【交通事故の不起訴処分】交通事故加害者が不起訴となるために必要な対応や注意点を詳細解説

このページでは,交通事故事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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交通事故事件で不起訴を目指す方法

①被害者対応を尽くす

交通事故は,特定の被害者に対する事件であるため,被害者の意向が刑事処分を左右しやすい傾向にあります。過失の程度や被害者の受傷結果があまりに著しいケースでなければ,被害者の意向によって起訴不起訴の処分結果が分かれる場合も決して少なくはありません。

そのため,交通事故の事件で不起訴を目指す手段としては,まずどれだけ被害者へのお詫びの対応を尽くせるか,という点が非常に重要となるでしょう。被害者側の意向は,どうしても感情的な面に大きく影響を受けることになるため,感情面に最大限配慮したお詫びの動きが取れれば,有益な結果につながりやすいと言えます。

ポイント
交通事故の処分は被害者の意向に大きく影響を受ける
被害者の感情面に配慮したお詫びの対応が重要

②適切な法的評価を促す

交通事故によって加害者が刑事処分を受けるのは,加害者の行為に「過失」があるためです。過失とは,注意義務違反(注意すべき義務があったのに必要な注意を怠ったこと)をいい,具体的にどのような注意義務が課せられ,どのような義務違反があったか,という点は,個別のケースによるところです。
そして,刑事処分の程度は,過失の程度に比例して重くなるとの取り扱いが一般的とされます。センターオーバーや追突事故のように一方だけに過失のある事故か,被害者側にも相当程度の過失が認められる事故かによって,刑事処分は大きく異なってきます。

交通事故の場合,加害者とされる人の過失がさほど大きくないケースだと,他の事情も踏まえて不起訴処分の対象となることも相当数見受けられます。そのため,過失の程度が大きくないと主張すべきケースでは,過失の程度に関して適切な評価をするよう求めることで,不起訴処分を促す動きも有力になり得るでしょう。

ポイント
交通事故の刑事処分は過失の重さに比例しやすい
過失が小さい場合,不起訴処分の判断材料となり得る

③再発防止

刑事処罰が科せられる目的の一つに,加害者の再発防止を促す目的が挙げられます。「犯罪を犯すと大きな不利益(=刑罰)を受けなければならない」ということを経験的に理解させ,再発を踏みとどまらせる効果を期待する,ということです。
もっとも,交通事故の場合,そもそもが故意に起こした事件ではないため,再発を踏みとどまらせるために刑罰を科す必要が決して大きいとは言えません。そのため,交通事故では,刑罰以外の方法で再発防止の見込みが立つのであれば,再発防止の意味を込めて刑事処罰を科す積極的な意味はとても小さいと理解されるところです。

したがって,交通事故で不起訴処分を目指す手段としては,具体的な再発防止策を検討し,実行することが非常に有力でしょう。具体的な再発防止策の内容は,事故の原因等によって異なるため,個別に弁護士などと相談し,検討することをお勧めします。

ポイント
刑罰には再発防止の目的がある
刑罰を科さずとも再発防止が見込める場合,不起訴処分が有力になる

④交通違反が伴う場合

交通事故の事件では,事故の発生原因や事故前後の運転行為に,交通違反が伴うケースも少なくありません。そのため,交通違反を伴う交通事故では,交通違反の重大さを踏まえた検討・対応が必要となるでしょう。

この点,それ自体が犯罪として処罰されるような交通違反がある場合,不起訴処分は容易ではなくなるため,不起訴を目指す積極的な試みは不可欠と言えるでしょう。例えば,速度超過をした上で交通事故を起こした場合,速度超過の分だけ刑事責任が重くなることに配慮した努力が必要となります。

また,酒気帯び運転など,交通違反の程度が著しい場合には,そもそも不起訴を目指すことが現実的でない可能性もあります。手段を尽くしてもなお起訴を免れないケースは珍しくないため,弁護士に見通しを判断してもらうなど,事前の検討を十分に行うことが適切です。

