【業務上横領事件の逮捕】逮捕の可能性,逮捕の流れ,逮捕を防ぐための方法や注意点などを一挙解説

このページでは,業務上横領事件の逮捕に関して,刑事弁護士が徹底解説します。逮捕の可能性はどの程度あるか,逮捕を避ける方法はあるか,逮捕された場合に釈放を目指す方法はあるかなど,対応を検討する際の参考にしてみてください。

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業務上横領事件で逮捕される可能性

業務上横領事件は,逮捕の可能性が十分に考えられる事件類型です。事件の性質上,多くの証拠収集が必要になりやすく,証拠収集の妨げになるような行為(いわゆる証拠隠滅行為)を防ぐ目的で逮捕されるケースが多く見られます。

個別の事件における逮捕の可能性はケースによりますが,逮捕の可能性が高くなる事情としては,以下の点が挙げられます。

逮捕の可能性が高くなる場合

1.件数が多い場合

2.被害額が高い場合

3.共犯者がいる場合

4.必要な情報提供を拒否している場合

【1.件数が多い場合】

業務上横領事件の場合,横領行為が1回のみではなく,複数回行われているケースが少なくありません。そして,事件の件数が多ければ多いほど,必然的に収集すべき証拠も多くなるため,証拠収集が漏れなくできるよう,逮捕の上で捜査を進める可能性が高くなります。

【2.被害額が高い場合】

被害額が高額である場合,刑事責任が重く,加害者に対する処罰も重大なものになることが見込まれます。そうすると,加害者としては,必要な証拠が収集されてしまう不利益が大きいため,証拠隠滅の動機が強くなるのが一般的です。しかも,業務上横領事件では,加害者自身しか把握していない証拠や情報も多く,秘密裏に証拠隠滅することが難しくないという特徴もあります。

そのため,被害額が高い場合には,証拠隠滅の恐れが類型的に大きく,証拠隠滅を防ぐための逮捕もなされやすい傾向にあります。

【3.共犯者がいる場合】

共犯事件では,共犯者間での証拠隠滅が強く懸念されます。共犯者間でやり取りをした記録や物品などの物的証拠はもちろん,口裏合わせによって取調べの妨害がなされる可能性も高くなる,との理解が通常です。

そのため,共犯者のいる事件では,単独犯の場合と比較して,共犯者間での証拠隠滅を防ぐ目的での逮捕が多くなりやすい傾向にあります。

【4.必要な情報提供を拒否している場合】

これまで取調べ等の捜査をしているケースでは,情報提供を求めても拒否が続く場合に逮捕の可能性が高くなる傾向にあります。情報提供を拒否されると,重要な情報に関する証拠隠滅の恐れが大きくなるため,証拠隠滅を防ぐ目的で逮捕する必要性が高くなるのです。

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

逮捕による不利益

逮捕をされてしまうと,以下のように多数の不利益が見込まれます。

①社会生活を継続できない

逮捕をされてしまうと,身柄が強制的に留置施設へ収容されてしまうため,日常の社会生活を続けることができません。スマートフォンの所持も許されないので,外部の人と連絡を取ることも不可能です。
そのため,周囲と連絡等ができないことによる様々な問題が生じやすくなります

また,逮捕後勾留されるまでの間は,原則として弁護士以外の面会ができません。面会によって最低限の連絡を図ろうと思っても,勾留前の逮捕段階では面会すら叶わないことが一般的です。
さらに,勾留後についても,接見禁止決定がなされた場合には弁護士以外の面会ができません。

②仕事への影響

逮捕された場合,仕事は無断欠勤となることが避けられません。その後,身柄拘束が長期化すると,それだけの間欠勤をし続けなければならないことにもなります。こうして仕事ができないでいると,仕事への悪影響を回避することも難しくなります。

