●債務整理は家族に影響するか?
●自己破産は家族に内緒でできるか?
●個人再生は家族に内緒でできるか?
●任意整理は家族に内緒でできるか?
●家族に内緒で手続をする他の方法はあるか?
●家族に内緒で手続をする場合の注意点は?
というお悩みはありませんか?
このページでは,債務整理を家族に内緒で行うことでお困りの方に向けて,債務整理の家族への影響や,家族に内緒で行うための方法,注意点などを解説します。
目次
債務整理の家族への影響
債務整理を行う場合,同居の家族や守るべき子などがいると,家族への影響が心配になるところです。もっとも,債務整理を行っても,債務者以外の家族に不利益が生じることは基本的にありません。
債務整理の対象となる債務は,債務者本人が契約をしたことによって発生しているものであり,返済義務を負うのは自ら契約をした本人だけです。契約に関わっていない第三者は,配偶者であっても子であっても法的な影響を受けません。
また,債務整理をすると,信用情報機関の信用情報(いわゆるブラックリスト)に,金融事故情報としてその事実が登録されますが,ブラックリストへの登録による不利益を受けるのは債務者本人のみです。
そもそも,債務整理は債務者の経済的な立ち直りを可能にするための手続であるため,何らかのペナルティを科すことは想定されていません。債務者本人が法的な制裁を受けないのである以上,その家族はなおさら制裁を受けるものではない,と理解されます。
自己破産は家族に内緒でできるか
①同時廃止事件の場合
同時廃止事件の大まかなステップは,以下の通りです。
同時廃止事件のステップ
1.申立書の提出
2.破産手続開始決定及び同時廃止決定
3.免責許可決定
このうち,「1.申立書の提出」段階では,弁護士に依頼している限り弁護士が債権者とのやり取りをするため,家族に内緒で進めることも不可能ではないでしょう。もっとも,自分名義の銀行口座を配偶者が管理している場合,その口座の情報をどのように用意するか,という問題は生じるかもしれません。
また,「2.破産手続開始決定及び同時廃止決定」の段階では,その事実が官報(国の発行する機関紙)に掲載されるため,官報を確認すれば家族に発覚し得ることになります。もっとも,特に理由なく官報を読むことは考えにくく,家族に内緒で行うことは十分に可能でしょう。
その後,「3.免責許可決定」の段階で生じる動きとしては,免責審尋のための裁判所への出頭や,免責許可決定の官報掲載が挙げられます。この段階についても,同様に家族に内緒で行うことは不可能でないでしょう。
②管財事件の場合
管財事件の場合,破産手続開始決定の後,直ちに免責の手続に移るのでなく,破産管財人による財産の調査・処分が必要になります。この局面で,以下のような問題が生じやすいところです。
1.郵便物が破産管財人に届く
破産手続開始決定後は,自分宛の郵便物が自分でなく破産管財人に届きます。そのため,不自然に郵便物が届かない,という経緯で家族に疑問を抱かれる可能性はあるでしょう。
もっとも,破産管財人との間で郵便物の受け取り方法を相談することは通常可能であるため,郵便物に関するフォローができないわけではありません。
2.財産の不自然な売却が生じ得る
管財事件では,20万円以上の価値がある財産や,20万円以上の解約返戻金が生じる保険など,財産的価値のあるものを金銭化し,債権者に配当することが必要です。一般に,価値の高い財産や保険をいきなり金銭にすることは不自然であり,財産の処分をきっかけに家族が疑問を持つこともあり得るところです。
③注意点
自己破産を行う場合,債権者であるクレジットカード会社のカードを使って携帯電話や光熱費等の支払を行っていると,ある日を境に引き落としでの支払ができないという事態が生じます。家族と共同で生活費のために用いているクレジットカードがある場合,家族に内緒で進めることは困難かもしれません。
ポイント
自己破産を家族に内緒で行うことは不可能ではない
ただし,共同で銀行口座やクレジットカードを管理している場合は難しい
管財事件の場合は,郵便物や財産の処分がきっかけで発覚する場合も
家族に内緒で行う手段としての有用性
同時廃止事件:3位
管財事件:4位
個人再生は家族に内緒でできるか
個人再生手続の大まかなステップは,以下の通りです。
個人再生手続のステップ
1.申立書の提出
2.再生手続開始決定
3.再生計画案の作成
4.再生認可決定
まず,「1.申立書の提出」の段階における家族への発覚リスクは,基本的に自己破産と同様でしょう。つまり,家族と共同で用いている銀行口座等の履歴を確保・提出する場合に,家族に内緒で行うことが難しくなり得ます。
次に,申立書の内容を踏まえ,裁判所が「2.再生手続開始決定」を行うと,具体的な再生のための計画に移ります。再生手続開始決定の局面では,官報掲載がなされるくらいであり,自己破産を超えるリスクはあまりないでしょう。
