●どんな行為がストーカー規制法違反になるのか?
●ストーカーとして警察に注意されたらどうなるのか?
●ストーカー規制法違反はどんな刑罰になるのか?
●ストーカー規制法違反は逮捕されるか?
●意図せずストーカーと扱われたらどうすべきか?
●ストーカー規制法違反は弁護士に依頼すべきか?
といった悩みはありませんか?
このページでは,ストーカー規制法違反の事件に関してお困りの方に向けて,ストーカー規制法違反とされる具体的な内容や,ストーカー規制法違反事件の弁護活動などを解説します。
目次
ストーカー規制法違反に当たる行為の内容
ストーカー規制法で禁じられている行為には,大きく分けて「つきまとい等」と「位置情報無承諾取得等」があります。
①つきまとい等
恋愛感情が満たされなかったことへの怨恨の感情を満たす目的で,以下の8つのうちいずれかの行為をすることを指します。
つきまとい,待ち伏せ,押しかけ,うろつき
監視していると告げる
面会や交際の要求
粗野又は乱暴な言動
無言電話,連続しての電話・文書・FAX・メール
汚物や動物の死体等の送付
名誉を害する行為
性的羞恥心を害する行為
②位置情報無承諾取得等
同じく,恋愛感情が満たされなかったことへの怨恨の感情を満たす目的での行為ですが,こちらは位置情報の取得に関する以下のいずれかの行為をすることを指します。
GPSによる位置情報の取得
GPSの取り付け
③ストーカー行為
そして,この①つきまとい等や②位置情報無承諾取得等を同一人物に対して反復して行うことを,「ストーカー行為」と言います。
「つきまとい等」や「位置情報無承諾取得等」は,それだけでは刑罰の対象ではありませんが,「ストーカー行為」に当たると刑罰の対象(=犯罪)となります。
ポイント
つきまとい等を同一人物へ反復して行うこと
又は
位置情報無承諾取得等を同一人物へ反復して行うこと
を「ストーカー行為」という
ストーカー規制法違反事件の流れ
ストーカー規制法違反となるつきまといなどの行為があった場合,ただちにストーカー行為として捜査の対象になることはあまり多くありません。
一般的には,まず止めるよう求め,これに反してなおつきまといなどがあった場合に,捜査の対象とする流れが多いです。
このような場合の具体的な流れは,以下の通りです。
①警告
警察は,「つきまとい等」や「位置情報無承諾取得等」について警告を求める申し出を受け,実際にその行為が反復される恐れがあると認めたとき,さらに反復してはならないと告げることができます。
これを「警告」と言います。
警告は,ストーカー規制法に定められた手続ですが,これに反した場合の罰則はありません。
あくまで止めることを求める,という限りの措置です。
もっとも,警告に反すると,後のより重大な手続に発展する可能性が高いため,警告に違反することはお勧めされません。
②禁止命令
公安委員会は,「つきまとい等」や「位置情報無承諾取得等」があり,さらに反復して行われる恐れがあると認めるときは,相手方の申し出又は職権により,以下の内容を命令できます。
一 さらに反復してその行為をしてはならないこと
二 さらに反復してその行為が行われることを防止するために必要な事項
これを「禁止命令」と言います。
禁止命令は,その違反に罰則が伴うほど重大な処分ですが,その期間は1年間に限定されます。
ただし,1年ごとに延長することが可能です。
ストーカー規制法違反の刑罰
ストーカー規制法に定められている刑罰は,以下の3種類です。
①ストーカー行為をした場合
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
②禁止命令に反してストーカー行為をした場合
2年以下の懲役又は200万円以下の罰金
③禁止命令に違反した場合
6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
つまり,「ストーカー行為」,「禁止命令」の違反,その二つを同時にした場合,の3種類ということになります。
