
このページでは,淫行事件で警察から呼び出された場合について,適切な対応方法などを弁護士が解説します。
淫行事件に関する呼び出しへの対応や今後の見込みを検討するときの参考にご活用ください。

目次
淫行事件で呼び出された場合の対応法
①既にトラブル化している事件
淫行事件の場合,相手の親権者に発覚するなどして,捜査より先に当事者間・家族間でトラブル化している場合も少なくありません。相手の家族等との間でトラブル化した後に捜査機関の呼び出しを受けるケースでは,相手の親権者が当事者間での話し合いでなく刑事事件としての捜査を希望した,という状況であることが推測できます。
そのため,当事者間でトラブル化した事件の呼び出しを受けた場合には,まず相手やその家族に直接の連絡を取ることを控えるよう注意しましょう。相手の家族が直接の連絡を希望している可能性は見込まれないため,事態の深刻化を招く原因となってしまいかねない不適切な行動と言えます。
既にトラブル化している淫行事件で呼び出しを受けた場合には,相手方や家族への直接の連絡を控え,端的に呼び出しへ応じることが適切です。
ポイント
淫行事件は,先に当事者間や家族間でトラブルとなるケースも少なくない
トラブル化した後に呼び出された場合は,相手方への連絡を試みない
②トラブル化していない事件
淫行事件について,特に当事者間で問題となっていなかったにもかかわらず,突然捜査機関から呼び出しを受ける,という流れになる場合もあり得るところです。このような場合は,相手の未成年者側に予期せぬ事情が生じたため,捜査機関が介入することになった可能性が見込まれます。
そのため,当事者間ではトラブル化していない状況で呼び出しを受けた場合には,捜査機関が相手の未成年者からある程度事情を聴き取っていることを念頭に対応するのが賢明です。
突然の呼び出しを受けると,心当たりがないことでも気圧されて自白をしてしまったり,逆に心当たりがあるのに言い逃れを図ってしまったりすることは珍しくありません。しかし,捜査機関が相手から事情を聴き取っているであろうことを踏まえれば,これらはいずれも合理的な対応とは言い難いところです。相手の話と明らかに矛盾する言い分となった場合には,強く追及されるなど不要な不利益を被る可能性もあります。
ポイント
相手側に予期せぬ事情が起きて捜査機関が介入した,という可能性が高い
捜査機関が相手からある程度事情を聴き取っていることを念頭に置くべき
③職場内・業務上の事件
職場内や業務上で接点のある未成年者との淫行事件である場合,捜査の過程で捜査機関から職場への問い合わせや捜査協力の要請がなされる可能性も十分に考えられます。呼び出しを受けるということは,捜査が開始されているということであるため,その後に捜査機関から職場への接触が生じる可能性を想定しておくことが望ましいでしょう。
そのため,職場内や業務上で発生した淫行事件で呼び出しを受けた場合には,事情や状況を職場と共有することも有力な手段です。捜査機関から職場に告げられる事件内容と,実際に起きた出来事が一致しているとは限らないため,事実を誤解されないように配慮することは有益である場合が多いでしょう。
ポイント
捜査の過程で捜査機関から職場への接触が想定される
正確な事実関係を職場に伝えることは有力
淫行事件の呼び出しに応じると逮捕されるか
淫行事件で呼び出しを行う場合,呼び出しに応じる限り逮捕はしない,という方針であることが通常です。淫行事件は,それ自体が逮捕の必要性の高い事件類型というわけではないため,呼び出しなどを活用して,逮捕しないで捜査を進めることは珍しくありません。そのため,呼び出しへの対応があまりに不適切でなければ,そのまま逮捕なく捜査が進むことになりやすいでしょう。
特に,淫行事件で逮捕されにくいケースの特徴としては,以下の点が挙げられます。
逮捕につながりにくい淫行事件の特徴
1.被害の程度が限定的
→性行為の内容や回数,相手の年齢などを踏まえ,被害が限定的である場合
2.男女関係のもつれに過ぎない可能性
→当事者間のケンカがきっかけであるなど,男女関係のもつれから報復目的で刑事事件化された可能性がある場合
3.当事者間での解決が期待できる
→継続的な交際関係があるなど,当事者間又は家族間で解決する方が適切な結果に至る場合
