●債務整理すると保証人へ請求がされてしまうのか?
●自己破産は保証人への影響を防げるか?
●個人再生は保証人への影響を防げるか?
●任意整理は保証人への影響を防げるか?
●保証人への影響を防ぐ他の方法はあるか?
●保証人への影響を防ぐときの注意点は?
というお悩みはありませんか?
このページでは,債務整理における保証人への影響でお困りの方に向けて,債務整理の際に保証人への影響を防ぐ方法などを解説します。
目次
債務整理をすると保証人に請求がなされる流れ
債務者が債務整理を行い,その債務について免責されると,債務者が債権者に返済する義務はなくなります。これは,債務者にとっては大きな利益ですが,逆に債権者にとっては著しい不利益となってしまうものです。債務者が免責許可を受けてしまえば,債権者は残りの債権を債務者に請求できず,債権はいわば紙切れになってしまうわけです。
そこで,当該債務について保証人を付ける(保証契約をする)方法により,債務者の破産リスクを軽減させることがあります。債務者が支払を滞った場合には,保証人に支払を求めるという流れを取ることで,債権者は債権回収の手段をもう一つ手に入れることが可能になります。
基本的に,債務整理を行うと,債権は金額がゼロになるか圧縮され,全額回収が困難になります。このとき,債務者から回収できない分を代わりに保証人から取り立てるという形で,保証人(及び保証契約)が活用されるのです。
その意味では,債務者による債務整理は,まさに保証契約をした実益が生じる局面であり,債権者は積極的に保証人への請求を目指すことになりやすいでしょう。
ポイント
債務者が債務整理をすると,債権全額の回収ができない
債権全額の回収ができない場合に,債権者は債務者に代えて保証人に請求する
債務者が債務整理をしたケースは,まさに保証契約の効果が出る状況
自己破産をすると保証人に影響するか
自己破産を行った場合,全ての債権者に通知を行わざる得ないため,債権者は自己破産の事実を把握することになります。また,自己破産の結果,債務者が免責許可決定を受けた場合,債権者にとって債務者から金銭回収のできないことが明らかになります。
この場合,保証人がいれば,債権者は保証人への請求を行うことが最も合理的であり,これを防ぐ手段はありません。
なお,自己破産によって免責許可を受けたとしても,免責されるのはその債務者のみであり,保証人の負う債務には影響しません。そのため,保証人は残債務の全額について返済の義務を負うことになります。
個人再生をすると保証人に影響するか
個人再生手続を利用する場合,やはりその事実はすべての債権者に通知されざるを得ません。個人再生は,借金の総額が確定できなければ再生計画が作成できないため,一部の債権者を避けて行うことが不可能です。そして,個人再生手続により,債権の金額は概ね5分の1~10分の1程度に圧縮されてしまうため,債権者が債務者から回収できる金額は,債権総額のうちごくわずかとなります。
そうすると,債権者としては保証人への請求を行うのがやはり最も適切な手段であるということになるでしょう。そして,個人再生手続によって保証人の債務は変化しないため,保証人は債権者の請求に応じて残債務全額の返済義務を負います。
任意整理をすると保証人に影響するか
任意整理が保証人に影響するかどうかは,どの債務について任意整理をするかによって結論が異なります。
①保証人のついた債務について任意整理する場合
この場合,債務者は当該債務について将来の利息がカットされますが,その恩恵は保証人には及びません。債務者が契約通りに返済できないと明らかになった以上,法的には,債権者は保証人に残債務の全額を支払うよう請求することも可能です。
②保証人のついた債務を除いて任意整理する場合
保証人のない債務だけを任意整理する場合,保証人が債権者からの請求を受けるきっかけになることはありません。あくまで,保証人とは関係のない債務についてだけ任意整理を行っており,他の債務に関する事情は保証人が保証する債務の支払とは無関係だからです。
そのため,この場合には保証人に影響が生じることなく債務整理ができるでしょう。
保証人への影響を防ぐ適切な手段は
以上の通り,保証人への影響を防ごうと考えた場合,自己破産や個人再生を選択する余地はない,ということになるでしょう。
具体的には,保証人のついた債務には手を付けず,それ以外の債務についてだけ任意整理を行えば,保証人への影響が防げる可能性が非常に高くなります。
ポイント 保証人への影響を防ぐ債務整理
自己破産と個人再生は不可
任意整理は,保証人のついた債務以外の債務のみを対象とすれば可能
保証人への影響を防ぐ他の方法
任意整理で保証人への悪影響を防ぎたい場合,債務者と保証人が連名で任意整理をする,という方法も考えられます。
特定の債務について,債務者だけでなく保証人も連名で利息をカットしてもらえれば,保証人の債務額も債務者と同じ条件になります。そして,債務者が利息カット後の月々の支払を滞りなく続けられれば,債権者が保証人に請求する必要はなく,最終的にも保証人への影響を防ぐことが可能になるでしょう。
保証人への影響を防ぐ場合の注意点
保証人がついた債務がある場合,あえてその債務に触らないようにするのでなく,保証人と連名で任意整理を試みた方が,保証人にとっても利益であるように思えます。任意整理によって,保証人との関係でも将来の利息がカットできれば,それだけ保証人にとって得であるためです。
しかしながら,保証人と連名で任意整理をする場合には,以下の各点に注意する必要があります。
①ブラックリストに登録される
金融機関の保有する信用情報(いわゆるブラックリスト)に,金融事故が起きた旨が保証人についても登録されることになります。ブラックリストに登録されている間は,新規の借り入れやクレジットカードの契約など,債務者の信用を前提とした取り扱いが受けられなくなります。
②一定期間保証人になれない
任意整理をした場合,一定期間保証人になれません。
住宅ローンや子どもの教育に関するローンについても同様です。
借金問題に強い弁護士をお探しの方へ
債務整理は,借金の減免を試みるためのものなので,債権者としては保証人への請求へと切り替えるきっかけにもなります。
そのため,債務整理が保証人に大きな影響を与え得ることを十分に把握した上で,対応の方法を検討するのが適切でしょう。
さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,借金問題に精通した弁護士が迅速に対応し,円滑な解決に向けたお力添えをすることが可能です。
お困りごとの際は,ぜひお気軽にご相談ください。
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