
示談交渉が進まないまま不成立になった場合、次にどのような対応をすべきか不安に感じる方も多いでしょう。
示談が成立しなければ、裁判や調停といった法的手続きを検討する必要がありますが、その流れやリスクを十分に理解しておかなければなりません。
そこで本記事では、示談が不成立になるとどうなるのかをご紹介し、対処法まで詳しく解説します。
藤垣法律事務所は、500件を超えるさまざまな刑事事件に携わった実績ある弁護士が在籍しており、示談交渉して早期解決した事案も複数あります。
初回の無料相談も承っておりますので、示談交渉に関するご相談やご依頼などがあれば、ぜひ下記よりご連絡ください。
目次
示談が不成立となった場合どうなるのか

示談が不成立となった場合、主に以下のようなことが考えられます。
- 起訴される確率が高まる
- 刑事処分が重くなる可能性がある
- 前科が付く恐れがある
詳しく解説します。
起訴される確率が高まる
刑事事件において、示談は被害者の意思を示す重要な要素となり、特に軽微な犯罪では不起訴処分に結びつくことも少なくありません。
しかし、示談が成立しない場合、被害者が加害者の処罰を求める意向を持ち続けることになり、検察官は起訴を決定する際にその点を重視します。
また、検察官は事件の悪質性や社会的影響なども総合的に判断しますが、示談が成立しなかった場合、加害者が反省しているかどうかを客観的に示す材料が不足し、情状酌量が得られにくくなる可能性があります。
特に被害者が強く処罰を求めている場合や、事件の影響が大きい場合には、公判請求される可能性が高まり、正式な裁判へと進むことになるでしょう。
被害者のいる認め事件では、示談が不成立となるとほとんどのケースで起訴されることが見込まれます。示談を目指す事件で示談不成立となると、起訴の確率は90%を超えるかもしれません。
刑事処分が重くなる可能性がある
刑事事件では、加害者がどれだけ反省しているか、被害者がどのように感じているかが重要な判断材料です。
示談が成立していれば、加害者が誠意をもって被害者に謝罪し、一定の賠償を行った証拠となり、これが情状酌量につながることが多いです。
しかし、示談が成立しなかった場合、被害者が処罰を求め続けることが多く、その結果、裁判所の判断にも影響を及ぼします。
検察官は起訴・不起訴の判断をする際に、示談が成立しているかどうかを考慮します。
示談が成立していれば不起訴処分や略式命令による罰金刑で済む可能性があるものの、示談が不成立の場合、起訴される確率が上がり、より重い刑事処分が下されることがあります。
特に傷害や窃盗、詐欺などの犯罪では、被害者の処罰感情が強い場合に正式裁判となるケースが多く、執行猶予がつかずに実刑判決となる可能性もあるのです。
前科が付く恐れがある
示談が不成立となった場合、前科がつく可能性が高まる点に注意が必要です。
日本の刑事手続きにおいて、検察官は「起訴便宜主義」を採用しており、社会的影響や被害者の処罰感情を考慮しながら起訴・不起訴を判断します。
示談が成立していれば、被害者が加害者の処罰を望まないことが明確になるため、不起訴処分となる可能性が高まります。
一方、示談が不成立のまま被害者が処罰を求める場合、検察官が正式に起訴する確率が上がるでしょう。
起訴されると、裁判で有罪判決を受ける可能性が高くなり、結果として前科がつくことになります。
示談が不成立となった事件で起訴されると基本的にはすべてのケースで前科が付くことになります。そのため、起訴の確率と同様に90%を超える事件で前科が付くと言っても過言ではないでしょう。
示談が不成立となる4つの理由とは

