【ひき逃げ事件の不起訴処分】不起訴となる具体的な可能性をケースごとに詳細解説

このページでは,ひき逃げ事件の不起訴処分について知りたい方へ,不起訴処分を目指す方法や不起訴処分となった場合のメリットなどを弁護士が徹底解説します。不起訴処分を目指す場合の参考にしてみてください。

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ひき逃げ事件で不起訴を目指す方法

①金銭賠償

ひき逃げ事件では,怪我をした被害者に具体的な損害が生じています。そのため,生じた損害を補填することは,処分の軽減を目指す上で非常に重要な動きとなるところです。
損害を補填する具体的な方法は,金銭の支払であることが通常です。精神的苦痛などを金銭換算し,適切な金額を支払うことで損害の補填とする,ということになります。

この点,自動車保険(任意保険)に加入している場合は,基本的な金銭賠償の対応は保険会社で行うことが通常です。損害の金銭換算にも一定のルールがあるため,そのルールに沿った適切な支払を期待することができるでしょう。

もっとも,保険による金銭賠償はいわば加害者の義務であり,当然の対応ではあるため,保険から賠償をしたのみで不起訴が目指せるわけではありません。金銭賠償は,不起訴を目指す場合の前提であるとの理解が適切でしょう。

ポイント
被害者の損害を金銭で補填することが適切
もっとも,金銭賠償はあくまで不起訴を目指す前提にとどまる

②示談

ひき逃げ事件の場合,具体的な被害者が存在するため,被害者の意向が刑事処分を大きく左右しやすい傾向にあります。被害者の許し(=宥恕(ゆうじょ))が得られているかどうかが,起訴不起訴の判断に決定的な影響を及ぼすことも珍しくはありません。
そのため,加害者の立場としては,被害者との間で示談を行い,被害者の宥恕を獲得することが非常に重要な試みと言えます。

ちなみに,ここでの示談は,保険会社が行う金銭の支払とは別のものであり,被害者の宥恕を内容とする合意を指します。保険会社は,金銭賠償のみを加害者の代わりに行う立場であるため,被害者が宥恕するかどうか,という点に関与することはできません。そのため,被害者の宥恕を獲得したい場合には,保険会社とは別に,積極的に被害者側との示談を試みることが必要となります。

ポイント
被害者側の許しの有無が起訴不起訴を左右しやすい
保険会社の対応とは別に,被害者との間で示談を目指すことが適切

③自首

ひき逃げ事件がまだ捜査されていない,あるいは捜査されているものの被疑者が特定できていない,という段階では,不起訴を目指す手段として自首が有力となります。
自首は,自ら捜査機関に犯罪事実を告げる行動であるため,深い反省の意思が表明されているとの評価につながりやすい傾向にあります。起訴不起訴の判断は,被疑者の反省状況を踏まえて行われるものであるので,自首を通じて深い反省が示されていることは,不起訴処分を目指すための重要な材料となることが見込まれるでしょう。

もっとも,ひき逃げ事件の場合,事件自体の重大性があるため,自首によって確実に不起訴が実現するというわけではありません。特に被害結果が重大なケースでは,自首を試みても結果的に起訴されてしまう可能性も踏まえておくことをお勧めします。

ポイント
捜査前の段階であれば,自首が有力
もっとも,重大事故では不起訴が期待できない可能性も

④否認事件の場合

否認事件では,犯罪の成立することが証明できない,という形での不起訴を目指すことが有力です。法的には,「嫌疑なし」(犯罪の疑いがないと分かること)または「嫌疑不十分」(犯罪事実を立証する証拠が不十分であること)と呼ばれます。

この点,ひき逃げ事件の否認事件で最も多いのが,自動車運転者に「交通事故が発生したことの認識がなかった」というケースです。
ひき逃げ事件は,交通事故が起きた際の自動車運転者が負う救護義務に違反するものであるため,自動車運転者に「救護義務が発生している」との認識が必要となります。そして,「救護義務が発生している」との認識があると言えるためには,事故発生の認識が必要です。交通事故の発生を認識できている場合にのみ,救護義務の発生が認識できるためです。

ひき逃げ事件の前提となる交通事故には,大小様々なものがあります。そのため,特に事故の規模が小さく,自動車運転者からは事故が起きたかどうかも不明確であるという場合には,事故発生の認識を欠き,不起訴となる可能性があり得るところです。

