離婚慰謝料は弁護士に依頼すべきか?弁護士に依頼すると得するのか?どんな弁護士に依頼するのがいい?詳細を徹底解説

●離婚慰謝料の請求は弁護士に依頼すべきか?

●離婚慰謝料の請求を弁護士に依頼するメリットが知りたい

●離婚慰謝料の弁護士費用で注意すべき点は?

●離婚慰謝料を弁護士に依頼した際に生じやすい問題は?

という悩みはありませんか?

このページでは,離婚慰謝料の請求について弁護士への依頼をご検討中の方に向けて,弁護士に依頼するメリットや,依頼に際して注意すべき点などを解説します。

離婚慰謝料の請求は弁護士に依頼すべき場合

離婚慰謝料は,離婚に際して一方に責任や原因がある場合,もう一方が請求することのできる正当な損害賠償です。そのため,離婚に至った責任が相手にある場合,適切な方法で適正な金額の慰謝料を受領することを目指すのが適切でしょう。

そして,離婚慰謝料の請求に際しては,弁護士に依頼することが非常に有力な手段となりやすいです。中でも,特に離婚慰謝料の請求を弁護士に依頼すべき場合としては,以下のようなケースが挙げられます。

①請求根拠が法的に容易な内容でない場合

離婚慰謝料の請求は,法的には不法行為に基づく損害賠償の請求であるため,不法行為に基づく損害賠償請求権が存在しなければなりません。

この点,不貞行為の存在が明らかで,その不貞行為が夫婦関係の破綻した唯一の原因であることも明らかであれば,請求根拠は明白であると言えるでしょう。しかしながら,相手の行為は不貞行為に該当するのか,不貞行為は離婚の原因なのか,不貞行為によって損害は発生しているのか,といった点は,ケースにより不明確なことも少なくありません。そのため,一見単純な不貞の問題に思えたとしても,法的に整理しようとすると決して容易な内容でないこともあり得ます。

請求根拠に関して生じやすい問題点としては,以下のようなものが挙げられます。

請求根拠に関して生じやすい問題点

1.不法行為が存在するかどうか
→不貞行為の場合,男女がした性的な行為のうちどこからが不貞行為に当たるのか,という問題などが生じ得ます。

2.不法行為によって損害が発生しているか
→離婚の場合,損害は主に精神的苦痛となるため,不貞行為によって他方の配偶者に精神的苦痛が生じたと言えるか,という問題などが生じ得ます。

3.不法行為と結果の間に因果関係があるか
→損害賠償請求権が発生するためには,不法行為と結果との間に因果関係のあることが必要となるため,不貞行為が生じる前から婚姻関係が破綻していたような場合には因果関係の有無が問題となります。

②相手が支払に応じない場合

ご自身で請求を試みたものの相手が支払に応じない場合には,弁護士に依頼して弁護士から請求をしてもらうことが有力です。

相手は,「素人の請求だから」「家庭の些細な問題に過ぎないから」「放っておいても大したことは起きないだろうから」などといった理由で,請求を受けたにもかかわらず軽く考えている可能性があります。その場合には,請求の意思が決して軽々しいものではないことや,本気で慰謝料を求める気持ちを強く持っていることなどを示すために,弁護士の名前で,よりフォーマルな形式を用いて請求することで,相手の適切な対応を引き出すことが事態を好転させやすいでしょう。

また,請求を受けた相手の方では,突然の出来事に手を付けられないまま,検討や対応を後回しにしている可能性も考えられます。その場合にも,弁護士が改めて請求を行うことで,相手方の検討を催促する効果が生じ,迅速な解決に向けたきっかけになる可能性もあるでしょう。

③損害が大きい場合

損害の金額的規模が大きい場合,慰謝料の確実な回収が重要です。そのため,当事者間でなんとなく行うのではなく,弁護士を通じてきっちりと手順を踏んで解決することが望ましいでしょう。