その後,「3.再生計画案の作成」が行われますが,この局面では自己破産と異なり郵便物の転送や高額財産の処分が必要ありません。つまり,郵便物が自宅に届かなかったり,不自然に高額な自動車などが処分されていたりといった流れで家族に発覚する恐れは通常ありません。
また,小規模個人再生の場合,再生計画案について債権者による書面の決議が必要になりますが,決議が決定された旨は官報に掲載されます。やはり官報を閲覧しない限りは影響しないでしょう。
最後に,「4.再生認可決定」の局面では,同じく官報掲載が生じるくらいです。やはり家族に内緒で進めることは十分に可能でしょう。
以上の通り,個人再生手続の場合,自己破産と同様の発覚リスクがありますが,自己破産(特に管財事件)で見られるような発覚リスクがないため,家族に内緒で手続できる可能性は比較的高いと言えるでしょう。
また,借金は圧縮されるものの返済を継続することになるため,借金の存在を家族が知っている場合にも,不自然に借金の返済がなくなった,という事態が生じにくいところです。
ポイント
自己破産と同じくキャッシュカードや銀行口座の共同利用で発覚リスクが生じる
もっとも,自己破産(管財事件)特有の発覚リスクはない
借金の返済は続くため,家族が借金の存在を知っていても不自然でない
家族に内緒で行う手段としての有用性
2位
任意整理は家族に内緒でできるか
任意整理は,各債権者と個別に交渉をすることで,利息をカットしてもらったり月々の返済額を減らしてもらったりという合意をし,スムーズな完済を目指す手続です。
そして,任意整理は裁判所への申立てなく債権者との間で直接交渉することになります。
この任意整理の場合,基本的にすべてのやり取りが依頼した弁護士と債権者との間で行われるため,やり取りの中で家族に発覚するリスクはほとんどありません。
また,家族と共同で利用している銀行口座やクレジットカードなどについても,その口座やカードに関係する債務を任意整理の対象から除外すれば,特に影響なく任意整理が可能です。
以上の通りであるため,任意整理は最も家族への発覚リスク低く実行できる債務整理の手続ということができるでしょう。
ポイント
任意整理は弁護士と債権者とのやり取りで終始するため,やり取り中の発覚がほとんどない
家族への発覚が懸念される債務は,任意整理の対象から除くこともできる
家族に内緒で行う手段としての有用性
1位
家族への発覚を防ぐ他の方法
①直接のやり取りをしない
まずは,弁護士に依頼をして,全てのやり取りの窓口を弁護士にすることが肝要です。債権者である貸金業者から郵便物が届いたり,裁判所から連絡が来たりすれば,どうしても不自然であると言わざるを得ません。
家族は最も身近な存在であり,それだけに自分を巡る様々な出来事を不意に知ってしまう可能性がある立場のため,できる限りの配慮をするのが適切です。
②クレジットカードで生活費の精算をしない
生活に不可欠な支払をクレジットカードで精算していると,カードが停止した時点で生活に具体的な支障が出るため,家族に内緒で進めることは非常に困難になります。
そのため,家族に内緒で債務整理をしたい場合には,極力クレジットカードで生活費を精算しないようにしたいところです。現在クレジットカードでの精算をしている場合は,少しずつ支払方法の変更を試みるほかないかもしれません。
家族に内緒で手続をする場合の注意点
債務整理は,生活を共にする家族にも一定の影響が生じやすいものであるため,確実に家族への発覚を防ぐ方法は存在しないと言わざるを得ません。債務整理は,家族に内緒で進めたいという希望を実現しづらい手続であると考える必要があるでしょう。
また,各債務整理手続に共通する債務者のデメリットとして,一定期間,信用情報(ブラックリスト)に事故情報が登録されます。ケースにより5~10年ほどは新規のカードやローンの契約ができないため,家族との間でたまたまカードやローンの話になったとき,円滑に乗り切ることは難しい場合が多いでしょう。
家族に内緒で手続を行いたい場合は,可能な限り手段を講じ,万一発覚した場合の手当ても事前に考えておく,という段取りが有力かもしれません。
借金問題に強い弁護士をお探しの方へ
債務整理は,法律的には家族に影響を及ぼすものではありませんが,家族関係への事実上の影響は大きく生じやすい手続であることが多いです。
そのため,家族に内緒で解決できる場合であれば,今後のためにも家族に内緒で行う手段を検討されるのが有益かもしれません。
さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。
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