ポイント
犯罪として処罰されるような交通違反があると,不起訴は容易でない
程度が著しい交通違反の場合,不起訴が現実的でないことも

交通事故事件で不起訴になる可能性

交通事故の場合,不起訴となる可能性は十分に考えられます。もちろん,ケースによっては不起訴処分の見込みが現実的にない場合もありますが,一般的な交通事故であれば,不起訴処分を目指す努力は十分に結果を左右し得ると考えてよいでしょう。

交通事故で不起訴の可能性が十分に考えられる大きな理由の一つが,過失犯であるという点です。交通事故は,わざと引き起こしているわけではなく,加害者自身も希望しないまま,不注意で起きてしまうものであるため,刑事責任は故意犯に比べて小さく評価されることが一般的です。起訴不起訴の判断は,事件ごとの刑事責任の重さを重要な基準とするため,交通事故が過失犯であることによる責任の小ささは,不起訴処分の可能性を高くする事情と言えます。

一方,過失犯であっても,刑事責任が重く評価されざるを得ない場合には,安易に不起訴を見込むわけにはいきません。交通事故の場合,被害者側に全く落ち度がない場合や,被害者に深刻な損害を与えた場合には,刑事責任が重大であると評価され,不起訴処分の可能性は低下しやすいでしょう。

ポイント
不起訴の可能性は,刑事責任の重さに大きく左右される
過失犯である交通事故は,故意犯よりも刑事責任が小さく評価されやすい

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

交通事故事件で不起訴を目指す場合の注意点

①被害者の意向の重大性

交通事故の刑事処分を左右する事情は複数ありますが,その中でも非常に重要であるのは被害者の意向です。刑事処分を直接決定づけることができるのは,被害者の意向以外にないと言っても過言ではありません。
また,刑事処分の判断材料のうち,事後的に内容が変わり得る唯一の点としても,被害者の意向は重要な位置づけにあります。過失や怪我の程度は,事故が発生した後に結果が変わるものではありませんが,被害者の意向だけは事故後の心境の変化などによって内容が大きく変わり得るため,不起訴を目指すのであれば最大限の努力を注ぐべきポイントと言えるでしょう。

交通事故加害者が被害者の心情に配慮するということは,道義的にも適切な動きであるため,加害者としては積極的に努力をしていきたいところです。

②保険会社に委ねられる内容・範囲

交通事故の場合,自動車保険会社が加害者に代わって被害者側とやり取りをしてくれるのが通常です。任意保険に加入している場合,当事者間で連絡を取り合うのではなく,保険会社担当者と被害者との間で連絡を取り合うことが一般的でしょう。

もっとも,保険会社に被害者への対応を委ねることによって不起訴処分が目指せるか,というと,そうではありません。なぜなら,保険会社は刑事処罰に関する被害者の意向に配慮する立場にはないからです。
保険会社は,加害者がすべき金銭賠償を代わりに行う役割を担います。逆に,金銭賠償と関係のない事柄については,保険会社が介入することは許されていません。

保険会社に被害者とのやり取りを委ねても,不起訴を目指す動きとしては不十分である,という点に注意することをお勧めします。

③過失やケガの程度を争うことの問題点

交通事故の場合,加害者の過失や被害者の怪我の程度は様々です。そして,過失の程度や怪我の程度によって,刑事処分は異なってくることになります。
そのため,加害者の立場としては,実際よりも過失や怪我の程度を大きく見積もられていると考える場合,この点を争う方針もあり得るところです。

もっとも,過失や怪我の程度がさほど大きくない,との主張は,犯罪が成立するかどうかとは無関係な主張であるということに注意が必要です。この主張は,「過失や怪我の程度が大きくないから処分を軽くしてほしい」という意味合いのものであり,いわゆる情状の一内容にとどまるのです。

そのため,過失や怪我の程度を主張する場合には,「温情的な判断を期待する動きだ」ということを十分に理解し,主張する際のスタンスや主張の仕方を誤らないように注意することが適切でしょう。

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