逆に,これらの特徴に当てはまらないケースは,淫行事件の中でも逮捕リスクが比較的高い事件と言えるでしょう。
淫行事件で警察が呼び出すタイミングや方法
①初回の取調べ
淫行事件における初回の取調べは,相手から一通りの事情を聴取し,関連する証拠を確認した後に行われるのが一般的です。そのため,警察からの呼び出しは,相手からの事情聴取や証拠の確認が終わった後のタイミングになることが見込まれます。
具体的な時期は警察の取り扱いにより様々ですが,シンプルな事件であれば1~2週間ほど,内容が多岐に渡る事件であれば1~2か月ほどの捜査を経ての呼び出しは一つの目安になるでしょう。
この初回の取調べでは,相手からの話と自分の話との相違を確認する目的で行われることが多く見られます。言い分が合致しているか食い違うかによって,その後の捜査の内容や対象が変わってくるため,まずは言い分を把握する,という動きになるでしょう。
②2回目以降の取調べ
2回目以降の取調べに際しては,それ以前の自分の供述内容を念頭に,供述調書を作成する目的であることが見込まれます。取調べで回答した内容は,警察にて書面化され,捜査記録の一部とされますが,その書面を作成するには,当人を呼び出して内容を確認の上,署名押印をしてもらうことが必要です。
そのため,呼び出しの目的としては,供述調書の内容に間違いがないことを確認してもらい,署名押印を求めることであるケースが多数でしょう。
呼び出しの時期は,捜査機関のスケジュールに大きな影響を受けます。非常に幅は広いところですが,数週間から数か月といったイメージで進むことが見込まれやすいでしょう。
③物的証拠の提出・返却
淫行事件での呼び出しには,証拠の提出を求めたり,提出された証拠を返却したりする目的であるケースもあります。具体的に必要となる証拠の内容は個別の事件により異なりますが,一例としては以下のようなものが考えられます。
淫行事件における物的証拠の例
1.携帯電話及び連絡履歴
→当事者間の連絡内容が裏付けられるものがある場合
2.車両やドライブレコーダー映像
→車での移動,車中での会話や性的行為がある場合
3.宿泊施設等の利用履歴
→性的行為等のために施設を利用している場合
証拠の提出は,基本的な取調べを一通り行った後に求められることが多く見られます。事情を確認しなければ,必要な証拠を特定することが困難であるためです。
淫行事件の呼び出しに応じたときの注意点
①相手との連絡は控える
淫行事件で呼び出しを受けた段階では,既に相手との直接の連絡を試みるのが不適切な状況であると理解するべきです。捜査機関が刑事事件として取り扱っていることが明らかであるため,連絡を試みるのであれば,まず捜査機関を通じて相手方(又は親権者)の意向を確認してもらうのが適切な流れでしょう。
また,相手に連絡を試みる場合は,弁護士を挟んで行うのが適切です。弁護士を介して,弁護士限りで連絡を試みるという方法であれば,トラブルや不利益の原因となることは考えにくいと言えます。
②示談を積極的に検討する
淫行事件は,当事者間での解決が刑事事件の結果を決定的に左右することも珍しくありません。示談によって当事者間で解決していれば,基本的に刑事処罰の対象とはならないと言ってよいでしょう。
そのため,淫行事件で呼び出しを受けた際には,解決方法として示談の検討を行うことが非常に有力です。淫行事件の特徴として,相手方が性的な行為に同意している,という点があるため,相手の同意を踏まえた検討をしてもらうことができれば,示談の成立に至る可能性が高い傾向にある事件類型と言うこともできます。示談を試みた際の見込みが比較的良好でもあるため,示談の検討は積極的に行う方が有益でしょう。
③否認の主張をする場合
否認事件の場合には,呼び出しに応じて出頭した際,争点となる具体的な主張の内容をしっかりと整理しておくことをお勧めします。
この点,淫行事件の否認事件で争点となりやすいポイントとしては,以下の点が挙げられます。
淫行事件の争点となりやすいポイント
1.相手の年齢
→18歳未満だと把握していたか,把握していなかった場合,理由は何か等
2.行為の内容
→どこに触れたか,性行為に至ったか等