示談が不成立となる理由は、主に以下の通りです。
- そもそも被害者と連絡がとれない
- 加害者に強い怒りが残っている
- 示談金の金額に納得がいっていない
- 金額面以外の条件に納得がいっていない
詳しく解説します。
そもそも被害者と連絡がとれない
刑事事件において示談を成立させるには、加害者側が被害者と直接または弁護士を通じて交渉し、合意に至る必要があります。
しかし、被害者が加害者と接触したくないと考えている場合や、そもそも連絡手段が不明な場合、示談交渉自体が進まないことがあります。
特に暴力事件や性犯罪、ストーカー被害などのケースでは、被害者が加害者との接触を拒む傾向が強く、示談の話を持ちかけること自体が困難です。
また、被害者が引っ越しをしたり、連絡先を変更したりして所在がわからなくなるケースもあります。
このような場合、加害者側が示談を望んでいても、実際に交渉の場を設けることができず、結果として示談が不成立となってしまうでしょう。
加害者に強い怒りが残っている
示談が不成立となる理由の1つに、被害者が加害者に対して強い怒りを抱いており、示談に応じる意思がない場合があります。
被害者と加害者の双方が合意に至ることで成立しますが、被害者の感情が大きく影響するため、加害者への強い憎しみや不信感が残っている場合は示談の交渉が進みません。
そのため、不成立となるケースが多いのです。
特に暴力事件や性犯罪、詐欺など、被害者の精神的・経済的なダメージが大きい事件では、加害者を許すことが難しく、示談の話し合いすら拒否されることがあります。
被害者は「加害者に責任を取らせたい」「法的な処罰を受けさせたい」と考えていることが多く、示談に応じること自体が加害者を許す行為と受け取られてしまうため、交渉に応じる気持ちにならないこともあります。
示談金の金額に納得がいっていない
示談は、加害者側が被害者に対して損害の補償や謝罪の意思を示すための手続きであり、その際に提示される示談金の額が被害者の期待と大きく乖離している場合、不成立となります。
特に被害者が受けた精神的・肉体的なダメージが大きい場合や、経済的な損失が甚大である場合は、示談金の額が低すぎると感じることが多く、加害者側の誠意を疑うきっかけです。
例えば、暴行事件で重傷を負った場合や、詐欺などで高額な被害を受けた場合、示談金が被害額を大きく下回ると、被害者は納得できず、示談交渉を拒否する可能性が高まります。
また、示談金の相場に対する認識の違いも、不成立の原因となることがあります。
被害者が「これくらいの金額が支払われるべきだ」と考えている金額と、加害者側が提示する金額の差が大きいと、交渉が難航してしまうのです。
金額面以外の条件に納得がいっていない
示談とは、単に金銭のやり取りだけで解決するものではなく、謝罪の方法、再発防止策、被害者の名誉回復に関する対応など、さまざまな要素を含む合意が求められます。
例えば、加害者からの謝罪の仕方が不十分であると被害者が感じた場合、示談交渉は難航します。単なる文書での謝罪では誠意が伝わらず、直接の謝罪を求めるケースもあるでしょう。
しかし、加害者側が対面での謝罪に応じない、あるいは謝罪の言葉に真剣さが欠けていると、被害者の感情が収まらず示談を拒否する可能性があります。
特に暴行や名誉毀損など、精神的な苦痛を伴う事件では、加害者の謝罪の姿勢が示談成立に大きく影響するのです。
示談が不成立となった場合の対処法

