このページでは,自転車窃盗事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。
【このページで分かること】
自転車窃盗事件における示談のメリット
自転車窃盗事件でを試みる時期
自転車窃盗事件で示談をする方法
自転車窃盗事件の示談金相場
自転車窃盗事件の示談内容・条項
自転車窃盗事件における示談の特徴
自転車窃盗事件の示談に必要な費用
目次
自転車窃盗事件における示談のメリット
自転車窃盗事件は,弁護士に依頼するメリットが非常に大きい事件類型の一つと言えます。具体的なメリットとしては,以下の各点が挙げられます。
①前科が防げる
自転車窃盗事件は,方法や内容によって以下のような刑罰の対象になることが考えられます。
一般的な自転車窃盗 | 窃盗罪 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
放置自転車 | 占有離脱物横領罪 1年以下の懲役又は10万円以下の罰金 |
ゴミの場合 | 自治体によっては窃盗罪や条例違反になる可能性あり |
特に,放置されている自転車であることが明らかな場合には,出来心で乗り捨てをしてしまってもそれほど大きな問題がないように感じることがあるかもしれません。しかし,仮に放置自転車であっても占有離脱物横領罪に該当する犯罪行為になってしまいます。
また,自分は放置自転車だと思っていても,実際には放置自転車でなく人が管理している自転車であった,という場合,より重い窃盗罪に該当することが見込まれます。窃盗罪に該当するような自転車窃盗であれば,刑罰を受けて前科が付く可能性はより高くになるでしょう。
この点,刑罰が科されるかどうかを決める重要な判断要素の一つに,被害者の処罰感情が挙げられます。被害者のいる事件類型では,被害者が加害者の刑罰を望んでいるかどうかがとても大きな基準になるのです。
捜査が始まるときには,被害者が刑罰を望んでいることがほとんどです。捜査のきっかけは被害者の被害申告であることが一般的ですが,被害者は加害者への刑罰を望むからこそ被害を警察などに相談しているはずだからです。
そのため,自転車窃盗事件で刑罰を避けるためには,示談を行って「事後的に被害者が処罰を望まなくなった」という状態を作ることが極めて重要になります。逆に,被害者が処罰を望まなくなった場合,刑罰が科される可能性は非常に低くなり,ほとんどの場合では前科を防ぐことができるでしょう。
ポイント
自転車窃盗は窃盗罪や占有離脱物横領罪の対象
前科を防ぐためには被害者が刑罰を望まないことが重要
被害者が刑罰を望まないことを示す手段は示談
②逮捕を防げる
自転車窃盗は,決して逮捕されやすい事件類型ではありませんが,ケースによっては逮捕される場合も十分にあり得ます。一例としては,現行犯で見つかって逃走していた場合や,多くの余罪で事前にマークされていた場合,計画性があり悪質と考えられる場合などが挙げられるでしょう。
この点,自転車窃盗事件で逮捕をする大きな理由は,被害者を保護することにあります。加害者が被害者を特定した場合に,自分に不利益なことを言わせない目的や物証の隠滅を図る目的で被害者に接触する可能性があるため,接触を未然に防ぐ手段として逮捕する,というわけです。
しかし,示談の成立した自転車窃盗事件では,もはや加害者が被害者に接触する必要がありません。加害者にとって最も利益の大きい示談が,既に実現されているためです。
そうすると,自転車窃盗の事件で示談が成立した場合,逮捕の必要はほぼなくなることから,逮捕されることは通常なくなるでしょう。
ポイント
逮捕には加害者の被害者への接触を避ける目的がある
示談済みであれば被害者に接触する必要はなく,そのため逮捕の必要もない
③捜査を終了させられることがある
刑事事件で捜査が開始すると,警察が取り調べや証拠収集を進め,事件を検察庁に送致し,送致を受けた検察庁で処分を受ける,という流れをたどります。
捜査の流れ
1.警察による証拠収集
2.警察から検察への送致
3.検察での処分(起訴又は不起訴)
この点,示談できれば検察での処分は不起訴になりやすいですが,逆に言えば示談してもその場で手続が終わるのでなく,検察での処分までは進むのが大原則です。
