交通事故で鼻を欠損したときの後遺障害は?嗅覚や鼻呼吸に問題が生じたときは?どんなとき何級になる?弁護士依頼の要否も解説

●鼻の後遺障害にはどのようなものがあるか?

●鼻の後遺障害の判断基準は?

●嗅覚はどのように判断されるのか?

●後遺障害等級が認定された場合にはいくら請求できるか?

●鼻の後遺障害については弁護士に依頼すべきか?

という悩みはありませんか?

このページでは,鼻の後遺障害についてお困りの方に向けて,鼻の後遺障害等級の項目や判断基準弁護士に依頼するメリットの有無などを解説します。

鼻に関する後遺障害の種類

鼻の後遺障害には,以下の種類が挙げられます。

欠損障害鼻を失ったことに関する後遺障害
機能障害呼吸困難となったこと,嗅覚がなくなったことに関する後遺障害

後遺障害等級の判断基準(欠損障害)

鼻の後遺障害等級は,以下の1つのみが定められています。

等級基準
9級5号鼻を欠損し,その機能に著しい障害を残すもの

等級認定のためには,①鼻の欠損と②著しい機能障害の両方について基準を満たす必要があります。

①鼻の欠損

鼻を欠損し」たとは,以下の場合を指します。

鼻を欠損し」たとは
鼻軟骨部の全部又は大部分の欠損をしたこと

鼻は,上部に鼻骨と呼ばれる骨であり,鼻骨の下に軟骨部があります。軟骨部は,一般的に鼻と呼ぶ三角錐の形に隆起した部位を指すものと理解して差し支えないでしょう。
したがって,鼻の三角錐形の部分が全部又は大部分欠損した場合に,欠損障害に該当し得ることになります。

②著しい機能障害

鼻呼吸困難,または嗅覚脱失をいいます。

嗅覚の障害については,「嗅覚脱失」と「嗅覚減退」が挙げられますが,これらは「T&Tオルファクトメータ」(嗅覚測定用の基準臭)による検査で認知域値(においを判別・表現できる最低濃度)を測定し,判定されます。具体的な基準は以下の通りです。

嗅覚脱失」認知域値5.6以上
嗅覚減退」認知域値2.6以上5.5以下

このうち,著しい機能障害に位置付けられるのは「嗅覚脱失」となります。

ポイント
鼻の後遺障害等級として明記されているのは,欠損+著しい機能障害のみ
欠損は軟骨部の全部又は大部分を失ったこと
著しい機能障害は鼻呼吸困難又は嗅覚脱失

後遺障害等級の判断基準(外貌醜状障害)

①鼻の欠損との関係

鼻の欠損が生じる場合,同時に外貌の醜状障害に該当することが考えられます。その場合,欠損障害と醜状障害のいずれか上位の等級が認定されます。上位の等級のみが認定され,併合されないことに注意が必要です。

例えば,鼻を欠損して著しい機能障害が生じた場合,9級5号に認定されますが,同時に外貌の醜状障害として7級12号に該当する場合,上位の7級が認定されます。

②鼻の欠損に至らない場合

鼻の欠損(=全部又は大部分の欠損)には至らない程度の一部欠損は,別途醜状障害の対象となるかどうかの問題となります。醜状障害の基準を満たせば,12級14号の認定可能性があります。

後遺障害等級の判断基準(機能障害)

鼻の欠損を伴わない機能障害は,以下の等級に該当する可能性があります。

等級基準
12級相当嗅覚脱失
鼻呼吸困難
14級相当嗅覚減退

嗅覚脱失」及び「嗅覚減退」の基準は,上記と同様です。

嗅覚脱失」とは
T&Tオルファクトメーターによる検査の認定域値5.6以上
嗅覚減退」とは
T&Tオルファクトメーターによる検査の認定域値2.6以上5.5以下

後遺障害に対する損害賠償額

後遺障害等級が認定された場合,主に後遺障害に対する慰謝料及び逸失利益が発生します。
もっとも,その金額は一律ではなく,計算基準や計算方法によって大きく異なります。保険会社は,弁護士がいない場合には自賠責基準を念頭に金額提示を行い,弁護士が入った場合には裁判基準を念頭に計算するのが通常です。

ここでは,弁護士の有無による損害賠償額の差異に関する一例として,以下のケースを題材に各基準の計算を紹介します。

【ケース】
症状固定時50歳,年収400万円,「鼻の欠損及び著しい機能障害」により9級5号認定

①自賠責基準

①後遺障害慰謝料
=249万円

②後遺障害逸失利益
=367万円

③合計
616万円

②裁判基準

①後遺障害慰謝料
=690万円

②後遺障害逸失利益
=400万円×35%×13.1661(17年ライプ)
=18,432,540円

③合計
25,332,540円

③差額

25,332,540円-616万円
19,172,540円(約4.1倍)

あくまで単純計算の結果であるため,現実にこの金額が受領できるかは別問題ですが,少なくとも弁護士への依頼によって大きく増額する余地のあることが分かります。

鼻の後遺障害は弁護士に依頼すべきか

鼻の後遺障害等級は,欠損を伴う場合と伴わない場合で認定基準が異なり,場合分けの必要性が高い類型です。そのため,ケースに適した場合分けを誤ると,等級認定の見込みにも誤りが生じ,結果的に十分な損害賠償の獲得に至らない可能性が生じてしまいます。

また,「鼻の欠損」や「鼻呼吸困難」など,必ずしも認定基準が数値等で明確にならないものもあるため,具体的な対応に際しては弁護士への相談・依頼が望ましいでしょう。

鼻の後遺障害に交通事故に強い弁護士をお探しの方へ

鼻に関する後遺障害は,主に嗅覚について問題になることが多く見受けられます。
この点,嗅覚の後遺障害は判断基準が明確に定められているため,この基準を踏まえた対応や申請が重要となります。
後遺障害の手続に際しては,交通事故に精通した弁護士へのご相談が有力です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,1000件を超える数々の交通事故解決に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内いたします。
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