離婚事件で相手に弁護士。自分も弁護士に依頼すべき?やり取りで注意すべき点は?弁護士依頼すると何が変わる?対弁護士の心構えを徹底解説

●相手が弁護士を立ててきた離婚事件は、弁護士に依頼すべきか?

●弁護士相手の対応で注意すべき点は?

●相手の弁護士にちゃんと分かってもらえば大丈夫?

●弁護士ではなく相手本人と話をしたいが可能か?

●相手に弁護士がいる場合に弁護士依頼するメリットが知りたい

という悩みはありませんか?

このページでは,離婚に関して相手が弁護士を立ててきた場合に自分も弁護士を依頼すべきか、というお困りをお持ちの方に向けて、相手が離婚弁護士を立ててきた場合における弁護士依頼のメリットや注意点などを解説します。

相手が離婚弁護士を立てたときは弁護士依頼すべき?

離婚に関しては,当事者のそれぞれに代理人の弁護士がつく可能性があります。そのため,離婚協議をしていたところ,急に相手が弁護士を立ててきた,という場合が考えられます。
そこで,相手の方が離婚協議のために弁護士を立ててきたとき,自分は弁護士に依頼すべきか,という点が問題になります。この点,相手の弁護士の告げてくる内容について適切な評価や判断ができる場合を除いては,弁護士依頼が適切であると考えるのがよいでしょう。

弁護士は,中立の第三者ではなく,依頼者からの要望を受け,依頼者の利益を図る目的で活動を行う立場の人物です。そのため,弁護士の告げる内容であったとしても,法的には認められないものであったり,明らかに不合理なものであったりすることは珍しくありません。この場合に,相手弁護士の主張する内容の不適切さが判断できないでいると,望ましい解決は難しくなり,大きな不利益につながる可能性が非常に高くなります。

また,弁護士は交渉に精通していることが多いため,自身の要求が不合理であったとしても,不合理であることが分かるように要求してくることはあまり期待できません。弁護士の要求が妥当なものかそうでないかは,自分の力で評価・判断せざるを得ないのです。

そのため,弁護士の告げてくる内容を適切に評価・判断できる場合以外は,自分も弁護士に依頼することで,適切な結果を目指すことが有力でしょう。現実には,法律の専門家でない立場で弁護士の要求を適切に評価・判断することは至難の業であるので,基本的には弁護士への依頼が適切であると考えてよいかと思われます。

ポイント
相手弁護士の要求内容を評価・判断できる場合以外は弁護士依頼が適切
弁護士の告げてくることであっても,内容が不合理な場合は珍しくない

相手の弁護士に対応するとき注意すべきこと

離婚事件で相手が弁護士を立ててきた場合,最初は自分が対応しなければならない場合も少なくありません。そこで,相手の弁護士に対応するときの注意点について解説します。

①中立な人物でないことを意識する

弁護士は,法律の専門家ではありますが当事者間を中立に仕切る第三者ではありません。一方の当事者と契約をし,その当事者の利益のために相手の利益を損なうことを目指した弁護活動を行うことも,弁護士の正当な業務の一つです。
相手が弁護士を立ててきたということは,その弁護士は相手の利益のために弁護活動を行うことが明らかです。離婚事件においては,相手の利益になることはほとんどが自分の不利益につながるものであるため,相手の弁護士は自分の利益を損なう話をしてくるものである,と考えるのが合理的でしょう。

相手の弁護士は専ら相手の利益のために連絡をしてきているのである,ということは強く意識するようにしましょう。

②安易に無視しない

離婚事件で相手の弁護士が何らかの請求をしてくる場合,応じなければ調停や訴訟に移行することを視野に入れているケースが考えられます。調停や訴訟へ移行した場合,その対応だけでも相当な負担が生じるため,同じ結論になるのであれば調停や訴訟へ移行することなく協議で解決できる方が有益であると考えるのが通常です。
しかし,相手の弁護士の連絡を安易に無視してしまうと,協議で円滑に解決できる可能性を自ら捨てる結果になる可能性が高まります。相手弁護士の連絡は「協議をしましょう」という趣旨であることがほとんどですが,これを無視すると,相手弁護士の目線では「相手に協議の意思がない」という理解になり得るのです。

