別居中の離婚は弁護士に依頼すべき?弁護士に依頼するとどんなメリットがある?別居中の離婚で弁護士を活用する方法の全て

●別居中の離婚は弁護士に依頼すべきか?

●別居中の離婚で弁護士に依頼するメリットは?

●別居中の離婚で弁護士依頼するときの注意点は?

●別居中の離婚で弁護士と打ち合わせておくべきことは?

という悩みはありませんか?

このページでは,別居中の離婚で弁護士依頼を検討中の方に向けて,別居中の離婚で弁護士に依頼するメリットや,依頼に際しての注意点などを解説します。

別居中の離婚は弁護士に依頼すべきか

離婚を検討する際,配偶者と別居中であるという場合も少なくありません。離婚に至るということは,婚姻関係の継続が困難であるわけであり,婚姻関係が継続できない者同士であれば別居を選択している方が自然とも言えます。
もっとも,別居中に離婚を目指すことは,配偶者と物理的に離れた場所にいる影響もあって必ずしも容易ではありません。離婚のための協議を行うこともままならない場合が多く見られます。

基本的に,別居中の離婚は弁護士に依頼することをお勧めいたします。その主な理由は,以下の通りです。

別居中の離婚を弁護士に依頼すべき理由

1.別居中の生活費に関する相談ができる
→専業主婦の場合など,配偶者が家計収入のほとんどを得ている場合,別居中には生活費の不安がつきまとうことになります。
弁護士に依頼することで,配偶者に適切な生活費の負担を要求したり,法的手続によって配偶者の必要な対応を強制したりといった方法で,別居中の生活費に関する悩みの解決が可能になりやすいでしょう。

2.配偶者の対応が期待できる
→別居中の夫婦である場合,夫婦間のコミュニケーションはあまり期待できないのが一般的です。特に,配偶者が離婚を希望していない場合や,配偶者に金銭的負担を求める内容である場合など,配偶者にとってコミュニケーションに応じるメリットに乏しい場合には,律儀に対応してくる配偶者の方が少ないでしょう。
弁護士に対応を依頼することで,当事者間であれば安易に無視されていたコミュニケーションでも,配偶者の適切な対応を期待できる可能性が高くなります。

3.自分で直接対応する必要がなくなる
→離婚をしようとする当事者間で直接離婚の協議などをするのは,大きな精神的負担がどうしても伴います。互いの落ち度を指摘したり,互いの意見に反論し合ったりするのは,それだけでも少なからぬ苦痛を感じるものです,
弁護士に依頼することで,相手との直接のやり取りを弁護士に任せることができ,対応に伴う負担や苦痛を回避することが可能です。

4.離婚に向けた適切な準備が可能になる
→離婚するかどうかに争いがある場合,離婚を希望する方はその根拠を収集・整理するなど,離婚の実現に向けた適切な準備が必要となります。もっとも,その準備は離婚原因や離婚の手続に関する法的知識が不可欠であり,闇雲に検討しても方針が誤ってしまえば取り返しのつかない不利益につながる恐れがあります。
弁護士に依頼することで,必要な法的知識がなくても,離婚に向けた正しい方針を立て,適切な準備を進めることが必要になります。

弁護士依頼のメリット①生活費の支払が受けられる

婚姻中の夫婦が別居している場合,収入に乏しい配偶者は他方の配偶者へ「婚姻費用」の請求ができるのが通常です。婚姻費用は,夫婦が相互に負う相手への扶助義務を果たすための金銭負担であり,別居中の生活を支えるための費用というべきものです。

もっとも,婚姻費用の請求は,配偶者が任意に対応しない限り,家庭裁判所へ適切な手続をもって行わなければなりません。また,婚姻費用を過去にさかのぼって請求することができないため,できるだけ早く請求しなければどんどん損をし続けることにもなってしまいます。
実際に,婚姻費用の請求を行わない夫婦間では,経済力のない方の配偶者がいわゆる兵糧攻めを受けるような状況になり,経済的安定のために別居や離婚ができないでいる,という場合も少なくありません。

この点,弁護士に依頼することで,まずは適切な婚姻費用の請求を行い,別居中の生活費を確保することが可能になります。別居中の生活が安定したものになれば,その後の離婚に向けた検討も安心して進めることができるようになるでしょう。

ポイント
婚姻中の夫婦が別居していれば,婚姻費用の請求が可能
婚姻費用は遡って請求できないため,弁護士に依頼してできるだけ早く請求する
別居中の生活費が確保できれば,離婚の検討もスムーズになる

弁護士依頼のメリット②配偶者がしっかり対応する

別居中の夫婦間では,感情的な対立の起きている場合が大多数です。そのため,夫婦の一方が何らかの請求をしたとしても,もう一方は感情的に反発してしまいがちで,話が前進しないまま感情的な対立だけが激化する場合が珍しくありません。逆に,配偶者からの連絡をすべて無視してしまい,やはり話は全く進展しない,というケースも多く見られます。

