風俗トラブルで問題になるケース・対処を誤るリスク・刑事処罰の可能性・弁護士依頼のメリットなどを専門弁護士が徹底解説

●風俗トラブルはどのような場合に起きるか?

●風俗トラブルが起きた場合、どう対処すべきか?

●風俗トラブルはどんな犯罪になるか?

●風俗トラブルは逮捕されるか?

●風俗トラブルは自分でお店と解決しても問題ないか?

●風俗トラブルは弁護士に依頼するべきか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,風俗トラブルが起きた場合の対処法や、風俗トラブルで弁護士に依頼すべき場合などについて、詳細に解説します。

風俗トラブルとして問題になるケース

風俗店のサービス利用時における利用客側とお店側のトラブルを,俗に風俗トラブルということがありますが,風俗トラブルとして問題になる代表的なケースは,以下の通りです。

①本番(挿入)行為に関するトラブル

デリバリーヘルスなどの風俗店は,サービス中の本番行為(性器の挿入)を禁止しています。もし風俗店がそのサービスの一環として本番行為を行ってしまうと,風俗店は売春防止法に違反する犯罪行為(いわゆる管理売春)になるため,風俗店がサービスとして本番行為を許容することはありません。

そのため,風俗サービスの利用中に本番行為があると,担当のキャスト(店員)及び風俗店との間でトラブル化することがあります。

②撮影行為に関するトラブル

風俗サービス中は,キャストが着衣をつけず,乳房や性器などを露出していることが一般的ですが,その状況を無断で撮影した場合,トラブル化することが見込まれます。

撮影行為は,風俗店が通常禁止しているのみでなく,キャスト自身もこれを許容していることが考えにくいため,撮影の事実が発覚した場合には基本的にトラブル化すると理解するのが適切でしょう。

③サービス中の強要行為に関するトラブル

風俗サービス中に,キャストが許容しない行為を強要し,その強要行為がトラブル化するケースも考えられます。
具体例としては,プレイの一環としてキャストの首を絞めた,キャストの性器や肛門に異物を挿入した,キャストの身体に液体をかけた,といったものが挙げられます。

これらの行為は,双方の合意で行われるのであればトラブルにはならないのが通常ですが,利用客側においてキャストの合意があるものと誤解して行い,トラブル化することが散見されます。

本番行為の法律的な位置付けについて

風俗店における挿入行為を俗に「本番行為」と言いますが,その法的な位置付けには非常にあいまいなところがあります。

まず,風俗店のサービスとして本番行為を提供することは,売春防止法に違反する犯罪行為であり,風俗店側が刑事罰の対象になってしまいます。そのため,お店が表立って本番行為を許容することはないでしょう。風俗店も禁止行為としていることが一般的です。
風俗サービス中の本番行為が違法でないことの根拠は,当事者双方の合意があるためです。当事者双方が合意し,自由な意思で本番行為をしているのであれば,そのような本番行為を法律で規制する筋合いにはないということになります。あわせて,キャストが自己判断でした本番行為については,風俗店も黙認するのが通常です。

ところが,当事者双方の合意があるという前提が崩れると,トラブル化してしまいます。
利用客側の合意がない,ということは通常考えにくいですが,キャスト側の合意がない場合には,風俗店の禁止行為に該当するのみでなく,不同意性交等罪に該当する犯罪行為となる可能性も浮上します。

風俗トラブルの代表例である本番トラブルは,利用客は合意あり(=お店の禁止行為でも犯罪行為でもない)と思っていたのに,キャストや風俗店は合意なし(=お店の禁止行為であり犯罪行為である)と主張している,などと見解に相違のあることで生じるのが一般的です。

風俗トラブルの適切な対処と誤ったときのリスク

風俗トラブルが表面化する一般的な流れは,キャストが店側にトラブルの申告(連絡)をし,風俗店の関係者が現場に駆け付ける,ということが多く見られます。代表的なデリバリーヘルスの例では,性的サービスの後,キャストが利用客のシャワー中に店へ連絡し,利用客が部屋を離れる前に店舗関係者が部屋に向かってトラブル解決を迫る,という流れが多いところです。
なお,そこでのトラブル解決は,金銭的解決を指すことが通常です。風俗店のトラブル対応は,金銭的な満足を得られるかどうかを基準とすることが一般的です。

