不同意わいせつ罪・不同意性交等罪に当たる行為や年齢,逮捕や前科を避ける弁護活動など弁護士が完全解説

●何をした場合に不同意わいせつ罪となるか?

●性交していないのに不同意性交等罪となるのか?

●交際相手と性行為をしても不同意性交等罪なのか?

●不同意性交等罪となる年齢について知りたい

●不同意わいせつ・不同意性交等は逮捕・起訴されるか?

●不同意わいせつ・不同意性交等は弁護士に依頼すべきか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,不同意わいせつ・不同意性交等の事件でお困りの方に向けて,不同意わいせつ罪・不同意性交等罪における手続の流れや弁護活動などを解説します。

不同意わいせつとは

不同意わいせつ罪は,2023年7月13日の刑法改正で創設された犯罪類型です。
その内容は,文字通り被害者の同意がない状態でわいせつな行為をするというものです。

①不同意わいせつ罪の類型

不同意わいせつ罪の創設に際して,その行為類型が明確に定められることとなりました。
具体的な類型は以下の通りです。

1.以下のいずれかによって同意しない意思の形成や表明・全うすることを困難にさせて行うわいせつ行為
①暴行・脅迫
②心身の障害
③アルコール・薬物の摂取
④睡眠その他意識不明瞭
⑤いとまがない
⑥予想と異なる事態に直面した恐怖・驚愕
⑦虐待に起因する心理的反応
⑧経済的・社会的影響力による不利益の憂慮

2.わいせつ行為でないと誤解又は人違いさせて行うわいせつ行為

3.13歳未満を相手に行うわいせつ行為(相手が同意している場合も含む)

4.相手が13歳以上16歳未満かつ自分が相手より5歳以上年長でのわいせつ行為(相手が同意している場合も含む)

②不同意わいせつ罪の刑罰

不同意わいせつ罪の刑罰は,6月以上10年以下の拘禁刑とされています。

なお,不同意わいせつの際に怪我を負わせたり死亡させたりした場合には,不同意わいせつ致死傷罪に該当し,その刑罰は無期又は3年以上の懲役刑とされています。有期懲役刑の上限は20年のため,具体的には無期又は3年以上20年以下の懲役刑となります。

不同意性交等とは

不同意性交等罪も,2023年7月13日の刑法改正で創設された犯罪類型です。
その内容は,被害者の同意がない状態で性交等を行うというものです。

①不同意性交等罪の類型

不同意性交等罪の類型は,不同意わいせつ罪と同様です。
具体的には以下の1~4の通りです。

1.以下のいずれかによって同意しない意思の形成や表明・全うすることを困難にさせて行う性交等
①暴行・脅迫
②心身の障害
③アルコール・薬物の摂取
④睡眠その他意識不明瞭
⑤いとまがない
⑥予想と異なる事態に直面した恐怖・驚愕
⑦虐待に起因する心理的反応
⑧経済的・社会的影響力による不利益の憂慮

2.わいせつ行為でないと誤解又は人違いさせて行う性交等

3.13歳未満を相手に行う性交等(相手が同意している場合も含む)

4.相手が13歳以上16歳未満かつ自分が相手より5歳以上年長での性交等(相手が同意している場合も含む)

②不同意性交等罪の対象行為

以上の通り,不同意性交等罪が成立するシチュエーションは不同意わいせつ罪と同じですが,両者の差異は,なされた行為が「性交等」か「わいせつ行為」かという点です。
この点,「性交等」とは,以下の行為を指します。
①性交
②肛門性交
③膣や肛門に陰茎以外の身体の一部又は物を挿入する行為であってわいせつなもの

対象行為について,不同意性交等罪の創設によって大きく変わったのは,陰茎以外の挿入行為が対象となった点です。
代表的なものは手指ですが,手指を挿入する行為は,旧来の強姦罪や強制性交等罪には含まれなかったものであり,不同意性交等罪ができたことによって厳罰化された行為ということができます。

③不同意性交等罪の刑罰

不同意性交等罪の刑罰は,5年以上の有期拘禁刑とされています。有期拘禁刑の上限は20年のため,具体的には5年以上20年以下の拘禁刑となります。

また,不同意性交等の機会に人を死傷させた場合,不同意性交等致死傷罪に該当します。不同意性交等致死傷罪の刑罰は,無期又は6年以上の懲役刑です。具体的には,無期又は6年以上20年以下の懲役刑となります。

不同意性交等罪の刑罰の特徴は,執行猶予が付かないという点にあります。
執行猶予は,3年以下の懲役(拘禁)刑の場合にしかつけられないため,短期が5年とされている不同意性交等罪では原則として付けられません。
厳密には,法律に定められた減刑をすることで執行猶予を付ける余地もありますが,原則として執行猶予が付かない事件類型であることに留意が必要であるのは間違いないでしょう。

