大きな不利益につながりかねません。顧問契約は、継続的な弁護士との連絡を行うための契約であるため、連絡が自社にとって望ましい方法で取れるかどうかは非常に大きなポイントになります。

その他の注意点としては、以下のようなポイントが挙げられます。

・契約期間
→契約期間中は、解約しても費用の問題が残りやすい

・契約更新の条件
→多くの場合は自動更新とされている

・解約時の予告期間
→いつまでに予告すれば解約可能か、という点

・利益相反の有無
→弁護士が競合他社の顧問をしている可能性の有無など

顧問弁護士の必要性とそのタイミング

①中小企業における顧問弁護士の必要性

顧問弁護士の有無を検討する時期にあるのは、多くが中小企業と言われる規模の企業でしょう。自社の規模や状況では顧問弁護士が必要か、という点はなかなか判断が難しい場合もあります。
基本的には、従業員の数が多くなるタイミングや、事業の規模・売り上げが大きくなったタイミングで、顧問弁護士の必要性が増しやすいです。関係者が多くなるにつれ、顧問弁護士の必要性が比例して高くなると考えて概ね間違いありません。

中小企業の場合、経営判断を代表者などの限られた人物のみで行っていることが多いですが、法的な根拠を明確にしながらでないとどうしても誤りが混入しやすくなります。判断を誤った場合のリスクは、企業の成長につれて大きくなり続けるため、不安の芽を摘むためにも顧問弁護士の存在は重要になるでしょう。

一つの目安としては、年間の売り上げが1億円を超える場合には積極的に顧問弁護士をつけることが望ましい、と言えるでしょうか。それだけの規模があれば、顧問弁護士を必要とする見込みもあり、コスト面でも顧問弁護士の存在が割に合っていると判断しやすい傾向にあります。

②顧問弁護士が必要になる具体的な場面

企業活動において法的トラブルは避けられない現実があります。従業員との労務問題が発生したり、取引先とのトラブルに巻き込まれたりするケースは少なくありません。このような場面で、顧問弁護士の存在は心強い味方となるでしょう。
具体的には、取引先から突然の契約解除を申し入れられた場合の対応や、従業員からパワハラ・セクハラの訴えが出た際の適切な処置について、専門的なアドバイスを受けられます。また、新規事業を開始する際の各種法規制への対応や、知的財産権の侵害問題への助言も得られることが大きな利点です。
さらに、企業の成長に伴って発生する株主総会の運営方法や、M&A時の法的リスク管理など、経営判断が必要な重要な場面でも頼りになるパートナーとなります。

定期的な法務相談を通じて、企業のコンプライアンス体制を強化し、将来的なリスクを未然に防ぐことができます。顧問弁護士は、企業経営における保険としての役割を果たすと言ってもよいでしょう。

顧問弁護士は、企業内外でトラブルが生じた際にその役割が必要となりますが、実際に顧問弁護士をつけるタイミングがトラブル発生後では遅い、というジレンマがあります。この場合は、具体的なトラブルに際してまずスポットで弁護士に依頼をし、その後顧問として継続的に関係を持つか検討する、という流れも有力でしょう。

顧問弁護士に関するよくある質問

①遠方の弁護士事務所の利用は可能か?

遠方の弁護士事務所との顧問契約も十分可能です。ビデオ通話などを活用するケースも珍しくはありません。顧問契約を結ぶ弁護士事務所は、必ずしも同じ地域である必要はないでしょう。
ただし、現地での確認を要しやすい業種やトラブル内容であることが見込まれる場合には、遠方の場合にどのような対応が可能か、十分に確認することが望ましいです。

②顧問弁護士をいくつも依頼することは可能か?

顧問弁護士を複数の法律事務所に依頼することは問題ありません。弁護士にはそれぞれ専門性の高い分野があるため、複数の弁護士に顧問の依頼をし、それぞれの専門分野に対して顧問業務を依頼することも有力な選択肢の一つでしょう。

その場合、当然ながら顧問弁護士が二重、三重に発生することとなるため、コスト面との相談は必要です。もっとも、弁護士による対応へより高いパフォーマンスを期待する場合にはむしろ有益な顧問弁護士の利用法と言えます。また、個別の依頼事項に対する結果が良好であれば、顧問料にかかった費用は十分に回収することが可能です。

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