児童ポルノとは何か?何をすると処罰されるのか?不起訴になる可能性や不起訴のための弁護活動は?弁護士が解説

●児童ポルノとは何か?

●児童ポルノに関して何をすると犯罪になるか?

●児童ポルノ事件は逮捕されるか?

●児童ポルノ事件は早期釈放が可能か?

●児童ポルノ事件は不起訴になるか?

●児童ポルノ事件は実刑になるか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,児童ポルノ事件に関する法律の内容や,早期釈放・処分軽減に向けた児童ポルノ事件の弁護活動などについて解説します。

児童ポルノとは

児童ポルノとは,文字通り「児童」の「ポルノ(=性的な画像・映像)」のことを言います。
そして,児童ポルノ法が定める「児童」は,18歳未満の男女を指します。
したがって,児童ポルノは18歳未満の男女が被写体となった性的な画像・映像ということになります。

なお,児童ポルノ法が定めるポルノ(=性的な画像・映像)の具体的な類型は,以下の3つです。

①性交や性交類似行為(口淫や手淫など)をする姿
②性器を触ったり触られたりする姿+性欲を刺激するもの
③衣服を全部又は一部着けない姿+性的な部位が露出され又は強調されている+性欲を刺激するもの

児童ポルノに関する犯罪類型

児童ポルノ法が児童ポルノについて禁じる行為は,概ね以下の6つです。

①所持
データのダウンロードなど,画像や映像を保存する行為が該当します。

②提供
譲渡や交付の方法で相手が利用処分できる状態にする行為が該当します。

③製造
自ら撮影する,児童に撮影させるといった方法で作成する行為が該当します。

④公然陳列
不特定多数の人がその内容を認識できる状態に置く行為が該当します。

⑤保管
主に提供や公然陳列の目的で保管する行為が該当します。

⑥運搬・輸出入
提供や公然陳列の目的で,児童ポルノを運び又は輸出入する行為が該当します。

以上の類型の中で,最も捜査の対象になるケースが多いのは③製造です。
近年では,SNSで知り合った児童に,SNS上で撮影画像・映像を送信させる方法での製造行為が非常に多くなっています。

児童ポルノ事件と逮捕

児童ポルノの事件,特に代表例である児童ポルノの製造については,逮捕の対象となることも珍しくありません。
児童ポルノ事件については,逮捕される可能性が十分にあることを想定するのが適切でしょう。

具体的なケースで逮捕されるかどうかは,捜査に至った経緯や個別の内容によりますが,児童ポルノ事件が捜査に至る経緯としては,以下の場合が考えられます。

①児童のスマホなどを通じて親権者が知った(親バレ)
児童の素行を心配した親権者が,図らずもスマホの履歴などを通じて知った場合です。事情を知った親権者が警察に相談するなどして捜査に至ることが考えられます。
捜査のきっかけとして最も多いと思われます。

②児童が補導された
児童が,夜間の外出や不適切な場所への出入りなど,別件で警察に補導された際,警察から事情を聴取される中で事件が発覚する場合です。

③児童が警察に相談した
児童がその意思に反して製造させられているケースで,児童自身が警察に助けを求める場合です。

以上のうち,③児童が警察に相談した場合には,逮捕の必要性がより高く,逮捕されやすいと言えます。

また,逮捕するかどうかを判断するほかの事情としては,以下のようなものが挙げられます。

①児童の年齢
児童の年齢が低ければ低いほど,犯罪として悪質であると評価されやすく,逮捕の可能性を高くします

②撮影の期間・件数
期間が長く,件数が多い場合には,余罪を含めた証拠隠滅の可能性が懸念され,逮捕の可能性を高くします

③被疑者の地位や立場
教師や医師など,その地位を利用する形で児童ポルノを製造させた場合には,逮捕の可能性が高くなりやすいです。

児童ポルノ事件と早期釈放

刑事事件では,逮捕されると,その後に勾留されるかどうかが判断されます。
勾留された場合,10~20日の身柄拘束が追加で発生し,身柄拘束を伴った捜査が継続されます。一方,勾留されなかった場合には,速やかに釈放され,在宅事件に移行します。在宅事件では,日常生活を継続しながら,捜査機関に求められたときだけ出頭する,という方法で捜査がなされます。
そのため,逮捕された場合に勾留されるか早期釈放されるかは,極めて大きな問題です。

この点,児童ポルノ事件では,ケースによって早期釈放を目指せる場合も珍しくありません。
特に被疑者が認めている場合,余罪の捜査が予定されていない場合など,事件や捜査がそれほど複雑にならない見込みであるケースでは,早期釈放に至ることも十分に考えられます。

また,対象となる児童の保護者と示談を試みるなど,謝罪や賠償を尽くすことができれば,早期釈放の可能性はより高くなると言えるでしょう。

児童ポルノ事件の場合,どのような条件で早期釈放できるかどうかがケースによって異なるため,ケースごとの判断が不可欠であり,早期釈放を目指す場合は弁護士への相談や依頼が非常に重要になります。
児童ポルノ事件で逮捕された場合は,できるだけ速やかに弁護士へ相談しましょう。