そのため,協議で適切な結論に至る可能性を自ら放棄することにならないためにも,弁護士からの連絡に対して安易に無視することは控えましょう。具体的な対応方法が判断できない場合は,最初の返答から弁護士に依頼する方が賢明です。

③相手本人に連絡をしない

離婚事件で相手の弁護士から連絡が来る場合,その後の相手方の窓口はその弁護士になります。弁護士からの連絡が書面で届く場合,その書面にも「今後一切の連絡は弁護士へ行うように」という趣旨の内容が記載されています。

相手が弁護士を立ててきた場合には,その後相手本人に連絡することを控え,相手に向けた連絡はすべて窓口になっている弁護士へ行うようにしましょう。弁護士からの指摘を無視して相手本人に連絡をし続けると,ケースによっては違法行為として損害賠償等の責任を負わされる可能性があります。

④不用意な発言を控える

離婚事件で相手の弁護士と口頭の連絡を取る場合,弁護士に対して自分に不利益な発言をしてしまうと,後々に不利益な証拠として活用される恐れがあります。また,どのような発言をすると不利益であるか,という点は,判断のために法律的知識が不可欠な事項であり,法律の専門家でない方が適切に判断することは非常に困難です。

そのため,弁護士と連絡を取る場合には,考えなく弁護士への問いに反応するなど,不用意な発言をすることは控えるのが賢明です。口頭で弁護士に反論したとしても,その場で解決できる可能性はほとんどない上,相手の弁護士が自分の主張を聞き入れる意思を持ち合わせていなければ,どれだけ説得を試みても無駄に終わります。
弁護士との口頭の連絡では,割り切って全く情報提供をしない,というくらいの心構えがちょうどいい場合も非常に多いでしょう。

ポイント 相手弁護士への対応における注意点
弁護士は相手の利益を図ることを目的にしている
安易な放置は協議の可能性を捨てる結果になり得る
本人への連絡は違法となる場合もある
口頭での不用意な発言は不利益な証拠になることもある

弁護士依頼のメリット①法外な請求か分かる

離婚事件で相手が弁護士を立ててきた場合,何らかの請求をするために弁護士委任しているのが通常です。何も請求をしないのであれば,わざわざ弁護士を通じて連絡をよこしてくる必要がないためですね。
そうすると,まずは相手の弁護士からなされている請求を確認し,どのように対応するか判断しなければなりませんが,そのためには弁護士の要求が適切なものか法外なものか区別できることが必要です。この点,誰が見ても法外な請求であれば判断は容易ですが,弁護士の請求が明らかに不合理なものばかりではないため,法律の専門家以外が適切に判断することは困難であることが多いでしょう。

弁護士に依頼することで,相手の請求が合理的なものか法外なものかを正確に判断することが可能になります。また,その判断を踏まえて適切な対処の選択肢を案内してもらうこともできるため,
相手の請求に対する動きを誤る恐れがなくなるということができるでしょう。

ポイント
弁護士を立ててくるのは,請求をする目的であるのが通常
検討の出発点として,相手弁護士の請求を評価することが肝要
請求を正しく評価するためには,弁護士への依頼が最も端的

弁護士依頼のメリット②交渉力の差を防げる

離婚事件の場合,紛争解決の順序は原則として「協議→調停→裁判」の流れをたどります。つまり,離婚事件では総じて協議から入ることになります。そのため,離婚事件を取り扱う弁護士は,離婚事件の交渉経験に富んでおり,交渉方法に精通していることが多いです。
そうすると,離婚事件の交渉で弁護士と当事者がやり取りをする場合,交渉に必要な知識や経験に最初から大きな差が生じていることになります。もちろん,交渉の能力があったとしてもすべて有利な解決ができるわけではありませんが,交渉力に劣る立場では不利益な交渉を強いられる可能性が高くなることは間違いありません。

弁護士に依頼することで,「当事者VS弁護士」の場合に生じる交渉力の問題は解決することが可能です。そのため,交渉力の差が原因となって不利益な解決内容を強いられる恐れはなくなるでしょう。
また,弁護士に依頼し,弁護士の目で確認してもらうと,相手の交渉方法が実際には拙いものであるとわかる,という場合も少なくはありません。交渉に臨むにあたって,自分だけ交渉力を制限しているメリットはないので,弁護士依頼によって必要な交渉力を備えての対応を強くお勧めいたします。