この点,弁護士に依頼し,弁護士から離婚に関する各種の請求や連絡を行うことで,夫婦間のやり取りではちゃんと対応してこなかった配偶者に対しても,適切な返答や対応を期待できる可能性が飛躍的に高まるでしょう。
当事者間でのやり取りに応じない配偶者の心中では,「(配偶者の話だから)応じなくても大したことにはならない」という発想のあることが多く見られます。そこに,法律の専門家である弁護士が介入することによって,請求の意思が確かであること,請求のためであれば法的手段に出る可能性のあることが配偶者に伝わり,配偶者の対応を促す効果が生じます。

配偶者が高をくくってきていると感じる場合,配偶者から誠実な対応を受けられていないと感じる場合には,弁護士を通じてやり取りすることで,そのような相手の甘えを許さない動きが非常に有力でしょう。

ポイント
配偶者本人からの請求には,反発や無視をするケースが多い
弁護士から請求することで,甘く見ていた配偶者に適切な対応を促せる

弁護士依頼のメリット③対応の負担が軽減できる

別居中に離婚を進めるためには,大雑把に列挙するだけでも以下のような動きが必要になります。

別居中の離婚に必要となる主な動き

【婚姻費用関係】
1,配偶者に婚姻費用の支払を請求する
2.請求の連絡が到着したかを確認する
3.婚姻費用の請求に対する配偶者の返答を確認する
4.婚姻費用の条件や支払方法を協議・決定する
5.配偶者からの支払を確認する
6.支払が滞る場合,催促や法的手続を検討する

【離婚関係】
1.配偶者に離婚協議を申し入れる
2.申し入れの連絡が到着したかを確認する
3.離婚の申し入れに対する配偶者の返答を確認する
4.離婚の条件(財産分与,親権,養育費,慰謝料等)を確認する
5.協議が成立すれば,離婚届を作成・提出する
6.協議で離婚が成立しない場合,調停を申し立てる
7.調停の各期日に出頭し,裁判所での必要な対応を尽くす
8.調停が成立しない場合は訴訟を提起する
9.訴訟の各期日に出頭し,裁判所での必要な対応を尽くす
10.調停又は訴訟の後,支払が滞る場合は催促や強制執行を検討する

これらの対応はただでさえ膨大である上,同居の場合と異なってコミュニケーション一つにも時間と労力が必要となる点で,より負担が大きくなりやすいです。
別居中のケースでは,別居生活の負担やストレスも無視できないため,これに加えて離婚の動きによる負担から心身に支障をきたす結果となることは避ける必要があるでしょう。

弁護士に依頼することで,別居中の離婚に必要な婚姻費用の請求及び離婚請求に関する手続や対応をすべて弁護士に任せることが可能です。そのため,対応の負担が大きく軽減し,離婚後の生活を円滑にスタートすることが容易になるでしょう。

ポイント
別居中の離婚は,婚姻費用の請求や離婚の手続における負担が大きい
弁護士に対応を依頼することで,負担を回避できれば,新生活も円滑に始められる

弁護士依頼のメリット④離婚の戦略を立てられる

別居中の場合,配偶者の一方が話し合いを断念して一方的に別居を選択した場合が非常に多いところです。そのため,離婚すべきかどうか,その条件をどうするかについて,当事者間で言い分が大きく食い違っていることが多数見られます。

夫婦間で離婚すべきかどうかの言い分が食い違う場合,離婚が成立するかは最終的に裁判所の法的判断になる可能性があります。また,協議や調停の段階でも,法的にはどのような判断になるケースなのか,という点を踏まえて対応方針を決めるのが通常です。
したがって,離婚の協議,調停,裁判のいずれの局面でも,どちらの当事者の言い分が結果に結びつくかは,その言い分が裁判所の法的判断において採用される内容か,という点が決定的に影響します。自分の言い分が法的に適切かどうかは,極めて重要になるわけです。

弁護士に依頼することで,離婚を目指す自身の言い分が裁判所に評価される内容であるかを適切に判断することが可能です。また,どのような根拠があれば裁判所に評価してもらうことが可能か,協議や調停で有利になるか,といった点が分かるため,離婚に向けてどんな準備をするべきか,という戦略を立てることも容易になります。

離婚協議を断念して別居に至ったという場合には,弁護士に依頼して適切な離婚の戦略を立てることが非常に有力でしょう。

ポイント
離婚に関して当事者の言い分が食い違っている場合,法的判断を意識することが重要
弁護士への依頼により,有利な法的判断を得るために必要な戦略を立てられる

弁護士依頼の際の注意点

別居中の離婚で弁護士依頼する際には,別居に至った理由を弁護士と正確に共有する必要がある,という点に注意しましょう。

別居自体は,夫婦間の同居義務に反する行為です。そのため,正当な理由なく別居して離婚を希望しても,有利な条件で離婚できる可能性は低いと言わざるを得ません。
依頼を受ける弁護士は,有利な条件で離婚できるかを検討する必要がありますが,別居に至った実際の理由を把握できなければ,離婚に向けた見込みを大きく誤らせてしまう恐れが大きくなってしまいます。例えば,依頼を受けたときには配偶者の不貞行為をきっかけに別居が始まったと聞いていたにもかかわらず,実際には自分の不貞行為がきっかけであった,となれば,依頼を受けた段階での検討は完全に無駄になるでしょう。

