【置き引き事件の示談を知りたい人のために】示談の必要性や示談金相場,具体的方法などを解説

このページでは,置き引き事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

置き引き事件で示談は必要か
置き引き事件における示談のメリット
置き引き事件で示談をする方法
置き引き事件の示談金相場
置き引き事件の示談内容・条項
置き引き事件の示談で注意すべきこと
置き引き事件の示談に必要な費用

置き引き事件で示談は必要か

置き引き事件で刑事処分の軽減を目指す場合は,示談は必要と考えるべきでしょう。置き引き事件は,示談するかどうかによって,処分が劇的に変わりやすいです。

置き引き事件は,対象となった物があまりに価値のないものでない限り,犯罪が立証できれば何らかの刑事処罰の対象となることが一般的です。一方,同じ事件で被害者と示談が成立している場合では,むしろ刑事処罰の対象とならないことが見込まれやすくなるでしょう。

ただし,示談が必要となるのは,犯罪事実を認めていてその処分の軽減を求める場合に限られます。犯罪の疑いが事実無根であると主張する(否認事件である)場合,示談はむしろ主張とはちぐはぐな行動となってしまう可能性があるため,示談の要否は慎重に検討するのが適切でしょう。

ポイント
置き引き事件では,示談は処分軽減に劇的な影響を及ぼす
否認事件では,示談が主張とちぐはぐな行動にならないよう注意すべき

置き引き事件における示談のメリット

①逮捕を防げる

置き引き事件は,決して逮捕の可能性が高い事件類型とは理解されていませんが,事件の内容や発覚の経緯などを踏まえて逮捕に至ることは十分にあり得ます。

この点,示談が成立した置き引き事件の場合,示談の後に逮捕されることは考え難いです。逮捕は,被害者への配慮や被害者保護の観点から行われることが多く見られますが,示談が成立した場合には逮捕までして被害者を保護する必要がないと理解されるためです。

早期の示談は,万一の逮捕を防ぐための最善の手段と言えるでしょう。

②前科を防げる

置き引き事件の場合,犯罪事実の存在が明らかであれば罰金刑や懲役刑といった刑罰の対象となることが見込まれます。刑罰を受けた経歴を俗に「前科」と言いますが,刑罰を受けてしまえば前科が付くことにもなります。

この点,置き引き事件で示談が成立した場合,被害者は加害者への刑罰を希望していないことが明らかになります。置き引き事件の刑罰は,被害者が刑罰を希望するかどうかを重要な判断材料として決められるため,被害者が刑罰を望まない場合には不起訴になる可能性が飛躍的に高まります。
一般的な置き引き事件の場合,示談が成立していれば,基本的に不起訴になると言っても決して過言ではないでしょう。

示談は,置き引き事件での前科を防ぐために最も大きな効果を発揮するものであり,前科を回避したい人にとってのメリットは計り知れません。

③早期釈放につながる

既に逮捕・勾留といった身柄拘束を受けている場合,示談の成立には早期釈放を促す効果があります。
置き引き事件で示談が成立すると,一般的には不起訴処分が見込まれるため,それ以上の犯罪捜査を逮捕勾留してまで行う必要はあまりありません。起訴不起訴を決定する検察官は,不起訴となることが明らかな状況となれば期限を待たずに釈放するため,示談によって不起訴処分が明らかとなれば,それだけ早期に釈放されやすくなるのです。

置き引き事件で逮捕勾留された場合は,迅速な示談を通じて早期釈放を目指すのが非常に有力でしょう。

④刑事手続の長期化を防げる

示談の成立した置き引き事件は不起訴処分が見込まれるため,処分までの刑事手続の期間が短縮する可能性が高くなります。
身柄拘束のない在宅事件の場合,基本的に捜査の期間制限がないため,数か月単位で刑事手続が続くことも数多くあります。特に,どのような刑事処分とすべきかが明確でない事件だと,補充捜査が生じるなどして長期化しやすい傾向にあります。

この点,不起訴処分が見込まれる状況であれば,比較的早期に刑事手続が終了し,対応の負担からも解放されることが可能です。置き引き事件では,示談によって不起訴が見込まれる状況になることは決して珍しくないため,示談は刑事手続の早期終結に大きな効果を発揮します。

ポイント 示談のメリット
逮捕を回避できる
前科を回避できる
早期釈放してもらえる
刑事手続の長期化を回避できる

置き引き事件で示談をする方法

置き引き事件で捜査を受けている場合,示談をするためには捜査機関(警察や検察)にその旨を申し入れ,捜査機関から被害者に連絡を取ってもらうことが必要です。
もっとも,捜査機関は加害者本人と被害者を引き合わせることをしません。当事者同士で連絡を取らせるのは,被害者にとって不適切である上,二次被害の原因になる可能性がある,と考えるためです。
そのため,置き引き事件で示談を試みるためには,弁護士に依頼の上,弁護士を通じて動くことが必要となります。

具体的な流れは,以下の通りです。

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

示談交渉は弁護士が窓口になって行うため,被害者へ謝罪の気持ちを伝える手段は別途検討する必要があります。具体的には,謝罪文を作成するなどして文書を弁護士に託し,文面を通じて謝意を伝えることが有力です。

