痴漢は逮捕される?不起訴になる?示談金は?職場にバレる?痴漢事件の特徴と解決方法を弁護士が解説

●痴漢事件はどんな犯罪になってしまうのか?

●痴漢事件の罪の重さはどのくらいか?

●痴漢事件は逮捕されてしまうのか?

●痴漢事件で逮捕された場合,釈放されないのか?

●痴漢事件で不起訴になるには,どうすればよいか?

●痴漢事件の示談金の相場はどのくらいか?

●痴漢事件は職場にバレてしまうのか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,痴漢事件の取り扱いや流れについて知りたい痴漢事件で不起訴になる(前科をつけない)ためにはどうすべきか知りたい,という方向けに,痴漢事件の基礎知識や,痴漢事件で前科をつけないための弁護活動について解説します。

痴漢事件の罪名

一般的に痴漢事件といわれるものは,概ね以下の二つが挙げられます。

①各都道府県の迷惑行為防止条例違反

 衣服の上から臀部を触る行為の場合に該当することが多い
 刑罰の重さは,各都道府県の条例によって異なるが,概ね以下の通り

 懲役 6月以下~1年以下
 罰金 50万円以下~100万円以下

②不同意わいせつ罪

 衣服の下から身体に触れる行為や,背後から乳房を鷲掴みにする行為の場合に該当することが多い
 刑罰は「6月以上10年以下の懲役」。罰金刑の定めがないため,罰金で終了することがない
 2023年7月13日の刑法改正で,「強制わいせつ罪」が「不同意わいせつ罪」となった。

比較すると,迷惑行為防止条例違反よりも不同意わいせつ罪の方がより重大(悪質)な事件である,との区別がなされています。

痴漢事件が逮捕されるケース

①迷惑行為防止条例違反に該当する事件の場合

電車内等での痴漢事件が代表的ですが,逮捕されるケースは現行犯逮捕がほとんどです。
現行犯逮捕は,警察官や検察官でない一般の私人でも可能なので,目撃者が取り押さえて警察官に引き渡したという場合でも,目撃者が取り押さえた時点で適法な現行犯逮捕となります。

②不同意わいせつ罪に該当する事件の場合

人気のない路上などで発生した痴漢事件が代表的ですが,後日の通常逮捕が主です。
その場では被疑者の確保が困難であるため,現行犯逮捕される場合はあまり見られませんが,不同意わいせつ罪に該当するような重大事件と評価される場合,後日逮捕をする必要が大きいと判断されやすい傾向にあります。

痴漢事件で逮捕された場合には釈放されるか

逮捕された場合,その後に10日間の勾留がなされるか,勾留されず釈放されるかが大きな分岐点となります。
勾留された場合には身体拘束が引き続き,釈放された場合には在宅捜査(帰宅の上,その後は求めに応じて出頭する方法)に切り替わります。

①迷惑行為防止条例違反に該当する事件の場合

必ずしも勾留されるとは限らず,釈放される場合も少なくありません。
特に,事件の程度が限定的で被疑者自身も認めている事件の場合,釈放されるケースが増加する傾向にあります。
もっとも,逮捕直後の段階で,適切に認めるなどの正しい対応をすることは,決して容易なことではありません。
できるだけ速やかに弁護士に依頼し,具体的な対応方針を決めることが重要です。

②不同意わいせつ罪に該当する事件の場合

より悪質と評価される内容のため,勾留される場合が多く見られます。
勾留を防ぐことが困難であるケースも少なくないため,弁護士からは,勾留は覚悟の上で不起訴を目指す方針に切り替えることをお勧めする場合もあり得ます。
なお,認める事件で不起訴を目指す手段としては,示談が挙げられますが,早期に示談が成立した場合,早期に釈放され,その結果勾留が防げる場合も考えられます。

痴漢事件で不起訴になる方法

①認め事件

被害者のいる事件のため,被害者の宥恕(許し)を獲得することが最重要となります。
具体的には,弁護士を通じて被害者との示談を試みることが最も適切な手段です。
迷惑行為防止条例違反,不同意わいせつ罪いずれの場合であっても,被害者との示談が成立し,被害者の宥恕が獲得できていれば,不起訴となる可能性が非常に高くなるということができるでしょう。
性犯罪の事件は,被害者のプライバシーにも関わるため,被害者の意思に反して起訴し,事件を公にすることは避けられる傾向にもあります。

②否認事件(冤罪等)

疑われた内容に心当たりのない場合は,まず一貫してその旨を主張し続けるに尽きます。
否認事件では,両当事者の供述(主張)がそれぞれ信用できるか,という点が大きな問題になりますが,主張が一貫していることは,信用性を判断する上で重要な要素になります。
なお,その他に供述の信用性を左右する要素としては,内容が合理的であること,客観的な証拠と整合する内容であることなどが挙げられます。

また,可能であれば,弁護士と協同して主張の裏付けとなる証拠の獲得を目指すことも有力です。
自身の主張を裏付ける客観的証拠があれば,主張の信用性が高まり,その結果不起訴になることも考えられます。

痴漢事件の示談金

示談金は,当事者間の合意で決められるものであるため,双方の希望や判断により大きく変化しますが,事件類型を基準にした金額の目安は以下の通りです。

①迷惑行為防止条例違反に該当する事件の場合

事件の内容や程度により,30~50万円とされる例が多く見られます。
示談金額に影響を及ぼす事件の内容・程度としては,触れた部位,触れた時間の長さや執拗さ,加害行為の回数(別日にも行われたことがあるか)などが挙げられます。

②不同意わいせつ罪に該当する事件の場合

事件の内容や程度により,50~100万円とされる例が多く見られます。
示談金額に影響を及ぼす事件の内容・程度としては,触れた部位(着衣の上か下かも含む),行為態様やその強度,事件現場の周辺状況(日中か夜か,人通りがあるかないか等)などが挙げられます

痴漢事件が職場に発覚するか

痴漢事件が発生し,警察の捜査を受けることになったとしても,基本的に警察から職場に連絡をする必要はなく,実際に連絡されるケースもさほど見られません。
痴漢事件が職場に発覚するケースとしては,以下のような場合が考えられます。

①職場内で発生した事件の場合

捜査のために,警察から職場へ連絡したり,事情聴取をしたりせざるを得ないことが見込まれます。そのため,捜査の過程で職場に発覚しやすいです。

②逮捕勾留が長期化する場合

→相当期間欠勤せざるを得ないため,他の欠勤理由で職場を納得させることが難しく,現実的に発覚が避けられない場合が考えられます。

痴漢事件に強い弁護士をお探しの方へ

痴漢事件は,在宅事件となるか逮捕されるか,起訴されるか不起訴になるか,といった点が,ケースや事後対応によって様々な事件類型です。
そのため,適切な対応を尽くせれば,在宅事件とされた上で不起訴処分の対象となり,前科がつかず平穏に終わることも少なくありません。
しかし,逆に対応を誤ってしまうと,身柄拘束が長期化したり,起訴されて前科がついたりと,取り返しのつかない不利益が生じてしまうことも考えられます。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
痴漢事件は少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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