否認事件で呼び出しを受けるケースの多くは,警察に相談を試みた相手の親権者も,その相談を受けた警察の担当者も,事件の内容を断片的にしか把握していないことが見受けられる傾向にあります。そのため,捜査機関が争点にとって重要な事実関係を把握していないと思われる場合には,その点を特に整理して説明できることが望ましいでしょう。
警察が呼び出す主な目的
警察から呼び出しを受ける場合,その目的には主に以下のようなケースが考えられます。
①参考人である場合
参考人とは,特定の事件について捜査の参考とすべき情報を持っているであろう人を言います。具体例としては,事件の目撃者や,被疑者の同僚・友人といった近しい人物,会社で犯罪が起きた場合の従業員などが挙げられます。
参考人の呼び出しは,犯罪捜査のために必要な情報を参考人から教えてもらうために行われるものです。参考人は捜査や処罰の対象となることが想定されていないため,逮捕をされたり前科が付いたりすることは通常ありません。
②身元引受人である場合
身元引受人とは,文字通り被疑者の身元を引き受ける人を言います。身柄を拘束しない事件(=在宅事件)の場合,捜査機関は被疑者の任意の出頭を求めることになりますが,出頭をより確かに見込めるように,適任者を警察署に呼び出し,身元引受人となることを求める取り扱いが広く行われています。
身元引受人は,同居家族(配偶者や親など)であることが一般的です。同居家族に適任者がいない場合は,勤務先の上司や被疑者の依頼した弁護士が身元引受人になることもあります。
身元引受人に対する呼び出しは,通常,被疑者の初回の取り調べが終了した後に行われます。捜査機関から身元引受人に電話連絡がなされ,被疑者を連れて帰ることと身元引受人になることが依頼される,という流れが一般的です。
身元引受人は,被疑者の監督者というのみの立場であるため,呼び出しに応じても逮捕されたり前科が付いたりすることはありません。また,呼び出しに応じなかったとしても特に問題が生じることはありません。
③被疑者である場合
被疑者とは,犯罪の嫌疑をかけられている者をいいます。ニュースなどでは「容疑者」と呼ばれますが,法律的には「被疑者」が正しい呼び方となります。
被疑者を呼び出す目的は,犯人候補として取調べを行うことに尽きます。犯罪の疑いを認めるかどうか,認める場合には具体的に何をしたか,などを確認し,記録化するために,被疑者を警察署へ呼び出します。
被疑者として呼び出される場合,事件の内容や状況によっては逮捕される可能性も否定できません。また,犯罪事実が明らかになれば,刑事処罰を受けて前科が付く可能性もあり得ます。
参考人 | 身元引受人 | 被疑者 | |
呼び出しの理由 | 事件の情報獲得 | 被疑者の出頭確保 | 犯人候補の取り調べ |
逮捕の可能性 | 通常なし | なし | あり |
前科の可能性 | 通常なし | なし | あり |
警察の呼び出しを拒むことは可能か
警察の呼び出しには強制力がありません。そのため,呼び出しを拒んだとしても法的にペナルティを科せられることはなく,その意味では呼び出しを拒むことはどのような場合でも可能,ということになるでしょう。
もっとも,立場によって呼び出しを拒むことにリスクや問題の生じる可能性はあり得ます。
①参考人の場合
参考人は,捜査への協力を依頼されている立場に過ぎないため,呼び出しに応じなかったとしてもリスクを抱えたり問題が生じたりすることは通常ありません。
ただし,「現在は参考人にとどまる取り扱いだが,犯罪への関与が疑われる可能性がある」という状況の場合には,呼び出しに応じないことのリスクが生じ得ます。呼び出しに対して積極的な協力や情報提供を尽くす場合に比べると,呼び出しを拒んで捜査協力を一切しない場合の方が,より強く犯罪の関与を疑われやすい傾向にあるためです。
そして,具体的な犯罪への関与を疑われた場合,今度は参考人でなく被疑者として,呼び出しを受けるなどの捜査が行われる可能性も否定はできません。
そのため,呼び出しを拒むことで犯罪への関与を疑われかねない場合には,拒むリスクが生じ得ると言えるでしょう。
②身元引受人の場合
身元引受人は,犯罪への関与が想定されていない立場の人物であるため,呼び出しを拒むことで犯罪の疑いをかけられるものではありません。
もっとも,同居している被疑者の身元引受人となるよう求められ,これを拒んだ場合,被疑者に不利益が生じる可能性は考えられます。身元引受人が拒んだから逮捕をする,ということはあまりありませんが,所在確認のために警察が自宅に訪れることは珍しくありません。そうすると,周囲の人々に警察と関わっている事実が分かってしまい,私生活に影響を及ぼす恐れがあり得ます。