示談の成否は,謝罪の気持ちが伝わるかどうかによることも非常に多いため,謝罪を試みる方法については弁護士との十分なご相談をお勧めします。

ポイント
示談の申し入れは,弁護士から捜査機関へ行う
謝罪文を弁護士に託すなどして謝罪の意思を伝える

置き引き事件の示談金相場

置き引き事件の示談金は,置き引きされた被害品の内容によって変わるのが一般的です。具体的には,被害品の価格にいくらかの慰謝料を上乗せして示談金とすることが多いでしょう。

置き引きの代表例は財布ですが,財布の置き引きに関して想定される示談金の考慮要素としては,以下のような点が考えられます。

財布の置き引きにおける示談金の考慮要素

1.被害品の内容
→財布内の現金
→財布内のカード類の価値

2.慰謝料関係
→財布への思い入れ
→財布を失った不安や苦痛
→警察などに相談を強いられた負担
→クレジットカードを止める手続の負担

3.事後的な事情
→財布や中身が被害者の手元に戻ったか
→被害者が何らかの補填を受けているか

以上の各事情を踏まえて金額を協議することになりますが,それほど高価な財布でなく,多額の財産が入っていたわけではなければ,慰謝料を上乗せした示談金としては10万円前後が目安の一つになるでしょう。

ポイント
示談金は,被害品の価格に慰謝料を上乗せした金額
特に高額になる事情がなければ10万円前後が目安

置き引き事件の示談内容・条項

置き引き事件で示談を行う場合,以下のような内容を盛り込むことが考えられます。

【確認条項】

加害者が被害者へいくらの支払を行う必要(義務)があるかを,当事者間で確認する条項です。いわゆる示談金の金額を定める条項を指します。

【給付条項】

確認した金額の支払をどのように行うか定める条項です。手渡しであればいつどのように行うか,振り込みであれば振込先や期限はどうするか,という点を定めます。
一般的に,対面で示談を取り交わした場合は手渡しで,対面以外の方法で示談を取り交わす場合は振り込みで,それぞれ給付することになるでしょう。

【清算条項】

示談で定めた内容以外に,当事者間に債権債務関係(法律関係)がないことを確認する条項です。
示談は,示談金の支払によってそれ以上の支払が必要なくなる点が大きな長所ですが,この長所が生じるのは清算条項を定めているからです。万一清算条項が定められていないと,法的にはさらに金銭を請求することも可能になってしまいます。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項は,被害者が加害者を許すことを内容とする条項です。
加害者が示談金の支払を負担して示談を目指すのは,基本的にこの宥恕条項を獲得するためです。宥恕条項があることによって,捜査機関は被害者が処罰を望んでいないと理解でき,不起訴処分の根拠とすることが可能になります。

【口外禁止】

事件の内容や示談の内容を,第三者に口外しないと約束する条項です。両当事者のプライバシーを守るために設けることが考えられます。当事者のいずれかが希望する場合に設けるものですが,加害者にとっては設けて損のないものであるため,弁護士が示談を行うときには盛り込むことが通常です。

【置き引き事件における示談内容の特徴】

置き引き事件の場合,性犯罪などと異なり,当事者間の接触を防ぐ目的の条項を数多く設けることはあまりありません。そもそも,置き引きという事件の性質上,当事者が直接接触していないため,「今後接触されるかも」という懸念を抱くこと自体が多くはないでしょう。

もちろん,被害者が加害者との接触を希望することは考えにくいため,「今後接触しない」という約束を条項にすることは非常に多いですが,それに加えて接触しないことを確実にするための条項(一定の場所に近づかない等)を設けるケースは少数です。

置き引き事件の示談で注意すべきこと

①経済的損害より心身の苦痛が大きくなりやすい

置き引き事件は,経済的な損害自体はそれほど大きくない場合が少なくありません。しかしながら,事件に遭ったことやその後の対応に伴う心身の苦痛は決して小さなものなく,むしろ被害者の損害のメインになっている場合もあります
被害者に生じる心身の苦痛としては,以下のようなものが挙げられます。

置き引き事件の被害者に生じる精神的苦痛

1.警察への通報や警察対応の負担
2.被害品がないことによる不便(鍵,カード等)
3.示談交渉を求められる負担

置き引き事件の示談を試みる場合には,被害者の負担が被害品の価値以上に大きい場合があることを踏まえておくべきでしょう。

②経済的価値だけで金額を決められない場合がある

置き引き事件の示談金は,被害品の価格を基準に決めることが通常ですが,物によっては経済的な価値だけで示談金を定めることができない場合もあります。

例えば,金額は小さいものの支払時期が迫っている場合の現金,大切な人(特に子ども)からの特別なプレゼント,スペアのない鍵など,金銭換算すればそれほど高額でなくても,被害者にとっては価値の高い場合が多い,という点は置き引き示談の大きな特徴です。

ポイント 置き引き示談の注意点
不便や負担の方が被害者の損害のメインである場合も
金銭的価値以上に被害者にとって価値のある物品も

置き引き事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で置き引き事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

置き引き事件の場合,10万円前後の示談金が目安として想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(10万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:10万円

計:99万円

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