万引き事件は初犯で不起訴?本当に不起訴になる場合とは?前科や余罪の影響も解説

●万引きはどんな刑罰の対象になるのか?

●万引きの事件で逮捕されないことは可能か?

●万引きで逮捕されても早期釈放は可能か?

●万引きで不起訴になることはできるか?

●万引きは余罪があると不利になってしまうか?

●前科のある万引き事件は実刑になるか?

●万引きの微罪処分とは何か?

といった悩みはありませんか?

このページでは,万引き事件の被疑者となった場合の対応についてお困りの方に向けて,万引き事件に関する刑事手続や,万引き事件で不起訴や釈放を目指すための弁護活動について解説します。

万引き事件の刑罰

万引きは「窃盗罪」に該当します。法定刑(法律に定められた刑罰の範囲)は10年以下の懲役または50万円の罰金です。
万引き事件は,統計上,日本で最も件数の多い犯罪でもあります。

軽微な印象を持たれがちな万引きですが,営利目的で計画的に行われていたり,被害の規模が大きくなったりする場合には,決して軽微な刑罰にとどまらないこともあります。

万引き事件と逮捕

万引き事件が発覚した場合には,逮捕されるケースもありますが,逮捕されないケースも相当数見られます。
事件の性質上,現行犯で発覚することが多数ですが,その場で発覚したとしても,事後に適切な対応を尽くすことで逮捕を防ぐ余地は十分にあり得ると言えるでしょう。

逮捕の方法には,現行犯逮捕と通常逮捕(後日逮捕)がありますが,逮捕される場合は現行犯逮捕されることが多く見られます。もっとも,後日逮捕をされる場合もあり得ますので,現行犯で逮捕されなかった場合にはできるだけ速やかに弁護士へ相談の上,適切な対応を尽くすことをお勧めします。

万引き事件で逮捕された場合

逮捕をされると,その後に勾留という手続で身柄拘束を継続するか,釈放をして在宅事件に切り替えるかの判断がなされます。勾留されれば警察署に10日~20日間留置され続けますが,在宅事件になれば帰宅できる(警察の求めに応じて出頭すればよい)状況となるため,勾留されるかどうかは非常に大きな問題です。

万引き事件の場合,逮捕をされても勾留まではなされず,釈放の上で在宅事件に切り替える場合が比較的多く見られます。逮捕されたとしても,早期釈放が可能であるケースが少なくありません。
万引き事件で逮捕された場合には,まずその後の勾留を防ぐことができないか,刑事事件に精通した弁護士へご相談をしてみましょう。

なお,逮捕されてから勾留の判断がなされるまでの期間は,概ね2日以内,長くても3日程度であり,勾留を防ぐための試みをするにはそれより前に弁護士が活動を開始しなければなりません。その期間が経過し,勾留が決定されると,遡って勾留を防ぐことは困難になってしまいます。逮捕された場合の弁護士へのご相談は,逮捕当日または翌日には行われることをお勧めします。

万引き事件は不起訴になるか

①一般的な刑事処分

万引き事件は,前科がない(=初犯である)場合だと,小規模のものであれば不起訴になる場合も考えられます。
もっとも,手放しで不起訴になるというわけではありません。この場合の不起訴は,起訴猶予と呼ばれるものであり,検察官が裁量的判断で不起訴とすることが必要です。簡単に言うと,検察官に大目に見てもらうことができた場合に,不起訴となるわけです。

そのため,検察官が大目に見てよいと考えるための努力は必要です。具体的には,店舗への謝罪や賠償,深く真摯な反省,再発防止の努力,といったものが考えられます。
具体的にどの程度の事情があれば起訴猶予にしてもらえるかは,個別のケースや検察官の判断によるため,できるだけの努力を尽くす,という考え方が重要でしょう。

②万引き事件の示談

なお,万引き事件も窃盗罪に該当する事件であり,被害者が存在する事件であるため,起訴不起訴の判断には被害者の処罰感情(加害者の処罰を求めるかどうか)が重要な材料となります。
そのため,被害者である店舗側と示談を取り交わし,店舗側の宥恕(許し)を得ることができれば,大きく不起訴に近づくということができます。

しかしながら,相手が個人でなく店舗である関係で,通常は店舗が示談に応じたり宥恕してくれたりすることはほとんどありません。示談交渉は一律断る対応をする店舗が多数と考えておいた方がよいでしょう。
ただし,お相手によっては,店舗の管理者から個人として宥恕の意思を表明していただける場合もあるため,誠意を尽くすことはその意味でも重要になります。