また,逮捕によって勤務先に勤め続けることが事実上難しくなる場合も考えられます。
逮捕は罰則ではなく捜査手法の一つに過ぎないため,逮捕だけを理由に懲戒解雇されることは考え難いですが,一方で仕事の関係者に自分の逮捕が知れ渡ると,事実上仕事が続けられなくなるケースも珍しくはありません。

③家族への影響

逮捕されると,通常,同居の家族には捜査機関から逮捕の事実が告げられます。場合によっては,家族が逮捕に伴う各方面への対応を強いられることも考えられます。また,家族にとっては,被疑者が逮捕された,という事実による精神的苦痛も計り知れず,一家の支柱が逮捕された場合には経済的な問題も生じ得ます。

このように,逮捕は本人のみならず家族にも多大な影響を及ぼす出来事となりやすいものです。

④報道の恐れ

刑事事件は,一部報道されるものがありますが,報道されるケースの大半が逮捕された事件の場合です。通常,逮捕された事件の情報が警察から報道機関に通知され,報道機関はその情報を用いて刑事事件の報道を行うことになります。
そのため,逮捕された場合は,そうでない事件と比較して報道の恐れが大きくなるということができます。

万一実名報道の対象となり,氏名や写真とともに逮捕の事実が公になると,その記録が後々にまで残り,生活に重大な支障を及ぼす可能性も否定できません。
一般的には,重大事件や著名人の事件,社会的関心の高い事件など,報道の価値が高い事件が特に報道の対象となりやすいため,逮捕=報道ということはありませんが,逮捕によって報道のリスクを高める結果が回避できるに越したことはありません。

⑤前科が付く可能性

逮捕と前科に直接の関係はありませんが,逮捕されるケースは重大事件と評価されるものであることが多いため,事件の重大性から前科が付きやすいということが言えます。
逮捕をするのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためですが,逃亡や証拠隠滅はまさに前科を避ける目的で行われる性質のものです。そのため,逮捕の必要が大きいということは前科が付く可能性の高い事件である,という関係が成り立ちやすいでしょう。

業務上横領事件で逮捕を避ける方法

①被害者との解決

業務上横領事件で逮捕されるかどうか,又はその前提として業務上横領事件が捜査されるかどうかは,被害者の意向や判断に大きく左右されます。被害者が加害者に対する捜査や逮捕を希望しない場合,基本的には捜査も逮捕もなされないことが見込まれるでしょう。

そのため,逮捕を避ける方法としては,まず被害者との解決を目指すことが非常に有力です。業務上横領事件の場合,被害者と加害者との間に何らかの関係があり,相互に連絡を取り合えることが多いため,解決に向けた協議を試みる手段は見つかりやすいでしょう。

②自首

被害者との解決が困難な業務上横領事件では,捜査機関に自首をすることで逮捕を避ける試みが有力です。自首は,自ら捜査機関に出頭して事件の捜査を求める動きであるため,逮捕せずとも捜査妨害は考えづらく,逮捕しなくてもよいとの判断を引き出せる可能性が高まります。

ただし,被害者側が捜査機関に相談するなどして捜査が開始された後では,自首を試みても自首が成立しません。自首を行う場合には,できるだけ早期に進めることをお勧めします。

③捜査協力

業務上横領事件における逮捕は,証拠収集を円滑に行う目的で行われることがほとんどです。裏を返せば,逮捕せずとも証拠収集が円滑に行える場合,逮捕の必要性は大きく低下することとなります。
そのため,逮捕を避ける方法としては,自ら積極的に証拠を提出するなど,証拠収集を円滑にするための捜査協力が有力な手段の一つです。

提出すべき証拠は,取り調べなどの際に,その内容に応じて特定することが合理的です。取調べの中で捜査に必要と思われる証拠が浮かび上がってきた際には,自発的な提出を申し出ることを検討するのも有益でしょう。