ポイント
否認事件では,犯罪の立証ができないとの結論を目指す
事故発生の認識がない場合には不起訴が見込まれる

ひき逃げ事件で不起訴になる可能性

ひき逃げ事件で不起訴になることは容易ではありません。ひき逃げ事件は,被害者の生命や身体に大きな影響を及ぼしやすい重大事件であるため,「反省している」「初犯である」といった一般的な事情のみで不起訴になる可能性が非常に低い事件類型と言うことができるでしょう。

また,ひき逃げ事件の場合,事故現場を無責任に離れてしまっている,という点の重みが非常に重視されやすい傾向にあります。交通事故のみであれば,むしろ比較的軽微な事件類型であることも少なくありませんが,ひき逃げが伴うと事件の重大性が極めて大きく変わってきます。それだけ,現場を離れる行為の刑事責任が重く評価されているのです。

もっとも,事故が非常に軽微であり,被害者の受傷も軽微な場合であれば,被害者との解決状況次第で不起訴となる可能性も十分に考えられます。この場合は,事件の重大性が比較的小さいと理解されやすいためです。
また,事故の規模が非常に小さい場合には,自動車運転者の感じる衝撃も小さいため,事故の発生を認識できなかった可能性が高くなります。事故発生の認識ができない場合,運転者に救護義務は発生しないため,犯罪の立証ができないことを理由に不起訴となる可能性も出てくることがあり得ます。

ポイント
重大事件のため,反省や初犯といった事情のみで不起訴になる可能性は非常に低い
軽微な事故であれば,不起訴処分の可能性も高くなる

不起訴の意味・種類

不起訴処分とは,検察官が事件を起訴しないとする処分をいいます。不起訴になった事件は,裁判の対象にならず,刑罰が科せられる可能性がなくなるため,前科がつくこともなくなります。

不起訴処分には,以下のような類型があります。

不起訴処分の類型

1.嫌疑なし
捜査の結果,犯罪の疑いがないと明らかになった場合です。真犯人が明らかになった場合などが代表例です。

2.嫌疑不十分
捜査を遂げた結果,犯罪を立証するための証拠が不十分であり,犯罪事実を立証できないと判断された場合です。具体例としては,犯人が特定できない場合などが挙げられます。

3.起訴猶予
犯罪事実は明らかに立証できるものの,犯罪者の年齢や性格,過去の経歴,犯行動機,犯罪後の事情などを踏まえ,検察官があえて起訴をしない場合です。被害者と示談が成立した場合などが代表例とされます。

4.その他の類型

・訴訟条件を欠く場合
→被疑者が死亡した場合,公訴時効が完成した場合など

・罪とならず
→被疑者の行為が犯罪に当たらない場合,被疑者が14歳未満の場合など

なお,犯罪事実が間違いなくある認め事件の場合,不起訴になる手段は基本的に「起訴猶予」を目指す以外にありません。起訴猶予は,検察官から大目に見てもらうという意味合いの処分であるため,認め事件では誠意ある対応を尽くすことが非常に重要となるでしょう。

ポイント
不起訴処分には,嫌疑なし,嫌疑不十分,起訴猶予等の類型がある
認め事件では起訴猶予を目指す必要がある

逮捕と不起訴の関係

逮捕をされてしまった場合でも,不起訴にならないわけではありません。逮捕された事件の最終的な処分が不起訴となって終了することは,数多く見られるところです。一方,逮捕されなかった事件(いわゆる在宅事件)でも不起訴処分になるとは限らず,在宅事件の処分が起訴という場合も珍しくありません。

これは,逮捕が捜査を行う手段の一つであるのに対し,不起訴が捜査の結果なされる処分であることに原因があります。
刑事事件の捜査は,逮捕をするかしないか,いずれかの方法で進行しますが,いずれの捜査手法を取ったとしても,起訴されるか不起訴となるかは同様に判断されることとなるのです。

刑事手続の流れ

なお,起訴されやすい事件が逮捕されやすい,という側面はあります。起訴されやすい事件は,類型的に重大な事件であることが多いところ,重大な事件では,重い処分を免れるために逃亡や証拠隠滅をされる恐れが大きいと判断される傾向にあると考えられます。そのため,被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐための逮捕が必要になりやすいのです。
裏を返せば,逮捕された事件では,不起訴を獲得するにはより積極的な努力が必要となりやすいでしょう。弁護士に相談の上,不起訴を目指すために適切な対応を試みるようにしましょう。

ポイント
逮捕は捜査の手段,不起訴は捜査を終えた後の処分
逮捕と不起訴は両立する
起訴されやすい事件は逮捕されやすい傾向にある,という側面も

不起訴になった場合の効果

不起訴処分となった場合には,以下のような効果が生じます。

①前科がつかない

前科とは,刑罰を科せられた経歴を指しますが,不起訴となった場合には刑罰が科せられません。そのため,不起訴となれば刑罰の経歴=前科がつくことなく,刑事手続が終了することになります。