このような風俗トラブルに見舞われた際の適切な対処としては,その場で結論を出したり支払ったりせず,速やかに弁護士へ相談・依頼をすることです。その具体的な理由は,以下の通りです。

①心理的圧迫の影響で多額の支払をしてしまう危険がある

風俗店関係者からは,「女の子がショックを受けている」「犯罪だから警察に突き出すこともできる」などと真偽の不明な文句で心理的圧迫を受け,金銭賠償を強要されることが多く見られます。突然そのような話をされ,正常な判断も難しい中で対応した場合,十分な交渉も検討もできないまま,風俗店側に求められた多額の支払を行ってしまう危険が非常に大きいでしょう。

②トラブルの解決が約束されないままになってしまう

風俗店は,風俗トラブルについて金銭を受領した場合,その内容を自社又は店舗の独自の書式で作成した何らかの書面にすることが多く見られます。もっとも,その書面は,法律的な意味での紛争解決を内容としているわけではなく,記載内容も作成方法も不十分であることがほとんどであり,風俗店側の内部処理くらいの意味合いしかありません。

そのため,せっかく金銭を支払って風俗店と解決したとしても,それ以上の賠償義務があるかないか不明確な上,今後さらに金銭を請求しないとの確約もない,という状態になってしまいます。法的には何も解決しないまま,支払った金銭の負担だけが残るということになりかねません。

③キャストとの間では紛争解決ができない

風俗店の試みるトラブル解決は,あくまで風俗店と利用客の間でのものであり,キャストと利用客との解決を内容とするものではありません。そのため,風俗店と事実上解決できたとしても,その後になってキャストが自分への金銭賠償等を請求してきた場合,これを回避する手立ては存在しないことになります。
紛争全体の解決を図るためには,風俗店と利用客,キャストと利用客それぞれの解決が必要となりますが,それを実現するためには,その場で結論を出さず弁護士に依頼することが不可欠でしょう。

④個人情報を風俗店に保管されてしまう

風俗店は,風俗トラブルが発生したときの運用として,利用客の身分証の写しを取るなど,その個人情報を保管しようとすることが一般的です。もちろん,これに応じる法的な義務はありませんが,現実的にはその場を収めるために応じることが非常に多いでしょう。

この点,自分で風俗店と解決を図った場合,保管された個人情報はそのままになってしまい,これを破棄・処分などすることの約束を取り付けることは困難です。紛争解決した後に相手の個人情報を保管しておく理由は特段ありませんから,風俗店に個人情報を確保されたままの状態が非常に不適切であることは間違いありません。

ポイント
本番行為は両者の合意があるから合法
トラブル化した場合は金銭的解決が問題になりやすい
その場で解決しようとすると適切な解決は困難。弁護士への依頼が得策

風俗トラブルは犯罪になるか

風俗トラブルとして問題になる行為は,犯罪に該当する行為であることも少なくありません。そのため,風俗トラブルの事件が犯罪として捜査・処罰されるかどうかは大きな問題になります。
ここでは,主な類型ごとに,風俗トラブルがどのような犯罪になり得るか解説します。

①本番トラブル

本番トラブルは,キャストの同意なく挿入行為に及んだという問題であるため,「不同意性交等罪」に該当する可能性があります。これは,かつて強姦罪とされていた事件類型です。

もっとも,風俗店での本番トラブルと,そうでない状況での不同意性交等罪では,取り扱いに違いの生じることが少なくありません。風俗店は,そもそも性的な行為・サービスを行うためのものであり,キャストと利用客の間では何らかの性的行為を行う合意がなされていると考えざるを得ません。その場合,キャストと利用客との間でどこまでの行為について合意がなされたのかが必ずしも明確でない,という特徴があるのです。

上記で解説の通り,当事者が合意をして本番行為に及ぶのであれば,犯罪ではありませんし警察が関与する筋合いもありません。そのため,本番トラブルが問題になった場合,捜査をする警察としては,本番行為の合意がなかった(利用客も合意がないと把握していた)と言えるのかは,慎重に検討する必要のある問題になります。