また,弁護士を通じての請求や交渉を行うことによって,損害賠償額はご自身で行う場合よりも大きくなりやすいです。損害が大きければ大きいほど,弁護士に依頼した場合の増額も大きくなりやすい傾向にあります。

なお,損害が大きいかどうかの判断基準としては,「離婚の唯一の原因となるほど重大な損害か」という考え方が一案でしょう。例えば,不貞行為はそれだけで離婚の唯一の原因となるものであり,金額的にも大きな損害賠償の対象となるため,弁護士への依頼が有力と言えます。

④証拠の収集が容易でない場合

互いの主張する事実関係が食い違う場合,請求する側に証拠があるのか,という問題になることが見込まれます。この点,離婚の原因になる事柄では,その内容を裏付ける客観的な証拠の獲得は決して容易ではありません。

例えば,不貞行為の場合,基本的に配偶者の分からないところで行われるものであるため,その時期や内容,回数などを請求する側が積極的に立証することは非常に困難です。また,家庭内暴力やモラハラといった当事者間のやり取りに関しても,家庭の中で行われるだけに,個別の言動を行ったことの客観的な証拠が残っているという場合は多くありません。

このような場合には,弁護士に依頼の上,証拠収集が必要かどうか,必要な場合にどのような方法で収集するのか,といった点を適切に検討し実践するのが望ましいです。弁護士に依頼することで,将来の交渉や裁判を見据えながら,有効な手段を円滑に案内してもらうことが可能になるでしょう。

ポイント 弁護士依頼すべき場合

法律的な争点があるとき
相手が放置してくるとき
精神的苦痛が大きい内容のとき
違法行為の証拠がないとき

弁護士依頼のメリット①相手の対応が期待できる

弁護士依頼することで,相手には配偶者が弁護士を依頼してまで離婚慰謝料を請求してきているという事実が明らかになります。相手の目線では,それまでは配偶者が感情をぶつけてきていただけかもしれないと思っていたのが,本気で金銭を請求するつもりであることが分かった,という場合も少なくありません。
弁護士であれば,配偶者本人と異なり,裁判をして強制的に金銭を回収することもそれほどの困難なく可能です。相手にもそのように理解させることができるでしょう。したがって,相手が無視し続けることに裁判や強制執行という大きな危険が伴うことになります。

そのため,弁護士に依頼をし,弁護士の存在を相手に知らしめることで,それまで無視していた相手からの対応が期待しやすくなるでしょう。

弁護士依頼のメリット②増額できる可能性が高まる

弁護士に依頼し,弁護士が交渉などを行うことで,自分で請求をするよりも得られる損害賠償額が大きくなりやすいでしょう。
弁護士は,離婚慰謝料の相場について相場の理解を持った上で,個別の事情も踏まえて事件ごとに適切な慰謝料額を請求することが可能です。また,相手の不合理な主張や金額提示に対しては,毅然とした対応を取り,不当な不利益を確実に回避することも可能です。

その他,弁護士への依頼で増額の可能性が高まる理由としては,以下の点が挙げられます。

弁護士の請求で増額する主な理由

1.交渉技術に長けている
2.法律知識や裁判例などの裏付けがある
3.請求に応じないリスクの高さを理解させられる
4.相手に甘く見られる恐れがなくなる
5.当事者と異なり,請求や交渉の心理的ハードルがない

弁護士依頼のメリット③心身の負担軽減

自分で離婚の慰謝料を請求するのは,大きな心身の負担を伴うのが通常です。請求するという行動はもちろん,どんな方法で請求するのか,口頭では誰とどんなやり取りをするのか,相手に反論されたときにはどうするかなど,検討や行動しなければならない事項は少なくないため,実際の心理的負担は想像よりもはるかに大きいことが見込まれます。
また,慰謝料の請求やその後の対応には現実的に多くの時間を割かなければならないため,生活を圧迫しやすく,身体的な負担も無視できないことが多いでしょう。

離婚慰謝料の請求は,精神的苦痛に対する補償を求めるものであるのに,請求するために新たな苦痛を受けたり身体的な負担につながったりしてしまうのであれば,そのマイナスは無視できません。本来,慰謝料を請求するのに精神的苦痛を伴う必要はないので,弁護士への依頼で心身の負担を軽減することは非常に有益でしょう。