そして,前科がつかないことには,以下のようなメリットがあると考えられます。

前科がつかないことのメリット

1.資格に対する影響を避けられる

国家資格を用いた職業の場合,前科によって資格制限が生じると,仕事の継続ができない可能性が生じてしまいます。
前科がつかなければ,資格制限は生じず,仕事への悪影響もありません

2.就職・転職への影響を避けられる

前科のあることは,就職や転職の差異に不利益な事情として考慮されやすい傾向にあります。
前科がつかなければ,履歴書に前科を記載する必要もなく,就職先に刑事事件のことを知られずに済みます

3.海外渡航の制限を避けられる

前科がある場合,パスポートやビザ,エスタなどの手続に悪影響が生じ,海外渡航が認められない場合があります。
前科がつかなければ,海外渡航の制限が生じる事情もなくなるため,海外渡航を自由に行うことが可能です。

②釈放される

不起訴処分となった場合,身柄拘束されている状況であれば速やかに釈放されます。不起訴処分が出た以上,捜査のために身柄拘束を継続する必要がなくなるためです。

③逮捕されない

不起訴処分とされた事件では,その後に逮捕されることがありません。逮捕は,捜査を行う場合の選択肢の一つであるところ,不起訴処分によって捜査が終了するため,逮捕を行う余地もなくなるからです。
ただし,余罪がある場合には,余罪での逮捕が行われる可能性が残ります。

④取り調べを受けない

不起訴処分によって捜査が終了するため,警察や検察から取り調べを受けることがなくなります。もっとも,不起訴処分は今後の捜査を禁じるものではないため,新しい証拠が発見された場合には捜査が再開され,改めて取調べを受ける場合もあり得るところです。

ひき逃げ事件で不起訴を目指す場合の注意点

①自動車保険の利用は不起訴の根拠にならない

交通事故の場合,被害者への金銭賠償のために自動車保険を利用することが一般的です。任意保険に加入していれば,被害者の経済的な損害は自動車保険が全て賠償してくれることになりやすいでしょう。
そして,自動車保険と被害者との間では,金銭面の解決内容が合意できた場合,示談を取り交わすことが見込まれます。示談により,加害者と被害者の間では一定の解決となります。

しかしながら,自動車保険を通じて金銭賠償の合意ができた(示談ができた)としても,それだけで不起訴処分となるわけではない,という点に十分な注意が必要です。なぜなら,自動車保険ができる解決は,あくまで金銭面のみであるため,不起訴のために重要な被害者の意向(起訴を望むか不起訴を望むか)という面に対しては何も手当てがなされていないためです。

不起訴を目指すためには,自動車保険の対応とは別に,被害者に不起訴を望む意向を表明してもらうことが重要となります。「示談」という言葉に惑わされることのないようにしましょう。

②示談をしても不起訴にならない可能性

ひき逃げ事件で不起訴を目指すためには,被害者との示談が非常に重要となります。ただ,示談ができたからといって必ずしも不起訴にはならないという点には注意が必要です。

ひき逃げ事件は,特定の被害者に対する犯罪であると同時に,公共の利益に悪影響を及ぼす犯罪であると理解されています。自動車運転者が被害者を救護しないでひき逃げをしてしまうと,社会の秩序が大きく乱れてしまうため,ひき逃げ事件は社会にも損害を及ぼす事件類型とされているのです。
被害者との示談は,被害者に生じた損害に対する許しではありますが,社会に生じた損害を許すものにはなりません。そのため,社会における公共の利益を害した,という面が重視された場合,示談が成立していてもなお不起訴は獲得できない可能性があり得るのです。

③身柄事件の期間制限

ひき逃げ事件は,逮捕勾留といった身柄拘束を伴う捜査が行われやすいですが,身柄拘束には厳密な期間制限があります。
逮捕されると,最大72時間以内に「勾留」されるかどうかの判断が行われます。勾留された場合には10日間の身柄拘束が引き続き,その後に「勾留延長」となれば更に最大10日間の拘束を受けることとなります。

逮捕から起訴までの流れ

もっとも,裏を返せば,逮捕後に捜査が行われるのはこの最大23日程度の期間に限られます。不起訴を目指すのであれば,この限定された期間の中で必要な弁護活動を尽くし,不起訴の判断に必要な結果を獲得することが求められますが,これは容易なことではありません。

身柄事件では,期間制限が厳格であるため,獲得できる結果に限りが生じ得ることを注意しておくようにしましょう。

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