不起訴になる方法は?不起訴にならないと前科がつく?ケース別に不起訴の流れや手段を解説

●不起訴とはどのようなことか?
●不起訴になったら前科はつかないのか?
●逮捕されたら不起訴にはならないのか?
●どうすれば不起訴になることができるのか?
●不起訴にならないと前科がついてしまうのか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,不起訴について知りたい,不起訴になるため,前科をつけないためにはどうすべきか知りたい,という方向けに,不起訴の意味や不起訴に向けた弁護活動について解説します。

不起訴とは

起訴又は不起訴は,被疑者の刑罰を科すよう裁判所に求めるか,という検察官の処分を指します。検察官は,捜査を終了するにあたって,被疑者を起訴するか不起訴にするか判断することとなります。
被疑者に刑罰を科してほしい,と裁判所へ求めることを起訴といい,それをしないことを不起訴と言います。起訴された場合,裁判所での刑罰に関する判断へと移行し,不起訴とされた場合には,その時点で刑事手続が終了します。

不起訴と前科の関係

前科は,過去に刑罰を受けた経歴を指します。
そして,刑罰を受けるのは,検察が裁判所に刑罰を科すよう求めた(起訴した)場合に限られますので,不起訴の場合には前科がつかないということになります。
前科がつかないようにしたい場合は,不起訴を目指すのが最も適切であることがほとんどでしょう。

不起訴の種類

不起訴には,その理由によって大きく3つの種類があります。

①嫌疑なし
 →犯罪の疑いがまったくなくなった場合
 (例)真犯人が見つかった

②嫌疑不十分
 →犯罪の疑いが不十分な場合
 (例)痴漢を疑われたが,人違いでないことを裏付ける証拠がない

③起訴猶予
 →犯罪事実はあるが,検察官の裁量で起訴しない場合
 (例)窃盗事件を起こしてしまったが,被害者に弁償をして被害者が許した 

不起訴になるまでの流れ

①身柄事件の場合

①逮捕48時間以内
②送致24時間以内
③勾留請求・決定10日間
④勾留延長最大10日間
⑤起訴又は不起訴

身柄事件では,逮捕・勾留によって被疑者の身体を拘束している間に,捜査機関(警察及び検察)が捜査を行います。不起訴処分を求めるためには,勾留の期間が終了する前に,検察へ不起訴の判断を促す動きを取る必要があります

②在宅事件の場合

①捜査開始(警察の呼出等)期間制限なし(~数か月)
②書類送検期間制限なし(~数か月)
③検察の呼出等期間制限なし(~数か月)
④起訴又は不起訴

在宅事件では,身柄事件と異なり,捜査を行う期間の制限が基本的にありません。
法律が定める期間の制限は,公訴時効(時効期間が経過すると起訴できなくなる)のみです。
そのため,身柄事件よりは時間的猶予のあることが多いでしょう。
しかし,裏を返せば,いつ書類送検されるか,書類送検されてから起訴不起訴の判断までがどのくらいかは分かりません。
起訴されてしまった後に不起訴となることはないので,できるだけ早期に動くのが望ましいのは間違いありません

不起訴になる方法

①被害者と示談をする

被害者がいる事件の場合,被害者との間で示談が成立し,当事者間で解決していれば,検察官による不起訴処分の可能性が非常に高くなります。
被害者がいる事件は,被害者が警察に相談などをすることで捜査が始まるケースが大多数ですが,捜査の開始を求めた被害者がそれ以上の捜査や刑罰を望まない,との意向を表明した場合,不起訴に至ることが多く見られます。
事件の内容や程度によっては,示談に至ればそれだけで不起訴になる,というものもあります。

②告訴を取り消してもらう

起訴するために告訴が必要な事件を親告罪といいますが,親告罪の場合,告訴が取り消されると起訴される可能性がなくなります。
そのため,親告罪で告訴が取り消された場合,確実に不起訴となることができます
親告罪とされる主な犯罪としては,器物損壊罪,名誉棄損罪,侮辱罪などがあります。

③被害弁償を行う

特に財産に対する犯罪では,犯罪行為によって与えた財産的損害の大きさが,刑事罰の大きさに直結することが一般的です。
そのため,被害弁償によって事後的であれ財産的損害の穴埋めを行うことで,不起訴が獲得できる場合もあります
財産犯以外では,被害者に怪我を負わせてしまった事件で,発生する治療費や慰謝料などを支払い,被害をお金で穴埋めすることが,検察官の不起訴処分につながる場合もあります。

④反省・謝罪や再発防止の意思を示す

検察官が起訴するかどうかを判断する材料として,再犯可能性がどのくらいあるか,という事情が挙げられます。
再犯の可能性が高いと考えれば,刑罰を科すことで抑止する必要が高くなり,刑罰がなくても再犯可能性がないと考えれば,不起訴との判断に至りやすくなる,ということです。
一般に,反省・後悔・謝罪といった意思が強い被疑者は,再犯可能性が比較的低いと考えられます。そのため,反省や後悔,謝罪の意思を表明していくことは有力な動きとなることがあります。
具体的には,反省文や謝罪文といった文書にする方法が考えられます。
また,具体的な再発防止策を検討していたり,実行していたりすれば,そうでない場合と比較して再犯可能性は低いと評価されやすくなります。
弁護士がついている場合は,それらの内容を弁護士が報告書や意見書にして提出することが有力でしょう。

⑤否認事件(冤罪など)の場合

身に覚えのない事件であれば,嫌疑なし又は嫌疑不十分による不起訴を目指すのが適切です
捜査機関の取調べに対しては,一貫して疑いを否定する(否認する)対応をしましょう。
否認を貫き,犯罪を立証する証拠が足りないとなれば,検察官は不起訴とせざるを得なくなります。
また,否認のほかには,取調べに対して一切答えない(黙秘する)対応も考えられますが,黙秘は,それでよいか十分に検討をしてから行う必要があります。弁護士に依頼の上,弁護士と方針を協議した上で行うようにしましょう。

不起訴以外に前科が付かない場合

①検察庁に送致されず終了する

警察は,全ての事件を検察庁に送致するのが原則ですが,例外的に,検察庁に送致をしないで捜査を終了することがあります。
この場合,検察官による起訴不起訴の判断自体が生じませんので,前科はつきません。
送致しない場合の例としては,微罪処分があります。
微罪処分は,窃盗罪や暴行罪等,特定の事件のうち,特に軽微な内容である,被害者が処罰を希望していない,といった事情がある場合に,警察限りで事件の取り扱いを終了させる処分をいいます。
微罪処分がなされた場合,その時点で刑事手続は終了となるので,検察庁に送致されることはありません。

②無罪判決

起訴された事件で前科がつかない場合としては,無罪判決が挙げられます。
無罪判決は,起訴された事件について,裁判所が犯罪の証明不十分と判断した場合になされる判決です。
不本意にも起訴された,という場合には,無罪判決を獲得できれば,刑罰を受け得ず,前科がつきません。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

刑事事件では,不起訴となった場合,その段階で手続が終了し,前科もつかないため,不起訴となるかどうかは極めて重要です。
個別の事件で不起訴になるかどうかは,事件の内容,弁護活動の内容や結果が大きな判断材料となりますが,具体的な判断や弁護活動は刑事事件に精通した弁護士にご依頼されるのが適切です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
刑事事件は少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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