このページでは,公然わいせつ事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。
【このページで分かること】
公然わいせつ事件における示談とは
公然わいせつ事件で示談するメリット
公然わいせつ事件で示談をする方法
公然わいせつ事件の示談金相場
公然わいせつ事件の示談内容・条項
公然わいせつ事件の示談で注意すべきこと
公然わいせつ事件の示談に必要な費用
目次
公然わいせつ事件における示談とは
公然わいせつ罪とは,文字通り「公然とわいせつな行為」をする犯罪です。代表例としては,路上で性器を露出したり,不特定多数の人がいる場で性行為をしたりすることが挙げられます。
この公然わいせつ罪は,直接の被害者が存在しない犯罪類型と理解されています。公然わいせつ罪によって害されるのは,秩序ある社会であって,個人ではないと考えられているためです。
公然わいせつ罪が犯罪とされることで守られているのは,公然わいせつ行為が安易に起きず,性的な乱れのない社会とされています。そのため,公然わいせつ事件が起きた場合,その被害者とされるべき個人は存在しないのが通常です。
しかし,公然わいせつ行為が特定の個人に向けられている場合など,事実上は個人に対するわいせつ行為と評価されるケースでは,その目撃者との示談が非常に重要な動きになりやすい傾向にあります。この場合には,社会の秩序が乱されたことによって現実に損害を被っているのが目撃者個人のみであるため,その目撃者の意向が刑事処分の結果に大きく影響するからです。
したがって,公然わいせつ事件では,「特定の目撃者が存在する場合に,目撃者との間で行う示談」が目指すべき示談ということになるでしょう。
ポイント
公然わいせつ事件は秩序ある社会を守るもの
ただし,特定の目撃者に向けられている場合は,目撃者の意向が刑事処分に大きく影響する
公然わいせつ事件で示談するメリット
①逮捕の回避
公然わいせつ事件は,特に複数回発生している場合,逮捕の可能性が高くなるケースがあり得ます。同種の公然わいせつ事件が複数回発生している場合,今後も同様の事件が発生する可能性も高く,逮捕しなければ社会の健全な秩序が守れないと判断されるためです。
また,事件が1件であったとしても,それが特定の個人に向けられた悪質なものである場合は,その目撃者個人を保護するために逮捕される可能性が高くなります。このようなケースでは,公共の場における痴漢事件や強制わいせつ事件と類似のものと評価され,目撃者への危害を避けるための逮捕が有力となるからです。
しかしながら,公然わいせつ事件で目撃者と示談をした場合,示談後にその事件で逮捕されることは基本的になくなると考えてよいでしょう。目撃者との間で解決をしている以上,目撃者保護のために逮捕をする必要がなくなるためです。
この点,複数の事件がある場合,一人の目撃者と示談をしても他の事件で逮捕される可能性は残るとの理解も自然ではあります。もっとも,一つの公然わいせつ事件で示談を試みている以上,その後に類似の事件を起こす可能性や,目撃者に危害の及ぶ可能性は大きく低下しているため,複数の事件があっても逮捕の可能性はハッキリと下がることになるでしょう。
ポイント
複数の事件がある場合,特定の目撃者を狙った事件の場合は,逮捕の可能性が高まる
示談ができれば,その事件で逮捕される可能性はほぼなくなる
②前科の回避
公然わいせつ事件は,犯罪事実が間違いない場合,起訴されることが通常です。起訴された場合,初犯であれば罰金刑が多く見られますが,刑罰であることに変わりはないため,前科が付くことになってしまいます。
また,初犯でない場合など,処分が重くなる事情もあれば,罰金刑にとどまらず,公開の裁判がなされた上で執行猶予又は実刑といったより重い刑罰の対象となる可能性も否定はできません。
この点,示談がなされている場合,初犯の事件であれば不起訴処分が見込まれやすいところです。不起訴処分となれば,刑罰を受けることもなくなるため,前科を防ぐことができます。
また,刑罰を防ぐことができない場合であっても,目撃者との示談はその刑罰を劇的に軽減させる効果を発揮します。いずれにしても,前科の回避を目指して示談を行うことに損はないと言えるでしょう。
ポイント
公然わいせつ事件は,犯罪事実が立証できる場合は起訴するのが通常
目撃者との示談によって,処分は劇的に軽減する
公然わいせつ事件で示談をする方法
公然わいせつ事件における示談は,わいせつ行為の目撃者との間で行うことになりますが,加害者と目撃者の間では,連絡を取り合う方法のないことが通常です。そのため,捜査機関を通じて,目撃者に示談希望の旨を伝えてもらう必要があります。
しかし,加害者本人が示談希望をしたとしても,目撃者との直接の連絡を認めてもらうことは困難です。加害者とのやり取りは目撃者との負担が大きい上,更なるトラブルの原因にもなりかねないと理解されるためです。
そのため,公然わいせつ事件で示談をするためには,弁護士に依頼し,弁護士を間に挟んで目撃者への連絡を試みることが必要となります。依頼を受けた弁護士は,捜査機関に示談希望の旨を伝え,目撃者の意思を確認してもらいます。目撃者が示談交渉を了承した場合には,弁護士に連絡先が伝えられるなどし,示談交渉が開始できる,という流れになるのが一般的です。
示談交渉の流れ
1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する
公然わいせつ事件の示談金相場
公然わいせつ事件の示談金は,概ね10~50万円ほどが目安になりやすいでしょう。金額に大きな幅があるのは,一口に公然わいせつ事件といってもその内容が様々であるためです。
具体的な示談金額は,以下のように,事件の内容・悪質さによって大きく変化するのが通常です。
公然わいせつ事件の示談金目安
1.特定の個人に対して性器を見せつけた場合
→30万円~50万円ほど