被疑者が同居の家族であって今後も同居を予定している,という場合には,可能な限り身元引受人としての呼び出しに応じる方が無難なケースが多いでしょう。
③被疑者の場合
被疑者に対する呼び出しは,取り調べを行うための方法の一つとして行われるものです。この点,捜査機関が被疑者の取り調べを行う方法は,逮捕して強制的に行うか,呼び出しをして任意の出頭を求めるかの二択であることが通常です。
被疑者を取り調べる方法
1.逮捕をして強制的に行う
2.呼び出して任意の出頭を求める
この点,呼び出しても任意に出頭してくれないとなると,取り調べをするためには逮捕をするほかない,という判断になる可能性もあり得ます。二択のうち一方がダメであった以上,もう一方の方法が取られるのは自然なことであるためです。
そのため,被疑者として呼び出しを受けた場合,可能な限り応じることが適切になりやすいでしょう。もちろん,あまりに回数が多かったり,あまりに時間が長かったりという場合には,その点の配慮を求めることは全く問題ありませんが,呼び出しを徹頭徹尾拒む,というスタンスを取って被疑者自身が得をすることはあまりないと考えるのが適切です。
ポイント 呼び出しを拒む行動の注意点
参考人の場合,拒むことで事件への関与を疑われないように注意
身元引受人の場合,同居する被疑者への不利益に注意
被疑者の場合,拒んだことで逮捕を誘発する可能性に注意
呼び出された場合に弁護士へ依頼するメリット
被疑者として警察に呼び出された場合には,弁護士に依頼をすることが有益になりやすいです。具体的には,以下のようなメリットが生じます。
①逮捕を回避できる
呼び出しがなされた場合,そのまま逮捕されるというケースも否定できないところです。呼び出しに応じた流れで逮捕されると,その後に弁護士への相談や依頼をすることは困難となり,一定期間の身柄拘束を強いられてしまいます。
この点,呼び出された段階で弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な対応を取ることで,逮捕を回避できる場合があります。具体的に逮捕を回避するための手段は,ケースによっても異なりやすいため,弁護士と十分に相談するようにしましょう。
②不適切な取り調べを防げる
警察に呼び出された際の取り調べは,捜査担当者のやり方によっては違法・不適切なものになる場合もあり得ます。強く恫喝されたり,侮辱的な発言を受けたりと,取り調べがヒートアップするほど精神的苦痛を伴うケースが珍しくありません。
この点,弁護士に依頼をしている場合,捜査担当者による不適切な取り調べは多くの場合で防ぐことが可能です。これは,捜査担当者が,弁護士の目があることに配慮するためです。
不適切な取り調べを行えば,後から弁護士を通じて問題視される可能性があるため,不用意な取り調べは行えない,というわけです。
弁護士の目を光らせる意味でも,呼び出しに際して弁護士に依頼することは有力な手段でしょう。
③前科を防げる
被疑者として呼び出される場合,その後に起訴されて前科が付く可能性を想定する必要があります。被疑者として呼び出されるということは,自分に対して捜査が行われていることが明らかであるため,その先に控える処分に無関心でいるわけにはいきません。
この点,呼び出しという早期の段階で弁護士に依頼することで,適切な弁護活動を尽くしてもらい,前科を防げる可能性が高くなります。被害者のいる事件であれば被害者との示談を目指す,否認事件であれば自分が犯人でないことを主張するなど,個別のケースに応じた適切な弁護活動を通じて,前科を防ぐ試みができるのは大きなメリットになるでしょう。
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藤垣法律事務所代表弁護士。岐阜県高山市出身。東京大学卒業,東京大学法科大学院修了。2014年12月弁護士登録(67期)。全国展開する弁護士法人の支部長として刑事事件と交通事故分野を中心に多数の事件を取り扱った後,2024年7月に藤垣法律事務所を開業。弁護活動のスピードをこだわり多様なリーガルサービスを提供。