業務上横領事件の逮捕は弁護士に依頼すべきか

業務上横領事件の逮捕については,弁護士に依頼し,弁護士の判断を仰ぎながら検討することが適切でしょう。弁護士に依頼することで,以下のような利点が見込まれます。

①被害者側との協議が円滑になりやすい

業務上横領事件で逮捕を避ける手段としては,被害者との間で解決を図ることが非常に有力ですが,解決のためには被害者側との綿密な協議が必要です。もっとも,加害者の立場にあるご本人が,被害者側との間で十分な協議を尽くし,解決にこぎつけることは容易ではありません。

この点,弁護士に依頼することで,弁護士が窓口となって被害者側との協議を行えるため,当事者が直接協議するよりも円滑に進行することが期待できるでしょう。解決内容に関しても,当事者本人では主張しづらい点を弁護士が代わりに主張するなどし,不当に不利益な条件となることを防ぎやすくなります。

②逮捕を避けるために有効な手段を判断してもらえる

逮捕を避けるためにどのような手段を講じるべきかは,個別の事件内容や状況により異なります。また,逮捕を避けるにはどのくらい積極的な動きが必要か,対策をしなければ逮捕が見込まれてしまうのか,という点も,正しく把握しておくことが有益です。

この点,弁護士に依頼することで,逮捕の可能性がどの程度見込まれるかを踏まえ,事件の内容や状況に応じた適切な逮捕回避策を案内してもらうことができます。また,実際にそれらの策を講じる際にも,弁護士が主導して進めてくれるため,大きな負担なく進めることができるでしょう。

③捜査機関に掛け合ってもらうことができる

逮捕を防ぐ際には,捜査機関に安易な逮捕の判断をされないようにすることも重要です。特に,業務上横領事件の場合,単純な事件類型とは異なり事実関係や証拠が複雑になりやすいことから,事件の規模によっては安易な逮捕の判断がされるケースも散見されます。

この点,弁護士に依頼することで,弁護士が捜査機関の対応に目を光らせ,不当な動きを抑止する効果が期待できます。必要性に乏しい逮捕がなされるリスクは,弁護士の存在によって大きく減少するでしょう。

業務上横領事件の逮捕に関する注意点

①逮捕時期

大多数の刑事事件では,被疑者が特定されてから間もない段階で逮捕されるのが一般的な流れです。そのため,刑事事件は捜査の比較的初期段階で行われ,その後身柄拘束をしながら捜査を重ねていくことになります。

一方,業務上横領事件の場合には,逮捕せず定期的に出頭を求める方法で捜査を続け,ある程度捜査が進んだ段階で逮捕に踏み切るケースが相当数見られます。このような逮捕時期に関する取り扱いは,業務上横領事件の大きな特徴の一つとも言えるでしょう。

業務上横領事件に際しては,出頭を重ねた後に逮捕される可能性についても注意しておくことが望ましいでしょう。

②捜査の開始を防げる可能性

業務上横領事件では,捜査の開始前に当事者間で連絡を取り合うことのできるケースが多い点に特徴があります。そして,捜査開始前に当事者間で協議を重ね,解決の合意ができれば,捜査は開始されないことが見込まれるでしょう。

この点で,業務上横領事件の場合,対応によっては捜査の開始が防げる可能性もあるという点には十分注意したいところです。迅速に当事者間での解決が図れれば,捜査が行われないことになり,もちろん逮捕もなされないという有益な結果が期待できます。

③逮捕された場合の拘束期間

業務上横領事件では,逮捕された場合の拘束期間が比較的長くなりやすい点に注意が必要です。基本的には早期釈放が期待しづらく,延長を含めて20日間の勾留を受けることが見込まれやすいでしょう。

また,複数回の横領行為が問題になっている場合,20日間の勾留では捜査の時間が足りないと判断されると,更に別の横領行為について逮捕勾留(再逮捕・再勾留)が行われ,長期間の身柄拘束となる可能性も否定できません。特に証拠となるものが多く複雑な場合は,再逮捕を含む長期化の可能性にも注意したいところです。

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