器物損壊事件が起きてしまった際に必見,逮捕や刑罰を防ぐために必要な器物損壊事件の最重要ポイントを簡単解説

●器物損壊事件とされるのはどのような場合か?

●器物損壊事件は逮捕されるか?

●器物損壊事件は早期釈放が可能か?

●器物損壊事件では示談をすべきか?

●器物損壊事件の中で重大なケースはどんな場合か?

●器物損壊事件の刑罰はどのくらいか?

●器物損壊事件は弁護士に依頼すべきか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,器物損壊事件に関してお困りの方に向けて,器物損壊事件で逮捕や起訴はされるか示談や不起訴を目指すにはどうすべきかなどを解説します。

器物損壊とは

器物損壊罪とは、他人の物を壊したり傷つけたりして、その物の価値や機能を減損する犯罪です。
具体的な犯罪の構成要件は、以下の通りです。

「他人の物」を「損壊し、又は傷害」すること
①「他人の物」
所有権などの物権の対象となる物である必要があります。自分の物や、所有者の同意を得て使用している物は該当しません。
②「損壊し、又は傷害」
その物の効用を害する一切の行為をいう、とされています。一般的には、物の形状や性質を変える行為が該当するでしょう。壊す以外にも、曲げる、折る、切断する、汚す、塗るなどが含まれます。

器物損壊罪に該当する行為の具体例としては、以下の者が挙げられます。
・車の窓ガラスを割ったり、タイヤをパンクさせたりする行為
・店の商品を壊したり、看板を壊したりする行為
・パソコンの重要なデータを消去する行為
・鍵穴を詰まらせる行為
・食品を不潔な環境に置く行為

器物損壊の刑罰

器物損壊罪の刑罰は、「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」と定められています。
懲役は刑務所に収監して身柄を拘束する内容の刑罰、罰金は金銭の支払を指せる刑罰ですが、科料は1000円以上1万円未満の金銭を支払わせる刑罰であり、罰金が軽微になったもの、という性質の刑罰です。
そのため、器物損壊罪の刑罰は、3年以下の収監か30万円以下の金銭納付、という理解ができるでしょう。

器物損壊と逮捕

器物損壊事件は、必ずしも逮捕される可能性が高い事件類型ではありません。
特に、損害の規模があまりに大きくなければ、1件の器物損壊事件で直ちに逮捕されるケースは少数派ということもできるかと思います。

もっとも、以下のような場合には逮捕の可能性が高くなる傾向にあります。

①反復継続して同種事件が行われている場合
多数の自動車のタイヤをパンクさせて回っているなど、同種事件を反復継続している事件は、計画性も高く今後の同種事件の発生も懸念されるため、その事件の重大性を踏まえて逮捕される可能性が高くなる傾向にあります。

②怨恨が動機となって起きた場合
怨恨など、人間関係の悪化が原因となって起きた器物損壊事件は、今後もトラブルの深刻化に伴う重大事件の発生が強く懸念されたり、被害者への働きかけによる証拠隠滅の恐れが想定されたりするため、逮捕の可能性が高くなりやすい類型です。

③被疑者の捜査協力がない場合
捜査を開始し、警察が被疑者を呼び出しているにもかかわらず、一向に応じる気配のない場合などが挙げられます。このような状況では、被疑者の逃亡や証拠隠滅の恐れが高いため、逮捕の可能性が高くなります。

器物損壊における示談の重要性

器物損壊罪の場合、示談ができるかどうかは刑事処分を決定付ける極めて重要な要素となります。
それは、器物損壊罪が親告罪であるためです。

親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪を言います。一般的に、告訴を行うのは被害者ですが、被害者が告訴をしなければ、検察は器物損壊罪を起訴することができません。
そのため、親告罪においては、被害者が告訴をするかどうか、告訴した場合にこれを取り消すかどうかが、事件の起訴不起訴を直ちに左右するほどの重要な事情となるのです。

もっとも、示談によって不起訴を獲得するためには、示談の内容として告訴の取り消しを設けるなど、親告罪であることに配慮した適切な方法で行う必要があります。
具体的な示談交渉や締結は、刑事事件に精通した弁護士に依頼することを強くお勧めします。