弁護士依頼のメリット④法的問題点で悩まない

離婚慰謝料を求める権利は,法律上の請求権であるため,慰謝料請求が可能かどうか,可能な場合にいくら請求できるかという点は,法的な検討が不可欠です。法的に不合理な請求をしてしまったり,根拠の伴わない請求をしてしまったりすると,不要なトラブルの原因になってしまいます。
この点,弁護士に依頼することで,請求に伴う法的な検討を弁護士に全て委ねることができます。しかも,専門性ある弁護士に委任すれば,法的問題点に対する検討内容も適切なものとなることが期待できるでしょう。

また,請求が可能かどうか,法的にははっきりしない場合もあり得るところ,弁護士に依頼することで「法的な検討が必要な問題である」という認識を持てるという点も非常に重要です。
①請求できることが明確なもの,②請求できないことが明確なもの,③請求できるかどうかがはっきりしないものを区別することができれば,見通しを立てやすくなる上,検討の必要な点に対してより適切な検討をすることも可能になります。

弁護士依頼のメリット⑤柔軟な解決もできる

離婚慰謝料の請求は,弁護士に依頼することで解決方法の幅が広がりやすいです。慰謝料の解決は金銭で行うのが通常ですが,離婚を伴う関係で以下のような解決の余地もあり得ます。

離婚慰謝料の柔軟な解決方法の例

1.財産分与を2分の1でない割合にすることで,財産分与に慰謝料の意味を込める
2.金銭でなく住居や自動車などの財産を取得させることで,慰謝料の代わりにする
3.本人の経済力に乏しい場合,相手の親族に負担を求める
4.慰謝料の金額を大きくしない代わりに,面会交流を有利な条件にする

これらは,実現する法的な権利が正面から認められているわけではありませんが,両当事者が合意すれば実現可能であり,裏を返せば当事者間の柔軟な解決でのみ実現できる内容ということができます。
慰謝料を金銭で支払うという解決が必ずしも最善ではないケースでは,弁護士に依頼することでより柔軟な慰謝料問題の解決を行うことも有益でしょう。

弁護士費用で注意すべき点

離婚慰謝料の問題を弁護士に依頼する場合には,弁護士費用に留意することが必要です。慰謝料の請求は経済的な利益を得るために行う以上,受領できた慰謝料と弁護士に支払う費用を比較して利益が生じなければ不合理であるためです。
また,一見して弁護士費用が同じように見えても,その詳細な内容は異なる場合も少なくありません。

そこで,離婚慰謝料を請求するにあたって弁護士費用について注意すべき点を解説します。

①弁護士費用の主な項目

一般的な弁護士費用の項目としては,以下のようなものが挙げられます。

1.着手金
→弁護活動に着手するために必要な費用。結果に関わらず発生する。

2.成功報酬
→弁護活動の成果に応じて発生する費用。経済的な利益に比例して大きくなるのが通常。

3.実費
→実動に際してやむを得ず発生する費用。郵送時の切手代や振込時の手数料など。

4.日当
→弁護士が出張を伴う活動を行った場合に発生する費用。

このほか,着手金及び成功報酬の代わりに,弁護士が活動した時間の長さに応じて費用が発生する「タイムチャージ」の方法を取るケースなどもありますが,離婚慰謝料の請求に関しては上記の項目が一般的でしょう。

②弁護士費用の水準は法律事務所により異なる

弁護士費用の金額は,各法律事務所が自己判断で定めるものであるため,事務所によってその水準は異なります。同じ活動を行う場合でも,着手金や成功報酬の金額が異なることは珍しくありません。