なお,逮捕から勾留までの期間は,基本的に2日以内,長くても3日以内と短いため,逮捕後の弁護士へのご相談は,遅くとも逮捕翌日までには行われることをお勧めします。

児童ポルノ事件の不起訴

基本的な運用

児童ポルノ製造の事件では,犯罪事実が明らかである場合,特に対処しなければ起訴されるのが通常です。
一般的な反省や謝罪という程度では,不起訴処分にはならず起訴されることが見込まれやすいでしょう。
重大なものでなければ罰金刑,事件が重大視された場合には公判請求の上で執行猶予となるのが一例です。
そのため,不起訴処分を目指すためには,積極的な動きを取る必要があります。

※語句の意味

罰金一定額の金銭を支払うことを内容とした刑罰
公判請求公開の法廷で刑事裁判を受ける処分
執行猶予一定期間刑罰の執行をせず,その期間を無事に経過すれば刑罰が執行されなくなる制度

不起訴を目指すための活動

不起訴処分を目指す最も有力な活動は,示談の試みです。
児童(現実には児童の親権者)との間で示談が成立し,児童側の宥恕(許し)を獲得できれば,不起訴の可能性は高くなるということができます。
不起訴を目指す場合は,弁護士に依頼の上,児童側との示談を目指すのが適切でしょう。

もっとも,児童ポルノの事件で示談を行う場合には,注意点があります。
それは,示談をしたからといって必ずしも不起訴になるわけではない,ということです。

そもそも,示談によって不起訴になるのは,犯罪の被害者が,その被害に対する刑罰を希望しないためです。
これは,犯罪によって生じる被害が,その個人に対する被害のみであることを前提にしています。
窃盗罪であれば,被害者個人の財産だけが犯罪の被害であるから,被害者が刑罰を希望しなければ不起訴になる,というわけです。

しかし,児童ポルノの事件は,犯罪によって生じる被害が個人の被害だけではないと理解されています。
具体的には,児童の個人的な被害に加え,社会の秩序が乱された(社会的法益の侵害)という面もあるのです。
そのため,児童や親権者だけが許したとしても,社会の秩序が乱されたという点については許されておらず,必ずしも不起訴になるわけではありません。

そのため,児童ポルノ事件で示談を試みる場合には,示談をしても不起訴になると決まるわけではないという点にはあらかじめ留意しておくようにしましょう。

児童ポルノ事件の刑罰

児童ポルノ事件の刑罰は,一般的な製造事件であれば,罰金や執行猶予といった内容になることが一般的です。
初犯の場合に実刑判決の対象となることは非常に少数であるということができるでしょう。

もっとも,同種の前科がある場合や,営利目的で反復継続して行われた場合には,実刑判決の対象となる可能性も十分に考えられます。
児童ポルノに関する事件は,類型や内容が様々であるため,個別の事件でどのような刑罰が見込まれるかは,刑事事件に強い弁護士にご相談の上,イメージをお持ちになることをお勧めします。

児童ポルノ事件に関する弁護活動

児童ポルノ事件の弁護活動としては,以下のようなものが挙げられます。

①逮捕や勾留を防ぐための弁護活動

児童ポルノの事件は,逮捕されるかどうか,勾留されるかどうかがケースによって異なり,弁護活動によっても異なる類型です。
そのため,弁護士においては,逮捕や勾留を防ぐための弁護活動を通じて早期釈放を獲得する試みが可能です。

②示談交渉及び締結

対象となる児童や親権者との示談は,児童ポルノ事件で刑罰の軽減を目指す上では最重要と言えます。
そして,示談交渉は当事者間ではできず,弁護士を間に入れる必要があるため,弁護士に依頼することでしか実現できない活動ということができるでしょう。

③治療等による再発防止のご案内

事件の原因として,性的傾向や病的な面が見受けられる場合は,再発防止策として通院やカウンセリングといった治療の実施も有力です。
弁護士からは,通院に関するご案内や,通院した事実を処分の軽減に反映させるための弁護活動が可能です。

④贖罪寄附

児童が特定できない場合など,示談の試みが困難なケースでは,贖罪(しょくざい)の意思を形にするため,贖罪寄附を行う手段も考えられます。
弁護士からは,贖罪寄附の方法や内容をご案内するとともに,贖罪寄附の事実を処分の軽減に反映してもらうための弁護活動が可能です。

児童ポルノ事件に強い弁護士をお探しの方へ

児童ポルノに関する事件は,内容によって見通しも変わりやすく,適切な対応も変化しやすい類型です。
また,児童の年齢が重要であるので,年齢に関する種々の争点が現れやすいという特徴もあります。
児童ポルノに関する事件は,決して重大な刑罰を受けるものとは限らないため,弁護活動に精通した児童ポルノに強い弁護士へ依頼することで,結果が大きく変わることも珍しくありません。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
児童ポルノ事件は個別の内容,状況に応じた早期対応が重要ですので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

お問い合わせ

法律相談のご希望はお気軽にお問い合わせください
※お電話はタップで発信できます。メールは問い合わせフォームにアクセスできます。