②盗撮トラブル

盗撮トラブルは,「性的姿態等撮影罪」(いわゆる撮影罪)に該当する可能性が高く見込まれます。風俗サービス中,衣服をつけない状態でいるキャストを撮影する行為には,基本的に撮影罪が成立することになるでしょう。

撮影行為は,本番行為と異なり明らかにその合意がないことがほとんどです。風俗店もキャストも,撮影行為の了承をしているとは考え難く,利用客もそれを承知の上で見つからないような方法で撮影を試みるのが通常であるため,撮影罪が成立するか不明確である,というケースは少数派でしょう。

③強要トラブル

強要トラブルは,その内容によって「不同意性交等罪」「不同意わいせつ罪」「強要罪」等の犯罪に該当する可能性があります。一般的な区別は以下の通りです。

不同意性交等罪性器に物を挿入する行為,口腔性交,肛門性交
不同意わいせつ罪性交等に該当しないが,キャストの同意なく行われたわいせつ行為
強要罪わいせつ行為でないが,キャストの意思に反した行為を強いること

風俗トラブルと逮捕

風俗トラブルの場合,風俗店側が警察を呼ぶなどして警察が関与する場合も少なくありませんが,その場合でも逮捕まで至る可能性は決して高いわけではありません。
特に,本番トラブルの場合だと,利用客側はキャストが本番行為に合意していると誤解していたことがほとんどなので,犯罪が成立する可能性は低く,キャストやお店の主張のみを根拠に逮捕することは容易ではありません。

もっとも,内容があまりに過激である場合,トラブルが度重なっていて悪意がないとは考えにくい場合など,特に十分な捜査を要すると判断される場合には,逮捕に至る可能性も否定はできません。

風俗トラブルは自分で解決してもよいか

風俗トラブルは,その場で風俗店関係者から解決を迫られることが多いため,これに応じる形で自分で解決することも不可能というわけではありません。しかし,やはり自分で風俗店側と解決を図ることは,法的にはお勧めできません。

自分で解決を図ることの致命的な問題は,法的には何ら解決されていない状態のままになる,ということです。風俗店側が客の利益になるような示談書などを作成することはありませんので,それ以上の金銭債務がないのか,お店やキャストが他言しないのか,警察を巻き込まないのか,といった点については,全く手つかずになってしまいます。

風俗店やキャストがそれ以上の動きを取らなければ,現実に問題となることはありませんが,裏を返せば,風俗店やキャストが後から金銭請求をしてきたり警察に被害届を出したりしても全く問題ない,ということです。
そのリスクを抱える前提で解決や支払を行うのは,適切とは言い難いでしょう。

ポイント
風俗トラブルは逮捕される可能性が高くはない
自分で解決を図ると,法的には解決されていないままとなる危険がある

風俗トラブルで弁護士に依頼すべき場合

①金銭請求されている場合

風俗トラブルは,金銭的解決を求められるのがほとんどです。風俗店によっては,恐喝罪などの対象になることを恐れて明言を避けてくることもありますが,基本的に風俗店は全て金銭的解決を図ろうとしていると理解しても誤りではないでしょう。
そのため,風俗トラブルでは金銭面の交渉が不可欠であり,これを行うには風俗トラブルに精通した弁護士への依頼が適切です。

②周囲への発覚を防ぎたい場合

風俗トラブルは,内容の性質上,家族や職場関係者など周囲に発覚する不利益が大きいものです。そのため,周囲に発覚することなく,秘密裏に解決したいということは多いでしょう。
弁護士に依頼した場合,弁護士がすべての窓口になりますので,周囲に事態が発覚する恐れは基本的になくなります。

③個人情報を保管されている場合

風俗トラブルの際には,風俗店に身分証の写しを取られるなど,個人情報を保管されることが多く,個人情報の流出や悪用を不安に感じる場合もあるでしょう。もっとも,自分から風俗店に個人情報の処分を求めることも容易ではありません。
弁護士に依頼した場合には,トラブル解決にあわせて個人情報の処分についても合意を取り付けることで,個人情報に関する不安を解消することが可能です。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

風俗トラブルは、その場でお店とのトラブルに発展するケースが多く、スピーディーな対応が必要になりやすい事件類型です。
また、お店との話し合いになりやすいですが、正確な見通しを持った弁護士と対応することで、話し合いを適切な方向に促すことが可能になるでしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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