離婚慰謝料の請求は,経済的な利益を目指すものである以上,利益を得るために必要な負担についても慎重な検討が望ましいでしょう。

③一見安価でも条件付きの場合がある

弁護士費用の設定には,一見すると非常に安価に見えるものがあります。着手金11万円と22万円では,明らかに11万円の方が安価です。

しかし,安価な弁護士費用の場合には「時間や回数の制限内に限り安い」「簡単な交渉だけは安い」というように,安価である場合の条件が限られている場合が少なくありません。そのため,一見安価な弁護士費用に飛びついてしまうと,時間や回数の制限を超過せざるを得なくなった結果,最終的な弁護士費用はむしろ高額になってしまう,という場合も考えられます。

特に弁護士費用が安価に見える場合は,条件次第で高額になってしまう内容ではないか,十分に確認するのが適切です。

弁護士依頼後によくあるトラブル

弁護士がご相談者の方から相談をお受けする場合,まだ弁護士に依頼していないケースのほか,既に弁護士に依頼しているもののトラブルに見舞われてしまった,というケースもあります。トラブル解決を目指して弁護士に依頼したにもかかわらず,その弁護士との間でトラブルになってしまうのでは本末転倒と言わざるを得ないため,弁護士依頼後によくあるトラブルを踏まえ,これを避けられるような弁護士への依頼が望ましいです。

①事件放置

弁護士に依頼したのに,状況が全く変化せず,弁護士がアクションを取らないまま時間が流れている,というものです。もちろん,状況が変化しない理由は様々であるため,時間が経過しているから直ちに放置されているというわけではありませんが,時間だけが経過しても動きが見られない場合は,その理由が何かを確認するのが望ましいでしょう。

なお,事件放置に至るかどうかは,完全に弁護士の対応次第という面が非常に強いです。個々の弁護士がどのようなペースで,そのため,どのような事件処理をするかによって,解決までにかかる時間も大きく変わりやすいということになります。
弁護士の動きが適切なのか,事件放置されてしまっているのかは,依頼者からは把握しづらい点であるため,弁護士側への十分な確認を通じて事件放置を回避したいところです。

②コミュニケーション不足

弁護士から連絡がない,弁護士に連絡をしても全然返答がない,弁護士の事務所に電話をしても不在ばかりで折り返しも来ない,といった場合です。
コミュニケーションをどのような方法で,どのような頻度で行うかは,やはり個々の弁護士の裁量に影響を受けやすいことが否めません。ある弁護士は当然だと思っているコミュニケーションのペースや方法も,依頼者の方の感覚や他の弁護士のやり方とは大きく異なっている可能性は十分に考えられます。

コミュニケーション不足を感じる場合は,まず依頼している弁護士とのコミュニケーションを可能な限り試みてみましょう。それでも希望するコミュニケーションが実現できなければ,弁護士とのミスマッチが懸念されるため,弁護士の変更を視野に入れることも有力かもしれません。

③弁護士が対応しない

弁護士に依頼したはずなのに,連絡の窓口は全て弁護士以外の職員で,弁護士は全く対応してくれない,という場合です。法律事務所の運営方針によっては,相談から事件終了まで,全ての連絡が事務職員との間で完結する場合も考えられます。

もっとも,実際に弁護活動を行うのは弁護士であり,職員からは伝聞の方法でしか話を聞くことができません。このような方法が希望と反する場合は,依頼前にしっかりと確認を取ることをお勧めします。
特に,費用が安価に抑えられている場合には,このようなケースが多いようです。弁護士よりも事務職員の方が人件費が安価であるため,事務職員中心の対応にすれば安価にしやすい,という取り扱いであることが多く見られます。

離婚慰謝料の請求に強い弁護士をお探しの方へ

離婚慰謝料の請求は,弁護士への依頼でより有益な結果を期待できることが少なくありません。様々なメリットもあり,条件が合致すれば積極的に弁護士依頼を検討してもよいでしょう。
ただ,依頼後に金額や内容で予期しなかった問題が生じる場合もありますので,弁護士選びに必要な知識を持っておくに越したことはありませんね。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,離婚・男女問題に精通した弁護士が迅速対応し,円滑な解決を実現するお力添えが可能です。是非お気軽にご相談ください。

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