しかし,自転車窃盗で早期に示談が成立し,被害者が許す意思を明らかにした場合,事件が比較的小さなものであれば,警察が直ちに捜査を終了させて検察に送致せず終了する可能性もあります。
検察による処分までは,一般的に数か月を要するため,その間の手続負担を回避できるとなれば非常に大きなメリットになるでしょう。
ポイント
示談しても警察から検察に送致されるのが通常
軽微な事件で早期に示談できれば,例外的に送致されず終わることも
自転車窃盗事件でを試みる時期
自転車窃盗事件における示談は,早ければ早いほど望ましいでしょう。それは,示談のメリットは示談成立が早いことが前提となっているためです。
示談のメリットと早期示談の関係
1.前科の回避
→起訴される前に示談をすることが必要
2.逮捕の回避
→逮捕するかが判断される前の示談が必要
(逮捕されるかどうかは捜査中の早い段階で判断される)
3.早期終了の可能性
→警察が検察に送致する前の示談が必要
自転車窃盗事件の示談を検討する場合は,少しでも早く動き出すため,まずは一度弁護士に相談してみましょう。
自転車窃盗事件で示談をする方法
自転車窃盗事件で捜査を受けている場合,示談をするためには捜査機関(警察や検察)にその旨を申し入れ,捜査機関から被害者に連絡を取ってもらうことが必要です。
もっとも,捜査機関は加害者本人と被害者を引き合わせることをしません。当事者同士で連絡を取らせるのは,被害者にとって不適切である上,二次被害の原因になる可能性がある,と考えるためです。
そのため,自転車窃盗事件で示談を試みるためには,弁護士に依頼の上,弁護士を通じて動くことが必要となります。
具体的な流れは,以下の通りです。
示談交渉の流れ
1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する
自転車窃盗事件は,他人の財産に損害を与える事件のため,その財産を埋め合わせる金銭の支払を行うのが通常です。金銭の支払いは,示談金という形で行うことになりますが,これも直接当事者間で支払うのではなく,弁護士に金銭を預け,弁護士から被害者に支払う方法を取るのが適切でしょう。
ポイント
弁護士から捜査機関に対して示談の申し入れをしてもらう
金銭の支払も弁護士を通じて行う
自転車窃盗事件の示談金相場
自転車窃盗事件の示談金は,対象となった自転車の価格によって大きく変わりやすいところです。具体的には,自転車の時価額に迷惑料又は慰謝料としていくらか上乗せをし,示談金とすることが一般的でしょう。
個別のケースにおける示談金は,被害者と自転車との関係によっても左右されやすい傾向にあります。被害者にとって重要な自転車であるほど金額は大きくなりやすく,逆に被害者にとって価値のない自転車であれば,金額は小さくなりやすいです。
示談金額が大きくなりやすい場合
1.自転車の価値が非常に高い
2.被害者にとって重要な自転車である
示談金額が小さくなりやすい場合
1.自転車の価値が高くない
2.被害者にとって重要度の低い自転車である(放置自転車など)
一般的に,それほど重要な自転車や高価な自転車でなければ,慰謝料を含む示談金の目安は5~10万円ほどになりやすいでしょう。
また,被害品の自転車が無事被害者の手元に戻っている場合,自転車の価格をすべて支払う必要がない可能性もあり,金額はより小さくなりやすいです。
ポイント
示談金は自転車の価格に迷惑料を乗せた金額
高額とする事情がなければ5~10万円ほどが目安
自転車窃盗事件の示談内容・条項
自転車窃盗事件で示談を行う場合,以下のような内容を盛り込むことが考えられます。
【確認条項】
加害者が被害者へいくらの支払を行う必要(義務)があるかを,当事者間で確認する条項です。記載としては,「示談金として,加害者が被害者に対し,金●万円の支払義務があることを確認する」というものになります。
【給付条項】
確認条項で定めた金銭の支払いを行う方法を定める条項です。
支払方法が手渡しか振り込みか,手渡しであればいつどこで行うか,振り込みの場合はどの口座か,振込手数料は誰が負担するか(通常は加害者が負担),支払の期限はいつまでか,といった点を定めます。
【清算条項】