なお,ストーカー規制法違反の行為は,それ自体が暴行・脅迫・器物損壊等の犯罪行為に該当する場合が多いため,ストーカー規制法違反以外にも複数の犯罪が成立し,あわせて処罰されることが多く見られます。
ポイント
警告に法的拘束力はない
禁止命令は法的拘束力あり。違反は犯罪にも
禁止命令違反かつストーカー行為は刑罰が加重される
ストーカー規制法違反と逮捕
ストーカー規制法違反のストーカー行為や禁止命令違反で捜査される場合,その捜査は逮捕を伴う方法で行われることが多く見受けられます。
ストーカー規制法違反は,警告や禁止命令といった措置から順に行われていくケースが多いですが,その場合,警告や禁止命令にもかかわらずストーカー行為が終わらなかったときに,初めて刑事事件として捜査されることになります。
そうすると,捜査を行う段階では,既に度重なるストーカー行為が継続しており,止めるようにとの要求も効果がなかったとの理解になるため,逮捕をして物理的に被疑者と相手方を引き離す必要が高いと判断されやすいでしょう。
もっとも,ストーカー行為の有無が不明確な場合や,長期間にわたって当事者間の接触が生じていない場合など,決して両当事者を引き離す必要が高いとは言えないケースでは,逮捕せず在宅事件で捜査を行うこともあり得るところです。
ストーカー規制法違反と不起訴
ストーカー規制法違反の事件で不起訴を目指す場合,相手方との間で示談を試みることが非常に有力です。
ストーカー規制法違反が起訴されるのは,ストーカー行為や禁止命令違反によって被害者に損害を与えたためです。損害を与えた犯罪行為に対する責任として,刑事罰を科されることになります。
そのため,被害者に損害を与えた行為の責任が小さくなる場合には,刑事罰を科す必要もまた小さくなると考えられます。
そして,被害者の損害が小さくなり,損害を与えた行為の責任も小さくなるのは,被害者に損害賠償等をし,被害者と示談できた場合というわけです。
ストーカー規制法違反の事件は,示談ができているかできていないかによって,処分結果が大きく変わりやすいということが出来るでしょう。
なお,ストーカー規制法違反で示談を試みる場合の合意内容や示談金額は,他の事件類型に比べ,個別のケースによって非常に大きな開きが生じやすい傾向にあります。
というのも,ストーカー規制法違反の事件は,継続的なやり取りや関係を前提としたものであり,その当事者間の関係が十人十色であるからです。
刑事事件の示談は,犯罪行為を対象にした合意となることが通常ですが,ストーカー規制法違反のケースでは,それまでの継続的な関係全てを精算する内容の合意とならざるを得ず,それだけに事件前の事情が大きく影響しやすいでしょう。
また,示談内容とすることの多い項目としては,接触禁止や特定の範囲への出入禁止といったものが挙げられます。
いずれも,今後の当事者間の接触を物理的に断つための条項ですが,ストーカー規制法違反の場合,示談の要点は今後の接触がどのように防げるか,という点になることも非常に多いです。
ストーカー規制法違反を争うべき場合
ストーカー規制法違反と疑われたものの,その犯罪の成否を争うべき場合もあります。
この事件類型で代表的なのは,ストーカー目的で行った行為ではない,と主張するケースです。
ストーカー規制法違反は,目的犯と言われる犯罪類型です。
つまり,「つきまとい等」や「位置情報無承諾取得等」は,恋愛感情が満たされなかったことへの怨恨の感情を満たす目的で行われるもののみを指し,その目的で行われない行為は「つきまとい等」や「位置情報無承諾取得等」に該当せず,ストーカー行為にも当たらないのです。
この目的が存在しないと主張するべき場合は,ストーカー規制法違反を争うべき場合ということになるでしょう。
例えば,GPSを設置したものの浮気調査の目的だった,後をつけたがそれは恋愛感情とは関係ない逆恨みであった,といった場合が挙げられます。
もちろん,GPSの設置や後をつける行為は褒められるものではありませんが,ストーカー規制法違反かというのは全く別の話であり,犯罪の成否を争うことは大いにあってしかるべきでしょう。