特に,自分の落ち度は弁護士にも話しづらいところですが,正確な情報を伝えなかったことによるデメリットの方がはるかに大きいことは間違いありません。別居中の離婚で弁護士に依頼する際は,別居に至った理由として考えられるものを余すことなく弁護士と共有するようにしましょう。

ポイント
弁護士に依頼する際には,別居に至った理由をすべて弁護士に伝える
特に自分に不利な理由が後から出てくると,不利益が大きくなってしまう

別居中の離婚で弁護士と打ち合わせるべきこと

別居中の離婚で弁護士に依頼する際,できるだけ早い段階で弁護士と打ち合わせをし,具体的な方針を立てることが適切です。当初に立てた方針次第で結果が決まる場合があると言っても過言ではないでしょう。
具体的には,以下のような打ち合わせを行うことが有益です。

①主張する離婚原因

離婚は,どちらにその原因があるかによって,慰謝料などの条件面に決定的な違いが生じます。そのため,相手に離婚の原因があることを主張するべきことになりますが,具体的にどのような離婚原因を主張するのかは,早期に打ち合わせの上,決定することが望ましいでしょう。

例えば,相手の不貞行為を原因とするのか,家庭内暴力を原因とするのか,性格の不一致を原因とするのか,ということによって,具体的な主張内容も違えば,離婚時の条件も大きく異なります。また,個別のケースにおいて離婚が認められるものなのか,という検討も必要ですが,これも当然ながら主張する離婚原因によって様々に異なります。

どのような離婚原因を主張するかは,その後の進め方を決定的に左右する最初の枝分かれでもあるので,早期の段階で適切に決めるため,弁護士との速やかな打ち合わせをお勧めします。

②主張内容に関する根拠の収集

主張する離婚原因が事実であると認められるためには,主張の根拠が不可欠です。根拠のない主張は相手に無視されてもやむを得ませんが,根拠のある主張であれば,相手に自分の請求を認めさせるための強力な武器になってくれるでしょう。
そのため,離婚原因の主張を裏付ける根拠や証拠の収集は極めて重要な作業になります。

この点,離婚原因ごとに争点になりやすいポイントや重視されやすい証拠・根拠が存在します。また,証拠収集の手段も数多く考えられますが,自分のケースでどの手段が有用であるかを判断することは容易ではありません。例えば,不貞行為の決定的な証拠を獲得することも有益ですし,日々の夫婦関係を粘り強く日記に残し続けていくことも有益ですが,いずれの手段も離婚原因によってはあまり意味をなさない場合があり得ます。

弁護士に依頼した際には,離婚原因の主張に根拠が必要か,必要であればどのような根拠をどのような方法で収集するか,という点をできるだけ早期に打ち合わせましょう。知識と経験ある弁護士からは,証拠収集のためのアイデアを得ることもでき,主張の根拠をより有効な手段で獲得することができる可能性も高くなります。

③いつ離婚を請求するか

夫婦が別居中の場合,別居の状態をどの程度の期間維持するのか,という点は戦略的な判断を要する問題です。

一般的に,別居期間が長期に渡る場合,離婚の請求が認められる可能性は高くなる傾向にあります。別居が長期間続いている場合,婚姻関係が破綻しているとの評価につながりやすいためです。
そのため,離婚すべきかどうかに争いがあり,離婚をしたいという主張の根拠が乏しい場合には,別居の状態を一定期間継続することで,離婚の請求を認めてもらえる可能性を高める,という選択が有力になるケースがあり得ます。

また,必ずしも離婚する方が有益ではなく,離婚を請求しないまま別居の状態を維持している方が得である,と判断する場合も考えられます。
月々の婚姻費用が支払われており,離婚を求める緊急の必要がない場合であれば,あえて離婚を請求することなく,そのままの生活を継続するという選択もあり得ないことではないでしょう。その後,相手の方から離婚を求めてくる方が,離婚の条件が有利なものになる場合も考えられます。
ただし,別居状態のまま離婚をしないでいる場合,その後の生活に支障が生じないかは慎重な検討が必要でしょう。実態と形式が食い違ってはいるため,安易な選択には注意するのが適切です。

ポイント 弁護士との打ち合わせ事項
どのような離婚原因を主張するのか,その主張は適切か
離婚原因の主張に必要な根拠は何か,その収集方法は何か
別居の状態をいつまで継続するか

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夫婦が別居する原因は様々ですが,別居になったケースのほとんどが離婚に至っています。
もっとも,離婚時の条件や合意内容には,正しく対応した人とそうでない人の間に大きな開きが見られるため,漫然と離婚するのは取り返しのつかない不利益につながります。
別居中の離婚は,積極的に弁護士への相談をするのが望ましいでしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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