示談で定めた内容以外に,当事者間に債権債務関係(法律関係)がないことを確認する条項です。この条項を設けることで,加害者と被害者との法律関係は示談金の支払をもって終了することになります。
逆に,この清算条項がないと,示談した後にも被害者から請求することが法的に可能となってしまうため,忘れず設けることが重要です。
【宥恕条項】
宥恕(ゆうじょ)とは「許し」を意味します。宥恕条項は,被害者が加害者を許すことを内容とする条項です。
加害者が示談金の支払を負担して示談を目指すのは,基本的にこの宥恕条項を獲得するためです。宥恕条項があることによって,捜査機関は被害者に処罰感情がないことを把握でき,不起訴処分の根拠とすることが可能になります。
【接触禁止条項】
示談成立後,当事者間の接触を禁止する条項です。
被害者側の希望がある場合に設けられやすいものではありますが,自転車窃盗事件に関してはそれほど強く希望されることは多くありません。自転車窃盗の場合,当事者間のやり取りや接触は特にないまま事件が起きる上,被害者にとっても加害者が自分に危害を加える目的でないことが明白であるためです。
自転車窃盗事件における示談の特徴
①金額の定め方
自転車窃盗の事件では,自転車の価値をベースに示談金を定めるのが通常ですが,自転車の価値は被害者によって様々に異なります。
例えば,被害者にとって必要がなく,むしろゴミとして処分したかったような自転車である場合,自転車の価値に対する賠償はそれほど求められないケースも珍しくありません。
一方,カスタマイズを重ねた高価な自転車である場合,被害者にとっての価値は実際の価格より高く,思い入れの強さから高額の支払を要することもあり得ます。
金銭とは異なり,同じものでも人によって価値の違うことがある,という点は自転車窃盗の示談における大きな特徴です。
②被害者の特定が困難な場合
自転車窃盗の場合,被害者の特定は自転車の登録を基準に行います。しかし,自転車が譲渡などされて転々流通しており,登録の変更がなされていない場合,現実の被害者と登録上の所有者が異なるため,被害者の特定が難しい場合もあり得ます。
また,所有者から盗んだのはほかの人であり,その犯人が乗り捨てたものを自分が盗んだ,という流れになることもあります。この場合は,被害者がもともとの所有者であることは明らかなので,自分が所有者から直接盗んだわけでなくても所有者との示談が適切です。
③自転車所有者以外との示談が必要な場合
自転車窃盗事件は,私有地や建物内の駐輪場で行われると,住居侵入罪又は建造物侵入罪もあわせて成立することになります。窃盗罪と住居侵入罪(建造物侵入罪)は別々の犯罪であるため,それぞれについて示談が必要ですが,住居侵入罪(建造物侵入罪)の被害者(=敷地や建物の管理者)は自転車の所有者とは別の人物であることが通常です。
そのため,駐輪場やマンションなどで起きた自転車窃盗事件については,その敷地や建物の管理者とも別途示談が必要となる可能性に注意することが必要です。
自転車窃盗事件の示談に必要な費用
藤垣法律事務所で自転車窃盗事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。
①活動開始時
着手金 | 33万円 |
実費相当額 | 1万円 |
合計 | 34万円 |
34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。
②弁護活動の成果発生時
不起訴処分 | 33万円 |
示談成立 | 22万円(※) |
出張日当・実費 | 実額 |
活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。
③示談金
自転車窃盗事件の場合,5~10万円ほどの示談金が目安として想定されます。
④合計額
上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。
目安となる費用総額(10万円で示談成立+不起訴の場合)
弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:10万円
計:99万円
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