性的欲求を満足させるために,特定の個人に精神的苦痛を強いる行為であって,公然わいせつ事件の中でも悪質性の高いものと評価されます。
2.車内での自慰行為を通行人に目撃された場合
→10~30万円ほど
目撃者に見せつけるつもりでないことは明らかであるため,悪質とまでは評価されませんが,車を停めていた場所によっては,目撃されることを期待していたと考えざるを得ない場合もあり,悪質性が高くなり得ます。
3.路上での用足し(小便)を目撃された場合
→10万円ほど
通常の用足しであれば,目撃者に向けられた行為である可能性がほとんどないため,悪質性が高いとは評価されづらい傾向にあります。
公然わいせつ事件の示談内容・条項
①一般的な示談条項
【確認条項】
加害者が被害者に支払う金額を確認する条項です。
【給付条項】
加害者が支払う金銭について,支払時期や方法を定める条項です。
【清算条項】
示談に定める支払いのほか,当事者間に債権債務関係がないことを確認する条項です。示談金を支払う場合は,清算条項を確実に儲けることが重要となります。
清算条項は,示談成立後に相手から重ねて金銭請求されることを防ぐ効果があります。逆に,清算条項を設けていないと,法的には示談後にも別途金銭請求される余地が残ってしまうことになります。
【宥恕条項】
被害者が加害者を許すことを内容とする条項です。宥恕(ゆうじょ)とは,「許し」を意味します。
公然わいせつ事件で目撃者と示談を行うのは,目撃者からこの宥恕条項を獲得するためです。目撃者が宥恕の意向を示している場合には,これを理由に刑事処分を軽減させることが可能になります。
②公然わいせつ事件で特に設ける条項
【接触禁止】
加害者が目撃者に接触することを禁止する条項です。目撃者は,加害者との接触を防ぎたいと考えていることが通常であるため,公然わいせつ事件では今後の当事者間の接触を防止する内容の示談とすることが一般的でしょう。
【立入禁止】
事件現場や付近への立入を禁止する条項です。特に,加害者が目撃者の住居やその近辺で公然わいせつ行為に及んだ場合に設けられることが多くなります。
典型例は,帰宅する目撃者の後をつけて,人目のない場所で性器を見せつけた,といった場合です。このようなケースでは,加害者が目撃者の生活圏を把握してしまっている可能性があるため,付近への立入を禁止することで目撃者の安全確保を約束することが有力な手段になります。
公然わいせつ事件の示談で注意すべきこと
①目撃者の特定が困難な場合
公然わいせつ罪で示談が可能になるのは,特定の目撃者がおり,その目撃者が判明している場合です。一人の目撃者に向けられた公然わいせつ事件であれば,その目撃者が警察に通報するなどしなければ捜査が開始されることはないため,捜査が開始された時点で目撃者が特定できている可能性は非常に高いと言えます。
一方,事件の内容によっては,以下のように目撃者の特定が困難な場合もあり得ます。
目撃者の特定が困難なケース
1.通報者が目撃者自身でない
→目撃者自身は警察に通報しておらず,他の第三者が警察に通報したような事件では,通報者が目撃者のことを知らない限り,目撃者が特定できない可能性があります。
2.目撃者があまりに多数である
→目撃者が多数であって,示談相手となるべき目撃者が特定できない場合,目撃者全員との示談ができない限りは示談が困難になる可能性があります。
3.目撃者がいるか不明である
→捜査されるに至った経緯によっては,そもそも事件の目撃者がいるのかがわからない場合もあり得ます。具体例としては,警察官が現認したケースや,防犯映像で後日確認されたケースなどがあり得るでしょう。
②目撃者と加害者の認識にズレのある場合
公然わいせつ事件は,わいせつ行為が目撃者に向けられたものかどうかによって悪質性が大きく変わる傾向にあります。例えば,性器を露出した事件の場合,ただ漫然と露出をしたのか,特定の相手に見せつけることで性的欲求を満たそうとしたのかによって,その悪質さは異なるとの理解が一般的です。もちろん,特定の個人に見せつけようと露出した事件の方が悪質と理解されます。
この点,加害者としては特定の個人に向けたわけではないとしても,目撃者は自分に向けて行われたと認識している場合があります。そのようなケースだと,加害者自身の認識より,目撃者は悪質な事件だと考えている,ということになり,示談の条件や示談金にも影響を及ぼす可能性があります。
具体的な解決方法や交渉の方針は,弁護士との個別のご相談が適切ですが,示談を試みるにあたっては,目撃者が自分と同じ理解をしているわけではないという可能性を想定しておくようにしましょう。
公然わいせつ事件の示談に必要な費用
藤垣法律事務所で公然わいせつ事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。
①活動開始時
着手金 | 33万円 |
実費相当額 | 1万円 |
合計 | 34万円 |
一般的な在宅事件では,34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。
②弁護活動の成果発生時
不起訴処分 | 33万円 |
示談成立 | 22万円(※) |
出張日当・実費 | 実額 |
活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。
③示談金
公然わいせつ事件の場合,10~50万円の示談金が目安として想定されます。
④合計額
上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。
目安となる費用総額(10万円で示談成立+不起訴の場合)
弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:10万円
計:99万円
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