ポイント
器物損壊事件は決して逮捕の可能性が高くはない
器物損壊罪は示談ができれば確実に不起訴処分になる

より重大な事件になる場合

器物損壊の趣旨でなされた行為が、器物損壊罪よりも重大な事件になってしまう場合があります。
それは、建造物損壊罪が成立する場合です。

①建造物損壊罪の要件
建造物損壊罪は、他人の建造物を損壊した場合に成立する犯罪類型です。
ここでいう損壊も、基本的には器物損壊罪と類似しており、建造物の効用を害する一切の行為であるとされています。
物理的に破壊することはもちろんですが、著しく汚損する場合も含まれます。また、心理的に使用できない状態になることも含まれます。

建造物損壊罪に該当する行為としては、以下のようなものが挙げられます。
・住宅の壁にスプレーやペンキをかけた
・建造物の玄関ドアについた鍵を破壊した
・建造物の中に汚物をばらまいた
・集合住宅の郵便受けを汚損した

②建造物損壊罪の刑罰
建造物損壊罪の罰則は、「5年以下の懲役」とされています。
器物損壊罪より懲役刑が重く、懲役刑より軽い罰金刑となる余地もありません。

③建造物損壊罪と告訴
建造物損壊罪は、器物損壊罪と異なり親告罪ではありません。そのため、建造部と損壊罪の場合、被害者らの告訴がなくても起訴することが可能です。
告訴がなければ起訴できない器物損壊罪よりも、刑罰が科せられるケースの多い事件類型と言えるでしょう。

ポイント
建物を損壊してしまっていると,より重い建造物損壊罪に
建造物損壊罪は親告罪でないため,示談しても起訴される可能性あり

器物損壊事件の刑事処分

器物損壊事件の処分は、示談が成立しているなど、告訴がないケースでは確実に不起訴処分となります。告訴が後から取り消されたケースも同様です。
そのため、器物損壊事件で起訴されるのは、有効な告訴がなされ、それが取り消されなかった場合に限られることとなります。

器物損壊罪が起訴される場合、あまりに規模の大きなものでなければ罰金刑の対象となることが多く見られます。器物損壊罪そのものの処分は、直ちに実刑判決となるほど重大になることは多くないでしょう。

もっとも、被害者との間で示談が成立せず、告訴が存在する状況であれば、犯罪事実がある限り起訴されやすい、ということもできます。被害者と示談できれば確実に不起訴を獲得することもできますが、示談の試みをしなければ起訴が見込まれやすいことになります。

器物損壊事件で弁護士に依頼すべき場合

①認め事件の場合

認め事件は、示談により不起訴処分を目指すことが極めて重要です。刑罰を受け入れる場合を除いては、弁護士への依頼が適切でしょう。

弁護士に依頼した場合、弁護士から捜査機関に示談を希望する旨申し入れを実施します。捜査機関から被害者側に意向を確認し、被害者の了承が得られれば、弁護士と被害者との間で連絡先を交換して示談交渉に着手することができます。

示談が成立した場合、弁護士が示談書等の必要な書面を作成し、被害者と示談の締結を行います。確実に不起訴処分となるよう、告訴の取り消しを確認し、捜査機関に提出します。
なお、一度取り消された告訴を再度行うことはできないため、告訴が取り消された時点で不起訴処分が見込まれることになります。

なお、器物損壊事件の示談金額は、損壊された物の価値を基準に検討することが多いでしょう。一般的には、被害物の価値相当額に、お詫びの趣旨でいくらかの金額を上乗せし、示談金額とする例が多く見られます。

②否認事件の場合

否認事件の場合、起訴されるかどうかは犯罪事実が立証できるかどうかに左右されます。

もっとも、犯罪事実が立証できるか、というのは高度に法律的な問題であるため、具体的な主張内容や方針は、弁護士に依頼の上で弁護士と検討し、実施することが適切です。弁護士に依頼した場合、弁護士から適切な方針とそのための活動内容に関する案内を受けることができます。

器物損壊事件に強い弁護士をお探しの方へ

器物損壊の事件は,被害者との間で解決ができているかどうか,という点が処分に直接の影響を及ぼす事件類型です。
そのため,被害者と示談を締結することが非常に重要となりやすいですが,示談の締結には弁護士への委任が不可欠となります。
器物損壊事件で不起訴を獲得したい場合は,刑事弁護に精通した弁護士への依頼をお勧めいたします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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