ポイント
離婚事件はほとんどが協議(交渉)から始まる
離婚を扱う弁護士は離婚協議の経験が多いため,当事者との交渉力に差がある
弁護士に依頼すると,相手の交渉が拙いと分かる場合もある

弁護士依頼のメリット③協議が円滑に進みやすい

弁護士は,複数の解決方法を頭に入れた上で,そのうちどの方法で解決できるかを考えながら交渉を行います。つまり,闇雲に請求をしたり連絡をしたりするわけではなく,どんな方法でどんな内容の解決をするのが適切か,ということに考えを巡らせながら協議を進めています。
ところが,「当事者VS弁護士」となる場合,当事者の方が解決方法・内容の落としどころを考えながら協議に応じていることは少ないため,往々にして協議に無駄な時間ややり取りが生じがちです。場合によっては,協議で解決するはずであったものが調停や裁判に至ってしまうことも珍しくはありません。

この点,弁護士に依頼することで,解決の落としどころを見据えた弁護士同士の協議とすることが可能になります。互いに複数の解決プランを頭に入れて,そのいずれかでの解決ができないかを模索しながら協議を試みるので,協議が円滑に進むことも多く,無駄なやり取りや時間の浪費を防ぐことも可能です。
なお,見方によっては,相手が弁護士を立ててきたのは円滑な解決のチャンスということができるかもしれません。自分だけが弁護士に依頼して,相手が弁護士に依頼しなかった場合,同じ問題が生じ得るためです。
弁護士同士で協議するチャンスを活かすためにも,弁護士への依頼を積極的に検討したいところです。

ポイント
弁護士は,円滑な解決のため複数の選択肢を頭に入れて協議する
双方に弁護士が入ることで,より円滑な協議の進行が期待できる
相手が弁護士を立ててくるのは,双方に弁護士が入るチャンスでもある

弁護士依頼のメリット④現状把握ができる

離婚協議や調停,裁判を行うにあたって,現在が有利な状況なのか,不利益な結果を覚悟すべき状況なのか,という点の正確な理解は不可欠です。特に,自分にとって芳しくない状況であるにもかかわらず,その事実を把握しないまま真っ向から争い続けてしまうと,より不利益の大きい結論になる恐れが大きくなります

この点,弁護士に依頼することで,弁護士を通じて離婚事件の現状理解と結果に対する見通しの把握ができるようになります。また,不利益な結果になる恐れが大きい状況であれば,早期の和解など,不利益を可能な限り小さくする方策を提案してもらうこともできるため,最悪の事態を免れるための重要なストッパーにもなってくれるでしょう。

ポイント
現状が有利なのか不利なのか,という理解は極めて重要
弁護士は,特に不利な状況で最悪の結果を防ぐのストッパーになる

弁護士依頼のメリット⑤複雑な内容を任せられる

離婚事件は,単に離婚するかどうかのみでなく,財産分与をどうするか,親権や養育費,面会交流といった子どもの関係をどうするかなど,多くの複数な内容を同時に解決することが必要です。また,協議で解決すれば円滑ですが,調停や裁判が必要になる場合,裁判所に対する適正な手続が必要にもなります。
これらをすべて当事者自身がこなすことは,決して容易ではありません。特に,相手が弁護士を立てている場合,相手はこれらの複雑な内容の全てを一挙に解決する目的であることが明らかであるため,その複雑な内容や手続から逃れることはできません。

そのため,相手が弁護士を立てている離婚事件では,自分も弁護士に依頼することで,複雑な内容や手続の一切を弁護士に任せる選択をするのが合理的でしょう。

ポイント
離婚事件で解決すべき内容は多岐に渡り複雑
相手に弁護士がいる場合,複雑な内容の解決は避けられない
自分も弁護士に依頼して複雑な解決や手続の一切を依頼するのが合理的

離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

離婚事件で相手が弁護士を立ててきた場合、ご自身の知識やノウハウに自信がある方以外はご自身も弁護士に依頼することを検討するのが賢明です。
もっとも、ただ弁護士に任せるのではなく、弁護士に依頼すると何が違うのか、何が期待できるのかを踏まえて弁護士に依頼すると、弁護士に依頼する効果がより高くなるでしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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