示談が不成立となった場合、主に以下の通りです。
- 弁護士に相談する
- 贖罪寄付を行う
- 時間をおいて再度示談を持ちかける
詳しく解説します。
弁護士に相談する
示談が不成立となった場合、速やかに弁護士に相談することが重要です。
示談が成立しなかったことで、刑事事件としての手続きが進む可能性が高まるため、適切な対応を取らなければ不利な状況に陥るリスクがあります。
特に示談が成立しなかった理由が被害者の納得を得られなかったことにある場合、専門家のアドバイスを受けることで新たな交渉の道が開ける可能性があります。
弁護士に相談することで、まず現在の状況を整理し、今後の選択肢を明確にすることが可能です。
例えば、示談の再交渉が可能かどうか、あるいは今後の刑事手続きにどのように対応すべきかを検討できます。
示談が成立しないまま起訴された場合、刑事処分が重くなる可能性があるため、弁護士が被害者側と交渉を続け、裁判が始まる前に示談の可能性を探ることもあります。
まずは、示談が不成立となった理由を特定し解消できないかを検討することが有力です。弁護士に依頼することで解決できる問題であれば、弁護士を窓口に示談交渉を再開することが一案でしょう。
贖罪寄付を行う
贖罪寄付とは、被害者との示談が成立しなかった場合に、被害回復や反省の意を示すために公的な機関や慈善団体へ寄付を行うことです。
被害者との示談交渉が難航し、最終的に合意に至らなかった際に、加害者ができる誠意ある行動の1つとされています。
贖罪寄付は法律で義務付けられたものではありませんが、裁判の場面において有利に働く可能性があります。
特に刑事事件として起訴された場合には、被告人が反省の意思を持っていることを示す要素として考慮されることがあるでしょう。
裁判官が量刑を決める際には、被告人の反省の態度や更生の可能性を重視するため、贖罪寄付を行った事実が情状酌量の要因となることもあります。
贖罪寄付のみを理由に起訴されなくなる、というわけではありませんが、処分を軽減する方向で考慮される一材料となります。贖罪寄付に加えて、再発防止策や反省状況を具体的に示していくことで総合判断として不起訴となることを目指す方針が有力です。
時間をおいて再度示談を持ちかける
示談交渉が一度不成立に終わった場合、感情的な対立や意見の不一致が原因であることが多いです。
そのため、無理に再交渉を行うのではなく、少し時間を置いてから再度示談を持ちかけることが効果的な場合があります。
時間をおくことで、当事者間の感情が落ち着き、冷静に話し合いを進めることが可能です。
特に被害者が怒りや不満を抱えている場合には、時間を置くことでその感情が薄れ、示談の余地が生まれることもあります。
また、加害者が反省の意を示し、行動で誠意を見せることで、再度示談を持ちかける際により受け入れられやすくなる可能性もあるでしょう。
ケースにより大きく異なりますが、全体としては20%程度でしょうか。相手が感情的な理由で示談を拒否する場合、時間をおいても結果は変わらないケースが多いですが、何らかの条件を満たせば交渉可能と考えている場合には時間経過で解決することもあり得ます。
示談交渉に伴う弁護士の役割とは

示談交渉に伴う弁護士の役割は、主に以下の通りです。
- 加害者から事情を聴き被害者の立場を考慮しながら示談交渉進める
- 示談が不成立の場合も刑事事件の弁護を行う
詳しく解説します。
加害者から事情を聴き被害者の立場を考慮しながら示談交渉進める
弁護士はまず加害者から詳細な事情を聴取し、事件の背景や加害者の意図を明確に把握することから始めます。
この段階では、加害者の責任をしっかりと理解した上で、示談交渉が円滑に進むように計画を立てます。
その際、弁護士は加害者の立場や状況を尊重しつつも、被害者の気持ちや要求に配慮したアプローチを取ることが求められるでしょう。
加害者が自分の行為に対して反省している場合、その誠意を示し、被害者に伝えることが重要です。
一方で、被害者の立場を理解し、相手方にとって納得できるような解決策を提供することも弁護士の役割です。
示談交渉は、加害者と被害者の双方が感情的に納得できる結果を得ることを目指していますので、双方の立場を尊重し、双方が納得できる中立的な立場で交渉を進めることが求められます。
示談が不成立の場合も刑事事件の弁護を行う
示談交渉が不成立となった場合でも、弁護士は引き続き刑事事件の弁護を行います。
示談交渉は、民事的な和解の一環として行われますが、その成立がなかった場合、刑事事件としての進行が避けられなくなります。
そのため、弁護士は示談交渉の結果に関わらず、加害者の法的責任を最小限に抑えるための弁護活動を継続的に行う必要があるのです。
具体的には、弁護士は加害者の反省の態度や事件発生の経緯を考慮し、情状酌量を求める活動を行います。
例えば、加害者が初犯である場合や、反省の意を示している場合、または被害者との関係改善に向けた努力があった場合など、裁判所がその情状を考慮して処分を軽減する可能性があります。
弁護士はこうした点を強調し、加害者にとって最も有利な結果を導き出すために尽力してくれるでしょう。
示談交渉が不成立とならないためにもまずは弁護士へご相談を!
示談交渉が不成立となれば、起訴率が高まったり前科がついたりなどのリスクが高まります。
示談不成立となるのは、加害者に強い怒りがあることや条件があっていないことなどが原因として挙げられます。
まずは弁護士に相談して、示談の成立に向けて動きましょう。
藤垣法律事務所は、500件を超えるさまざまな刑事事件に携わった実績ある弁護士が在籍しており、示談交渉して早期解決した事案も複数あります。
初回の無料相談も承っておりますので、示談交渉に関するご相談やご依頼などがあれば、ぜひ下記よりご連絡ください。

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