万引き事件に余罪がある場合の取り扱い

万引き事件は,類型的に余罪のある場合が少なくありません。初めて行った万引き行為が発覚した,というケース以外は,余罪のある方が多いと言えるかもしれません。
そのため,警察や検察といった捜査機関も,余罪があることを想定して捜査を行うことが多く,取り調べの際にも余罪の有無を聴取してくることが一般的です。

余罪がある場合,後から余罪が発覚するとすべて捜査や処罰の対象になってしまうと思われるかもしれませんが,決してそうではありません。
犯罪捜査の一般的な運用としては,発覚した余罪のうち,具体的に捜査や処分の対象に加えられるのは一部で,それ以外は余罪自体が処罰されることにはなりません。
処罰の対象とならない余罪は,いわゆる情状の問題として,処分の重さを判断するための材料の一つとされます。

余罪が処罰の対象となるケース

一方,余罪が捜査や処罰の対象となる場合としては,以下のようなものが挙げられます。

①既に被害届が出ている件

警察は,被害店舗が被害届を提出した事件は具体的に捜査を行う必要があります。そのため,既に被害届が出ている件と一致する余罪は,捜査や処分の対象となりやすいです。

②本罪が起きた店舗でマークされるきっかけになった事件

万引き事件が発覚する場合,発覚した店舗でマーク(要注意人物扱い)されていることがあります。マークしていたため注意してみていたところ,万引きを確認した,という流れです。
その場合,マークされるに至ったきっかけの事件があることが多く,その事件も同一人物のものだと分かったときには捜査・処分の対象となりやすいです。

③同じ日に連続的に行われた近隣店舗の事件

現行犯逮捕で発覚した場合,持ち物を一通り確認されますが,そのときに直前で行われた万引き事件の被害品を携帯している場合があります。
警察としては,当然,他店舗の商品と思われるものがあれば,どのように入手したものか確認する必要があるため,その結果余罪が発覚することとなります。
このように発覚した同日の連続的な事件は,日時や場所,被害品の内容が明確になりやすいため,余罪の中でも捜査・処分の対象となりやすい傾向にあります。

万引き事件の前科がある場合

万引き事件は,同種前科のある人が繰り返し起こしてしまうことの多い類型です。そして,万引き事件が繰り返されると,回数に比例するように処分も重くなるのが通常です。
初犯では不起訴(起訴猶予)になったとしても,次は罰金,その次は執行猶予,さらに繰り返せば実刑と,最終的には万引き事件でも実刑判決の対象となることが十分考えられます。

しかも,執行猶予期間中は,重ねて執行猶予にならないことが大原則ですので,執行猶予中の再犯は基本的に実刑の対象になってしまいます。
また,執行猶予期間中でなくても,同種前科の件から短い期間のうちに再犯に及ぶと,処分はより重くなる傾向にあります。

同種の前科がある場合は,そうでない場合以上に処分の軽減を目指す努力が必要になるでしょう。弁護士へのご相談を積極的にご検討されることをお勧めします。

万引きと微罪処分

①微罪処分とは

微罪処分とは,犯罪が極めて軽微な場合に,警察官の判断で捜査を終了させる処分のことを言います。
警察は,通常,捜査を行った事件を検察庁に送致(送検)する必要があり,検察庁が起訴不起訴を判断しますが,微罪処分は,警察官の判断で検察庁に送致(送検)しないとすることができるのです。
微罪処分とされれば,その時点で捜査は終了しますので,被疑者にとっては非常に利益の大きな処分といえます。

②万引き事件の微罪処分

万引き事件の場合,規模が明らかに小さく,被害者も許しており,被害が回復されているという場合には,微罪処分となる可能性もあります。
もっとも,微罪処分はあくまで例外的な手続であることに注意が必要です。また,微罪処分とするかどうかは警察官の判断となるため,微罪処分にするよう要求できるわけではありません。
微罪処分は,とても温情的な取り扱いをしてもらえた場合の例外的な措置,という理解をするべきものでしょう。

なお,微罪処分とされなかったからといって,不起訴にならないわけではありません。
弁護士に依頼するなどして不起訴処分が獲得できれば,法的な結果は微罪処分と同様と言えますので,不起訴処分を目指すべきことは間違いないでしょう。

万引き事件に強い弁護士をお探しの方へ

万引き事件の場合,適切に対応をすれば,逮捕や起訴を防いで今後の生活への支障が生じないようにすることも十分に可能です。
もっとも,余罪や前科,具体的な事件内容など,個別の事情を踏まえて方針を検討する必要があるため,刑事事件に精通した弁護士への依頼が重要になります。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
万引き事件は少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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