ストーカー規制法違反として問題になるトラブルは,当事者間の認識に開きのある場合が多く,相手方がストーカー行為の目的と勘違いしているということもあり得るところです。
意図せずストーカー行為の疑いをかけられた場合には,目的がないとの争い方を検討されるとよいでしょう。
ポイント
ストーカー規制法違反は逮捕されやすい
不起訴を防ぐ場合には示談の試みが有力
ストーカー目的がない場合には犯罪の成立を争う余地も
ストーカー規制法違反で弁護士を依頼すべき場合
弁護士を依頼すべき場合としては,以下のようなケースが挙げられます。
①逮捕回避
ストーカー規制法違反事件は逮捕がなされやすい類型であるため,逮捕を回避する試みは非常に重要となることが多いです。
逮捕を防ぐ試みとしては,自首も有力な手段です。
自首とは,捜査機関が犯罪事実を把握する前に,自ら捜査機関に犯罪事実を申告する行為を言います。
ストーカー規制法違反の場合,ストーカー行為が当事者間でトラブルとなった段階で,被害者が警察に相談や被害申告をする前に,自ら警察に出頭してストーカー行為の事実を告げれば,自首が成立する可能性が高く見込まれます。
逮捕するかどうかは,逃亡及び証拠隠滅の恐れがあるかどうかを基準に判断しますが,自分から自首する人が逃亡する可能性は考え難く,進んで犯罪事実を申告している人が証拠隠滅をするとは考え難いです。
そのため,自首をした人については,逮捕の必要がないとの判断に至りやすく,自首は逮捕を回避する試みとしてとても有益であると言えます。
自首を試みる場合は,弁護士に依頼の上,より適切な方法で試みることをお勧めします。適切な手順・方法で行うことにより,逮捕回避の効果はより大きくなることが見込まれます。
②早期釈放
ストーカー規制法違反は,当事者を引き離すために身柄拘束されやすい面があります。そのため,早期釈放を目指したいという場合は多いでしょう。
早期釈放の試みは,弁護士へ依頼しなければ現実的には困難なことが多く,弁護士への依頼が適切です。
弁護士に依頼することで,捜査中の勾留期間を短縮することができるか,起訴後は保釈してもらうことができないかなど,釈放に向けた様々な選択肢を検討し,見込みや手段をご案内することが可能です。
③示談締結
ストーカー規制法違反の処分は,示談の成否によって大きく異なるため,示談の試みは処分軽減にとって非常に重要です。
もっとも,示談を試みるには弁護士に依頼することが必須となります。当事者間で直接交渉するのは不適切であり,捜査機関も許してくれないため,弁護士に依頼し,弁護士限りで相手方と交渉する方法を取る必要があります。
弁護士に依頼することで,早期に示談の試みをし,示談締結に向けた交渉を尽くすことが可能です。
④不起訴(否認事件)
否認事件の場合,犯罪の嫌疑がない,又は嫌疑不十分であるとして検察官に不起訴処分をしてもらうことが基本的な目標になります。
この点,嫌疑があるかどうか,嫌疑が十分かどうか,という点は,高度に法律的な問題であるため,処分をする検察官に対して法律の専門家である弁護士が協議を試みるのが適切でしょう。
弁護士に依頼することで,否認事件で争うべきポイントや争い方,想定される証拠などの案内を受けることが可能です。
ストーカー規制法違反の刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ
ストーカー規制法違反の事件は,早期に適切な対応を尽くせば深刻化しない場合も珍しくありません。
一方で,事態が深刻化した場合には逮捕勾留につながる場合もあり,また,意図せずストーカー行為を疑われた場合には法的な争点を踏まえた対処が必要です。
ストーカー規制法違反事件の解決には,刑事事件に精通した弁護士へのご相談やご依頼が有力でしょう。
さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。
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