不同意性交等罪の創設によって,性器に指や物などを挿入する行為に執行猶予が付かなくなった,ということもできます。

ポイント
陰茎以外の物を性器に挿入する行為も不同意性交等罪の対象となる
法定刑が5年以上のため,原則として執行猶予がつかない

性交同意年齢について

性交同意年齢は,性的行為に対して同意する能力があるとされる年齢の下限を指します。性交同意年齢に満たない人から同意を得て性的行為に及んだ場合,それは同意を得ずに性的行為に及んだものと同視され,犯罪の対象となります。

2023年7月13日の刑法改正に伴って,この性交同意年齢が従来の13歳から16歳に引き上げられました
したがって,改正後は16歳未満の人に対してわいせつ行為や性交等を行った場合,同意があっても不同意わいせつ罪や不同意性交等罪が成立することになります。

なお,相手が13歳以上16歳未満の場合は,自分が相手より5年以上年長のときに限り,相手が性交同意年齢に至っていないものとされます。
そのため,14歳の相手にわいせつ行為をしたケースでは,20歳の者については不同意わいせつ罪が成立しますが,18歳の者については同意があれば不同意わいせつ罪が成立しないという結論になります。

不同意わいせつ・不同意性交等と逮捕

不同意わいせつ罪や不同意性交等罪は,逮捕される可能性が非常に高い事件類型です。
その理由としては,事件が重大であること,被害者への接触があると取り返しがつかなくなる可能性があることなどが挙げられます。
逮捕するかどうかは,逃亡の恐れ及び罪証隠滅の恐れを基準に判断しますが,実刑判決を含む重大な刑罰から逃れる目的で逃亡の恐れが高く,最重要な証拠である被害者への接触による罪証隠滅の恐れが高い,との理解をされることが多いです。

そんな不同意わいせつ罪・不同意性交等罪でも,逮捕に至らない可能性が考えられるケースとして挙げられるのは以下のような場合です。

①同意の有無が不明確な場合
わいせつ行為への同意があったと判断され得る内容の場合には,被害者と主張する一方当事者の供述のみで逮捕をすることは控えるケースが多く見られます。
代表例としては,二人で食事をした後の事件,ラブホテルやカラオケボックス等の密室で発生した事件などが挙げられます。

②風俗店のサービス利用時におけるトラブルの場合
デリバリーヘルスなどのサービス利用時に,利用客がキャストの許していないわいせつ行為に及んだと問題になる場合です。
一定のわいせつ行為はサービスの前提となっているため,犯罪の成否が不明確である点などを踏まえ,逮捕に至らないことが少なくありません。

③事件が比較的軽微な場合
不同意わいせつ罪とされる事件の中でも,比較的軽微な内容であるケースでは逮捕に至らないケースもあり得ます。
ただ,不同意わいせつ罪として扱われる事件自体が,類型的に重大なものであることを念頭に置いているため,軽微であることを理由に逮捕しない,との判断はそれほど一般的ではないと思われます。

ポイント
一般的には逮捕の可能性が非常に高い事件類型だが,同委の有無が不明確な場合などは逮捕されにくいことも

不同意わいせつ・不同意性交等と起訴

不同意わいせつ罪や不同意性交等罪は,犯罪事実の存在が明らかであれば,起訴するのが通常と言えます。
被害者側の心情を踏まえた場合,これらの重大事件で起訴をしないというのは難しいケースが多いでしょう。

ただ,裏を返せば,被害者側の心情を踏まえて不起訴とすべき場合は,不起訴になる可能性が高まります。
被害者と示談が成立しており,被害者側が起訴を望まない意思を表明している場合,不起訴処分となることが見込まれやすいでしょう。
この場合,被害者の意思に反して起訴するのは,被害者のプライバシーを保護する観点でも不適切であると判断されることが多く見られます。

弁護士に依頼すべき場合

①認め事件の場合

犯罪事実を認める事件の場合,何より被害者との示談が最重要となります。
被害者と示談が成立していれば,起訴が回避でき,身体拘束期間が短くなることも十分に考えられますが,一方で示談が成立していない場合,起訴され刑罰を受けることが通常です。実刑判決となり刑務所に入る結果になることも珍しくありません。

認め事件では,一刻も早く弁護士に依頼の上,示談等の弁護活動を依頼するようにしましょう

②否認事件の場合

否認事件では,犯罪事実の有無が問題となります。
犯罪事実の有無を左右する争点はケースによりますが,代表的な争点は以下のようなものがあります。

人違いを争うケース
同意の有無を争うケース
年齢の認識を争うケース(16歳未満の場合)
責任能力を争うケース(泥酔状態で判断能力がなかった等)

これらは高度に法律的な主張を要することも少なくありません。争点に関する主張や立証がご自身では困難と感じる場合には,弁護士を通じて法的な主張立証を尽くすのが適切でしょう。

不同意わいせつ・不同意性交等の刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

不同意わいせつ罪,不同意性交等罪に関する事件は,被害の程度が大きいため,逮捕勾留を伴う捜査や起訴がなされやすい傾向にあります。
一方で,被害者の意向やプライバシーが重要視される事件類型でもあるため,被害者側に対する真摯な謝罪や賠償の努力が結果に直結しやすい面もあります。
そのため,弁護士に依頼の上で被害者側に誠意を尽くす行動が非常に有力でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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